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ゴッドハンド・妻木充法氏の
南アフリカワールドカップ現地レポート(3) [2010.07.01]

FIFA(国際サッカー連盟)の要請を受け、妻木充法氏(写真右から2番目)は南アフリカで開催されているサッカーワールドカップの審判へのメディカルサポートに参加しています。日本チームは決勝トーナメントでパラグアイに敗退しました。残念ですが、妻木氏とともに鍼灸師の鳥海崇氏(写真左)と理学療法士の中島圭吾氏(写真左)のサポート活動は続いています。前回のレポートでは、審判の練習風景、1日のスケジュール、メディカルチームの役割が伝えられました。審判も多国籍、メディカルチームも多国籍。なかなかハードな環境のようです。

みなさん、おはようございます。

ここプレトリアは、朝方ずいぶんと冷え込むようになりました。写真のように、ホテルの庭には白く霜が降りるようになりました。

 

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ところで前回、マスコットのザクミがライオンと書きましたが、調べたところヒョウでした。訂正します。
今回は、メディカルチームの仕事(治療やマッサージ)についてレポートしましょう。


●メディカルチームのオフィス

この写真の英国風の建物(カンファレンスセンター)にすべてのパート、つまり、テクニカル、フィジカル、サイコロジカル、エナジーパフォーマンス、そして、メディカルのオフィスが入っています。

 

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メディカルチームには、2つの部屋が割り当てられています。ヘッドフィジオのマリオ(スイスのPT)と私は、専用のオフィス兼治療室で仕事を行っています。ノートパソコンやプリンターを置いて、このレポートも、ここで書いています。
余談ですが、デスクトップは、駄目です。予期しない停電があるので、データが飛んでしまう危険があります。それも先日は、1日に5回もありました。

 

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デスクの横が、治療スペースになり、電動ベッドが3台置かれています。いちばん左が私の治療ベッドです。

 

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ディスポ鍼や酒精綿など治療器材は、机に並べています。数量は、たとえば、円皮鍼のパイオネックスは、20箱、寸3-1番鍼と寸6-2番鍼は10箱ずつ、2寸-3番鍼は5箱、といった具合です。箱入りの酒精綿も15箱持参しました。もちろん、テープ類や消毒器材なども準備しました。
写真の右側の大きな黒いケースにトレーナー活動に必要なものが詰まっています。

 

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マリオのベッドの横の机には、診断用の超音波エコーが置いてあります。おもに筋損傷の診断に用いますが、非常に助かっています。というのは、審判は、選手より年齢が上(平均年齢39歳ぐらい)であり、試合中の交代ができないこともあり、肉離れ(ふくらはぎや大腿部)などの早期診断と治療が重要になってくるからです。マリオと私は、西洋の理学療法士の診断治療と東洋の鍼治療を併用(コンビネーション治療)しています。

 

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他の6名のフィジオ(メディカルチームは、こう呼ばれている)は、写真のように、別の大きな部屋で治療やマッサージを行っています。ここには電動ベッドが8台あります。

 

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●治療のスケジュール

マッサージやトリートメント(物理療法や鍼治療)は、昼食後15時半前後より開始します。スケジュールによっては、夕食後も行います。写真のような予約表を事前に掲示して、希望者は名前を書くわけです。時間は1人30分と決め、遅刻したら受けられません。予約表は、写真のように8名分あります。

 

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日本人の治療でも30分刻みでこなすのは、結構大変ですが、ここはFIFAです。下の表のように世界44カ国から審判が来ているのです。30分刻みでスペイン語、フランス語、ドイツ語などを話す審判の主訴を聞いて、信頼される的確な治療を行うのは、慣れないとなかなか大変です。
下の表は本大会の審判たちの国籍です。私は、アフリカのマリやセーシャルなどがどこにあるのか知りませんでした。

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フィジオたちは、オイルマッサージが中心ですが、低周波、超音波、ホットパックなどの物理療法も行います。やり方は、みなそれぞれ違っていて個性があります。


●マッサージとトリートメントの違い

FIFAでは、つまりヨーロッパの考え方としては、マッサージとは疲労回復とリラクゼーションの目的で行うもの、という暗黙の了解があるようです。日本ではマッサージが治療と思われますが、こちらでは、リラクゼーションです。

 

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治療、つまりトリートメントは主にTENSや低周波、超音波などの物理療法とモビリゼーションとはっきり分かれています。ですから、審判には初めに、マッサージなのか、トリートメント(どこか問題があるのか)なのかを聞かないと、審判の希望とやっていることがミスマッチになることがあります。
ただ、私のところには、自分ではどこが悪いかわからないから、悪いところを探してくれ(チェックプリーズ)といってくる審判が結構います。
私は、Oリングテストを利用して鍼治療だけを行っていますが、私の治療を初めて受けたレフェリーは、たいてい「インクレディブル(信じられない)!」と叫ぶことが多いようです。世界で行われているスポーツ選手への鍼治療は、日本(あるいは、私の方法)とはまったく違います。物理療法をやってもあまり効果がないから、鍼でもやってみようかといった感が強いです。
やはり、このケースは鍼治療しかない、鍼がベストだ、というようでないといけないと思います(逆にいえば、すべてを鍼で治療するのではなく、的確に見極めて最も患者によい治療を行うようにしたいものです)。

 

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南アフリカの夕暮れは、青空が、刻々と赤く染まって暗い闇となる時間は、もうなんともいえません。そして、夕食の時間となります。次回は、こちらの生活なども紹介したいと思います。

 

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私のブログもご覧ください。
http://blog.goo.ne.jp/tmsblog-tsumaki
それでは、また。



~追伸~

予選リーグの日本対デンマークの試合に応援に行きました。3対1で日本の勝利でした。日本の誇りを感じさせてくれた日本代表に感謝します。そして、FIFA審判をサポートすることを通じて、日本代表に貢献できることを心から嬉しく思います。

 

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