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日本医史学会・日中韓医史学会レポート [2010.06.28]

 韓国医史学会会長・孟雄在氏

韓国医史学会会長・孟雄在氏

<学会レポート>

「第111回日本医史学会総会・学術大会および第2回日中韓医史学会合同シンポジュウム参加記

 

文・写真/北里大学・東洋医学総合研究所医史学研究部
猪飼祥夫

第111回日本医史学会総会・学術大会および第2回日中韓医史学会合同シンポジウムが6月11日~13日、茨城県・茨城大学水戸キャンパスで開催された。

 

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11日は研究者を集めて「越境する伝統、飛翔する文化―漢字文化圏の医史」というテーマで日中韓医史学会合同シンポジウムが開かれ、日中韓医史学会の研究者たちが活発な討論を行った。セッションでは韓国医史学、日本医史学、ベトナム医史学について討論が行われた。日中韓だけでない貴重な視点として、特にベトナム医史学は討論でよく取り上げられた。また、討論に先立ち、各国の研究者が相互理解を図れるように、日本語・韓国語・中国語・英語に翻訳・編纂された抄録誌も発行された。


12日と13日は、第111回日本医史学会総会・学術大会(大会会長・真柳誠氏)が開かれた。会長講演「日韓越の医学と中国医書」では、東アジアの医学史研究について「2国間比較による差異を明らかにするより、3カ国、4カ国の共有する部分を研究することが重要である」と指摘した。特別講演では茨城大学名誉教授・鈴木暎一氏が「水戸藩の学問と医学」というテーマで、興味深い水戸の医学人物史を口演した。

 

 

 

 

 

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一般口演は3会場に分かれて開催された。姜棹現氏ら(「王室記録に見られる『東医宝鑑』関連記載の分析―正祖時代までの記録を中心として」)、呉龍澤氏ら(「本草効能用語に関する研究」)、呉在根氏ら(「『東医宝鑑』湯液篇の本草分類に対する研究」、李丙旭氏ら「『脾胃論』に記載された述語の分類に関する研究」)など、多くの韓国人研究者は母国語での口演に加え、コンピューターを活用して日本語の資料を掲げるなど、日本の参加者に配慮した発表を行った。中国の研究者からも興味深い報告がなされた。

 

 

 

 

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特に、陳明氏(「『燕行使』『通信使』と明末清初における東アジア医学知識の連動」)や郭秀梅氏(「宋大仁が三木栄にあてた一通の手紙で得た励まし」)は近世・近代の日本と中国・韓国の医学交流についての印象的な口演を行った。(写真は右上が会長を務めた真柳誠氏、右下が中華医学会医史学分会後任主任委員・張志斌氏)




日本の研究者では看護学史、西洋医学史、蘭学、近世近代医学史、文献学、鍼灸史などについて多くの口演があった。

 

・松本秀士氏ら「近代中国における西洋解剖学の初期的伝播について」

・園田真也氏「眼科顕微鏡開発史」

・岩間眞知子氏「茶と『神農本草経』について」

・松岡尚則氏ら「傷寒論における「堅」と「鞕」と「革+卯」」

・田中祐尾氏「田中彌性園収蔵小野蘭山書簡およびその学統について」

・土屋久氏「治療神としてのカナヤマサマ―八丈島での事例から」

・小田なら氏「ベトナム近現代史における「伝統医学」」

 

など、多彩な研究発表が行われた。

鍼灸史の分野では、

 

・林孝信氏「『素問』『霊枢』における三焦概念の変遷」

・寺川華奈氏「『殿暦』の鍼灸」、宮川隆弘氏「『鍼灸要法』について」

・鶴田泰平氏「『一原三岐』について」

・松村紀明氏ら「『鍼灸施治姓名録』について―幕末の岡山県邑久郡周辺における鍼灸記録」

・大浦宏勝氏「京都府立盲学校資料室所蔵の『杉山真伝流』関連写本について」

・木場由衣登氏「青山道醇の『鍼灸備要』について」

 

などが発表された。宮川氏、鶴田氏は丹念に文献を調べた結果得られた新発見について発表し、大浦氏は杉山和一に対する研究成果をまとめた。

 

今回の学会では、早くから始まった東アジア諸国間の交流により、共通する医療文化が根づいた一方で、それぞれの国で独自の発展を遂げていったことが明らかとなった。こうした知見は、今日の情報社会において新しい研究の方向性を示すものであり、大変意義深い。

 

 

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懇親会の様子。開催地の水戸にちなんで水戸黄門が登場