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「遠絡療法ベーシックセミナー」レポート
~遠絡療法の核心に「少々」迫る!~ [2011.04.25]

柯尚志医師

柯尚志医師

小社刊DVD「遠絡療法 基礎編」は、その理論の紹介は最小限におさえ、日常よく目にする「痛み」の治療をテーマに、その治療法のマニュアル化に徹した。発刊後、DVDを見て遠絡療法を試し、手ごたえを感じた方は少なくないようで、「もっと勉強してみたい」「セミナーなどはありますか?」など、お問い合わせを多数いただいている。そこで今回は、DVDの一歩上のレベルが勉強できるという「べーシックセミナー」にお邪魔し、「ちょっとだけ」ではあるが、遠絡療法の真髄に触れることができた。

4月3日、東京都・品川イーストワンタワーで開催された遠絡療法ベーシックセミナー(東京会場のほか2か所でも開催)は、震災の影響によりセミナー開催告知を自粛したため、参加者は通常の4分の1程度(16名)。医師、理学療法士、柔道整復師や、DVDを見てさらに関心を持ったという鍼灸師が参加していた。

 

 

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局所治療について、まず治療ポイントを見つけやすい手を使って説明した

 


遠絡療法は「順序立てて勉強していく」ことが大事なポイントであり、セミナーもかなり細分化されている。ベーシック、A、B1、B2、C、Dクラス、そしてその上には「自らの身を削ってでも患者を治す覚悟がある」(遠絡療法創始者:柯尚志医師談)という先生方がさらに勉強を積む「尚志塾」がある。上級クラスになると難病の治療に関する勉強が多く、治療ポイントへの刺激にレーザーなどを使うこともあり、治療法について法的制限が少ない医師が多いようだ。だが、世間は難病ばかりではない。命に別条がなくても、毎日がつらくなるような痛みや苦しみを抱える患者は星の数ほどいる。他で何をやってもとれなかったという患者の痛みが遠絡療法でとれれば、さらに勉強したいと思うのは当然だろう。


当日は柯医師自らが講師を務め、遠絡療法の特徴、そして具体的にどんな治療法かについて、その理論体系、独特の病態把握の方法などを、例をあげながら「ベーシックセミナー」向けに、かいつまんで説明した。その内容をさらにかいつまむと、大体下記のようになる。

 
人間の体内には血液やリンパ、組織液、神経活動、代謝、そして気など、常に様々なものが流動している。遠絡療法では、その流動的な現象をまとめて「ライフフロー」と呼び、その流れが何らかの原因によって滞ったり、つまったりした場合、痛みやしびれ、あるいは腫瘍などの問題となって表面化する。そのつまりや滞りを解決すれば、疾患も治癒するというわけである。

 

参加者の中には「それは(柯先生の)仮説ってことですか?」という質問があったが、どの人間の体にも、生きていれば実際に血液などが常に流れている状態であり、特に経絡を学んだ鍼灸師には何となく理解できる話である。だが、その「体内のあらゆる物質の流れが滞る、詰まる」ことが疾患の原因ならば、「それはどうして起こるのか?」という質問があった。


医療機関で診断を受け、投薬などの医療措置を受けても治らず苦しんで来院した患者を診る場合、柯医師は患者の①遺伝的要因、②胎児期の環境、③誕生時(分娩時)の状態、④幼少時の高熱などまでさかのぼって考えるという。というのは、痛みの要因がその痛む部位そのものにあるならば、遠絡治療の局所治療ですむ(この治療ポイントも、痛む部位とは遠隔だが)が、それで治癒しない場合、柯医師は「アトラス」とよぶC1(第1頸椎)および脊髄のいずれかの「損傷」が主な要因と考えるようだ。そしてそれは、先にあげた4つの条件に関連していることも多いという。

 

 

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患者役の参加者は、慢性の痛みを広い範囲で抱えている人が少なくなかった。要因、つまり治療点が多い場合、柯医師は助手と一緒に手技を行い、「一人でも治療できますが、今日は時間がないから助手も一緒に」と、駆け足ながら治療にも熱が入った。


遠絡療法では、局所治療をしても効果がない場合、このC1および脊髄のいずれかの部位が損傷を受けていて、そこから体に様々な症状が引き起こされていると考える。患者が痛み苦しんでいる症状が、どの脊髄神経の損傷によるのかを突き止めることが必要になるという。

 

ここで、遠絡療法独特の病態把握の仕方が求められる。たとえば、鼻炎でもないのに、起床時に口腔内がカラカラに乾いている場合、つきつめていくと顔面神経の働きが低下していて、さらにつきつめると、それは延髄に何らかの問題があると考えるという。麻痺にしても、あらわれる部位だけでなく、どういう順序で麻痺が広がったかなど、1つの病態をかなり細分化し、そこから病因を探していくのである。神経支配に関する知識は現代医学的だが、遠絡療法の場合、病態の把握に関する考え方が全く違う。現代医学では症状から病名をつけ、その病名、またその病名に付随する症状に対して治療をするのが主流である。だが、遠絡療法では「病名(診断名)=病因」とは考えず、あくまで患者が今抱えている症状からスタートし、その要因を探っていく。症状が多岐にわたれば、要因は1つではなく複数あると考えるのである。このため、上級クラスになるほど、さらに高度な病態把握の仕方を勉強していくことが、必要になってくるという。


このような話を柯医師はベーシックセミナー向けにかいつまんで、かつ「駆け足」で説明したが、当日のセミナーのテーマはあくまでベーシック、つまり「局所の痛みに対する治療」(DVDで紹介されていた治療法)である。柯医師は、参加者を患者役にして治療をして見せた。だが、実際には痛みが広範囲だったり、ズキズキする、重だるいなど、単純な痛みの人ばかりではない。中には治療ポイントがかなり増え、手技の時間も相当長くかかる人が現れ始めた。病因がC1および脊髄のいずれかにある場合、柯医師は「この方法は、さらに上のクラスで勉強しますが」とことわりつつ、レーザーも使うなど多彩な治療法を見せた。参加者の中には、治療ポイントを深圧されている間に苦痛の声を漏らす人もいたが、柯医師は「患者にはあらかじめこういう治療であることを話し、理解を得ておく必要がある」と解説した。


痛みの部位が比較的限られている人は、治療後に「かなり楽になった」という声が多かったが、慢性化した腰下肢痛などは、やはりなかなか難しそうだった。「今日だけではだめだけど、今日痛みをとれるところまでとろう」と、柯医師のほうが熱心で、治療するにはなんとしても治したい、と常に思っている医師魂のようなものが表れていた。そして「今日習ったことを、今自分が抱えている患者さんに絶対試してくださいね」と何度か強く語っていた。


後半、柯医師は、バイク事故による全身症状に苦しみ、医療機関での治療に疲れた挙句、自分のもとに来た男性患者の治療風景を動画で見せながら、実際の治療の流れや、遠絡療法の多大な可能性について語った。難しい疾患になるほど、それまで医療機関をたらいまわしにされ、警戒心に満ちた患者の心をほぐす人間力も求められるという。長期にわたる治療になると思ったら、まずはその場である程度の痛みをとり、患者の警戒心をとく。そして自分の治療がどういう効果をもたらし、その先どういう治療プランが考えられるかを、患者に説明する能力も必要になる。難病の治療になるほどテクニック以上にさらに様々なスキルが求められるが、何があっても投げ出さない、なんとしてでも治してあげる、という決意が先に立つという。確かに簡単ではなさそうだが、とにかく今までにない考え方をベースにした治療法ということは確かなようだった。


「DVDをみてやってみたら、おもしろくて……」という、ある鍼灸師は、自分で押し棒を手作りしたという。会場で、遠絡療法のテキストやオリジナルの押し棒を熱心に眺めていた。

 

 

 

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遠絡療法 基礎編

 

 

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