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舞台裏を支えるアスレティックトレーナー
㈱メジャー・トレーナーズ 河野智和氏インタビュー(2) [2009.07.20]

トップアスリートだけでなく、舞台俳優やミュージシャンなどをヘルスケアの面で陰ながら支える㈱メジャー・トレーナーズの河野智和氏。前回のインタビューでは、24時間年中無休でクライアントのSOSに対応し、幅広いトレーナーサービスをされている様子が分かりました。今回は、アスレティックトレーナーとしてのプロの心構えや、美容業界に学ぶサービス意識などについて話していただきました。

――スポーツの現場でマッサージを行う場合、気を付けることはありますか?

 

河野 競技前と競技後、競技種目のシーンによって違います。教科書には、けがをした箇所は触ってはいけないと書かれています。

 
しかし現実的には、けがをした場所には診察の意味も含めて当然触れていきます。けがをしたときは患部周囲の筋肉は緊張を増し、壊れた組織片などが貯留することでより腫脹が起きてきますので、組織片とともに発痛物質、炎症物質を早く患部から取り除くことが新しい治癒過程を進めることになります。このときは傷口を広げないように緊張を緩めたりすることもあります。けがをしたときこそ教科書に載っていない手法が施されるんですよ。またけがをした場合はクールダウンができていないので、疲労回復の手段としても積極的にマッサージを適用します。

 

 

――アスレティックトレーナーは著名人と接することがあり、憧れる仕事でもあります。心がけておくことなどありますか。

 

河野 相手に最も近づくことができる職業であるがゆえに、相手に近づきすぎないことが大事です。つまり、プロに徹することですね。誰がクライアントであろうが顔色一つ変えずにやるべきことをやります。


われわれはプロの部分を買われ、信頼されて仕事の依頼を受けています。相手との距離感を保ち、会話にも気を付ける。現場スタッフがクライアントの方から食事などをご一緒させていただくときなどは「勘違いしないように」と注意しています。もちろん、ご縁ですからその時間は大切にして楽しませていただきますが、「個人」としてのお付き合いではなく「メジャー・トレーナーズ」としての関係が継続できるように気をつけるということです。クライアントは友達ではないのですから。ホテル、レストラン業と一緒ですかね。

 

 

――目の前のクライアントだけではないということですね。仕事のつながりを考えろ、と。


河野 そうですね、例えば腰痛で俳優さんが動けない状況だったとしましょう。舞台や撮影現場には多くの関係者がいて、俳優さんの健康状態はみんな心配しています。アスレティックトレーナー(セラピスト)とクライアントが1対1の関係だけで仕事をすると、セラピストが「大丈夫だ、俺に任せておけ」と言いきってしまうことがあります。どんな状態なのか必要な関係者に説明し、客観的にリスクを考えなければいけないのに、状況判断ができないわけですね。

われわれはあくまでも現場のチームの一員として動いていることを自覚して、クライアントの間に他者を入れる感覚を持つことを大事にしています。

医師がいるときはお任せし、コーディネーターに徹して、現場でフットワークよく、いろいろな能力を発揮できるのがわれわれの特徴ですから。

 

 

――美容業界でも指導にあたっているそうですね。


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河野 ヘルスケア全般に力を入れるところが増えました。ここ2、3年は鍼灸マッサージ師の技術、メジャー・トレーナーズで培ってきた技術が美容業界のニーズと合い、アドバイザーとしての依頼が増えています。エステティックは基本的に皮膚へのアプローチですが、皮膚を支えているのは筋肉、骨格ですので、メジャー・トレーナーズが得意とする筋骨格系へのアプローチが役立つようです。


最近感じるのですが、民間任意団体は、第3次産業として利用者から支持されるためにどうしたらいいかを考えて、接客応対などにも力を入れています。サービスの意識が高いですね。たとえばエステティック業界のある会社では、エステティシャンは通勤服でもジーパン・スニーカー禁止なんですよ。「美」に携わる意識をそんなところからも養っているんですね。

 

 

――鍼灸マッサージ師の学校でも、接客の指導が必要ですね。


 

河野 美容業界の方々と接していて、そう感じます。学校では鍼灸マッサージ師の資格試験に向けての勉強を教えるだけではなく、人を迎える側としての指導を増やしていただけると助かります。民間療法が世間に支持され選択肢が増えている現在、資格を持っているだけではなかなか食べていけないですからね。感謝の気持ちをもって接し、利用する側もされる側も尊敬しあえる関係をつくることが大切だと考えています。

 

 

写真上:トレーニングの様子

写真下:メジャトレ接骨院内のベッドサイドでスタッフに指導する河野氏(右)

 

河野智和(こうの・ともかず)


株式会社メジャー・トレーナーズ取締役

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1968年東京都生まれ。日本鍼灸理療専門学校本科卒。鍼灸マッサージ師、日本体育協会アスレティックトレーナー。1988年より株式会社メジャー・トレーナーズ所属。
様々なフィールドでトレーナー活動を行い、現在は「トレーナー」の活躍の場を広げることを主眼においている。今年からはアメリカ・メジャーリーグへのインターンシップ事業を行うJBATS(Japan Baseball Athletic Trainers Society)の事務局業務も兼務している。

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