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第22回サロン・ゼン(禅)がパリで開幕
フランスにおける指圧などの東洋療法の人気を裏づける [2009.11.30]
<海外寄稿>
「第22回サロン・ゼン(禅)がパリで開幕 フランスにおける指圧などの東洋療法の人気を裏づける」
取材・文・写真/Tomoko FREDERIX
パリだけでも400を超えるビジネスショー(フランス語で“サロン”)が毎年催されているが、「自己開発とウェル・ビーイング、東洋の伝統」をテーマにしたサロン・ゼン(禅)が今年もパリで10月1日から5日間開催された。3万5000人(前年比13% 増)が訪れるほど好評を博し、フランスでの東洋ブームを一段と印象づけた。

アンド会場のエスパス・シャンペレ入り口
335のブースが並ぶ中、禅寺「パリ禅道場」の僧侶にこのショーのネーミングについての意見を伺うと、「90年代に禅を解説するアメリカの本 〈注1〉 が“ソワイエ・ゼン ”(フランス語で“禅で、ありなさい”の意)と訳されて以来、一般に伝わり、今では“ゼン”という形容詞は“落ち着く”などの意味を含んだ、日常的に使われるフランス語になっている。たくさんの人が禅宗とかけ離れた解釈をするのは遺憾であるが、この“大衆化”を全く否定するべきではないと思い、私たちもあえてここに参加することにした」と、苦笑いで答えてくださった。
サロンは「東洋の伝統」を目玉に、「ウェル・ビーイング、健康、美容」、「自己開発」の3つのコーナーに大きく分かれ、7カ所の 各種講演(延べ150回)と実技実演(延べ25回) 会場は、すべて満員御礼だった。販売ブースでは、フランス発祥のアロマテラピー、イギリス発祥のバッチ・フラワー、音楽療法、風水、パワーストーンなど自宅やオフィスで実践できる民間療法からプラセボ的なものまで、様々な商品が並べられ、にぎわいを見せていた。また、伝統療法である指圧やマッサージの実技には、列をなして自分の順番を待つ人が溢れ、会場の通路は通行が困難なほどだった。

アンドレ・ナウム氏(写真中央)が経営する学校の指圧実技ブース
フランスでは医師の診断書があるなど特定の場合に限って、宿泊込みの温水治療の一部費用に国民保険が適用される。国民保険が適用となる手技療法はキネジテラピー(フィジオテラピー)のみだが、鍼灸や“タオイズム”を起源とする東洋療法とその効用には来場者たちも興味津々。リラクゼーションやリハビリテーション、ストレス解消に非常に効果のある神秘的で安全な療法として評価されてきているようだ。
指圧は1955年にフランスに紹介されたといわれており、今回のサロンでも、関連ブースが数カ所あった。その中で 1994年に設立されたフランス伝統指圧連盟〈注2〉は550人の指圧師が加盟している。この団体は、一般向けの入門を含めた正しい指圧の伝授と日本への研修旅行、広報活動、更にドイツ、イタリア、スイスの連盟と協力し、国および国際レベルで治療法としての認定獲得を目指して活動をしている。
ヴェトナムのモナス氏(左)とフランスのセシル・ゴルドン女史(右)
プロ指圧師組合〈注3〉長を務めるアンドレ・ナウム(André Nahum)氏は講演の後、氏がパリとマルセイユで運営する指圧学校で学んだ指圧師による実技ブースに姿を見せた。ここで実演されていた、リラックス効果のあるラヴェンダー精油などをブレンドしたマッサージオイルを使用する“アロマテラピー・指圧”は、フランス式指圧と呼んでも良いだろう。
ヴェトナム式マッサージのブースでは、10年ほど前からパリで治療を行っているモナス(Monath)氏が身体全体のみならず、第六感まで使うという独自の方法で患者の膝をぐりぐり廻しながら治療していた。椅子に座っていた女性は金属の細いステックで、つぼマッサージ、ディエン・チャム( Dien’Cham’)をしてもらっていた。美顔を兼ねるマッサージは、やはり女性に人気だ。
ソウル大学教授のパク(Park Joe Woo)氏が提唱するリフレクソロジー、スジョク(SuJok:「手足」の意)は80年代から韓国の他、北米、ロシア、ヨルダン、モロッコなどなど広範囲に渡る活動をしており、4年前にはパリにスジョク・テラピー研究所を設立。鍼灸とマッサージを手足に施すのが基本だ。足裏マッサージのリフレクソロジーは、1、2年の研修を受け、プロとしての資格を与える国際連盟〈注4〉があり、プロ養成にも力をいれている。
約5千年の歴史を持つと言われるインド発祥のアーユルヴェーダ(Ayurveda:生気+知識を意味する合成語)を継承するセシル・ゴルドン(Cécile Gordon)女史は20年もの間、この療法を指導するフランスの第一人者。彼女はカヤリパヤット(Kalarippayat)・マッサージを、発祥の地ケララに学びパリで活動。現地での研修旅行のオーガナイズもするヴァイタリティ溢れる女性だ。
アメリカの指圧師ハロルド・ダール(Harold Dull)氏が提唱する東西の療法の統合、ワッツ(Watsu:Water+Shiatsu)のブースでは、35度に保たれたプールで治療が行われる模様をビデオで紹介。フランスでは、キネジテラピー(フィジオテラピー)の一種とされるため保険がきく療法の1つである。
2003年以降5年間で訪問客数は41%増えた上、今回は前年比で13%訪問客数が増えたこのサロン、次回も2010年9月末開催予定である。
〈注1〉『Everyday Zen』Charlotte Joko Beck & Steve Smith著
〈注2〉フランス伝統指圧師連盟:Fédération Française d Shiatsu Traditionnel
〈注3〉プロ指圧師組合:Syndicat National de Shiatsu Professionnel
〈注4〉フランス語圏リフレクソロジー・プロフェッショナルおよび教育機関連盟:Fédération Francophone des Professionnels et Enseignants Rélexologues






