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海外研修レポート:湘南医療福祉専門学校が韓国の慶熙大学で海外研修を実施 [2013.05.06]

慶熙大学附属韓方病院

慶熙大学附属韓方病院

湘南医療福祉専門学校は、3月3日から9日にかけて、韓国・ソウルにある慶熙(キョンヒ)大学にて学生の海外研修を行いました。現地の大学や病院における講義・臨床見学などによって、韓医学の考え方、韓国における鍼灸治療の実際を学んでもらうことを目的とした今回の研修には、同校の学生17人が参加しました。湘南医療福祉専門学校東洋療法科副主任の森岡裕貴先生に研修の模様をレポートしていただきます。

●研修プログラム
今回の研修では、プログラムの計画において、慶熙大学附属韓方病院の病院長の曺基湖(チョキホ)教授にお世話になりました。曺教授は、日本でも鍼灸学会での講演を始め、さまざまな講演会を行っている方です。曺教授には、こちらの要望していた以上のプログラムを計画していただきました。また突然の要望にも臨機応変に対応してくださり、たいへん素晴らしい研修を行うことができました。

研修期間中、4日から7日にかけては慶熙大学附属韓方病院で研修を行いました。そのプログラムは下記のとおりです。
1日目:大学病院内見学、臨床見学
2日目:韓国における鍼灸事情および手技体験の講義、臨床見学
3日目:韓医学における治療法および実技の講義、臨床見学、気功体験
4日目:韓国の統合医療の現状の講義、臨床見学
臨床見学と実習は、4グループに分かれて行いました。

慶熙大学附属韓方病院は、鍼灸科(疼痛と麻痺等の症状を訴える脊椎関節疾患、麻痺疾患を対象とした科)、韓方内科(韓方内科Ⅰ:肝疾患を対象とした科、韓方内科Ⅱ:心臓・循環器疾患および脳・神経系疾患、韓方内科Ⅲ:消化器系疾患、韓方内科Ⅳ:アレルギー疾患、呼吸器疾患、韓方内科Ⅴ:泌尿器系疾患)、四象体質科、漢方再活医学科(リハビリテーション科)、皮膚科、韓方婦人科、韓方小児科、漢方神経精神科があり、すべての科で鍼灸治療を行っています。当校の各グループはこの中の4つの科を見学することができました。

 

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研修での講義風景

 

 

●臨床見学
臨床見学では、治療を終えた先生方が当校の学生に対して、疾患に対する診断方法、治療方針、治療穴等を説明していただきました。日本語が話せる先生は、日本語で説明してくださいました。日本語が話せない先生でも、英語やパソコンを使用して翻訳してくださったり、経穴名に関しては漢字を書いてくださったりして、親切丁寧に対応していただきました。当然、当校の学生は英語で説明されても理解できない学生が大半なので、大学病院の先生方には非常に御苦労をおかけしてしまいました。

韓国では、『鍼灸大成』を基本的な治療の考え方としています。特に、脈診や舌診、腹診を行うことはなく、疾患に対して治療穴が決まっており、どの患者さんにもほぼ同じ治療穴を用いた治療を行っていました。その他、臨床見学で学んだこと、印象的だったことを以下に紹介します。

〈蜂毒薬鍼〉
まず、今回の臨床見学では、腰痛患者さんに対して“蜂毒薬鍼”を行っているのを見学することができました。蜂毒薬鍼は、鍼の効果と、蜂毒による炎症=温熱効果、炎症による腫脹=吸角のような効果が期待できる療法です。蜂毒の製法は蜂から毒を抽出した後、1/20,000に希釈し、薬鍼として使用されるそうです。患者さんに蜂毒薬鍼を行う際は、蜂毒に対してアレルギー反応があるかどうかを事前に調べていました。アレルギー反応の検査は、1/1000濃度0.05ccを腕に注射し、15分後に500円玉くらいの大きさの丘疹が出ると、不適応となるそうです。

皮膚の発赤は、ツベルクリン反応と同じような出方で、5mmくらいの発赤と腫脹が見られました。当校の学生は2人体験しましたが、1人は1日で発赤は消退し、もう1人は2日間くらい発赤が残っていました。蜂毒薬鍼が適応となるのは、発赤が1日で消退した方でした。蜂毒療法の適応疾患は、筋骨格系の痛みだそうですが、保険適応外のようです。

〈四象体質〉
四象体質科では、韓国固有の体質医学である四象医学を臨床に適応させた治療を見学しました。四象体質は、体質診断を行って、少陽人(痩せた筋肉質タイプ)、少陰人(痩せで筋肉のないタイプ)、太陽人(筋骨がしっかりしたタイプ)、太陰人(肥満タイプ)の4つに分類し、体質改善を行う医学です。今までの臨床結果として退行性疾患、老化性疾患、免疫疾患で体質的治療の効果が出ているそうです。四象体質科の体質改善クリニックでは、はっきりとした病名のない身体の不調を訴えている患者さんや一般の方に、体質診断と健康診断を行い、体質的に虚弱なところを整えて症状の改善を目的とした治療を行っていました。

〈脊柱の矯正〉
臨床見学では、矯正専用の道具を使用して脊柱のアライメントを整える治療を見ることができました。脊柱の歪みに対して、木材を加工してつくったさまざまな形の道具を歪み具合に合わせて脊柱にあて、木槌を使ってアライメントを整える治療です。特に腰痛で来院されている患者に対しては、鍼灸治療で筋肉の痛みや張りを改善し、その後に脊柱の矯正を行っていました。

 

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矯正専用の道具を使用した脊柱の矯正

 

 

〈埋線療法〉
日本の美容外科でも行っていることではありますが、韓国でも女性の美容に対する意識は非常に高いそうです。顔面の皺のリフトアップやバストアップのために埋線療法(注射針の中に手術用糸が入ったものを皮下に挿入する鍼法)を行っていました。しかし、日本同様、美容に関しては健康保険の適応外となるそうです。

 

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研修では、温灸施術についても学んだ。

 

 

●学生の声
最後に、研修を終えた学生の声を紹介いたします。

 

日本では、1つの病院の全体の科で鍼灸を行っているところは見たことがありませんが、慶熙大学附属韓方病院では、来院される患者さんはもとより、入院されている患者さんに対しても鍼灸治療をメインに行っていました。保険が適応となっている漢方薬を処方されている患者さん、保険が適応されていない漢方薬を処方されている患者さんもいました。


韓国では、鍼灸に対する患者さんの理解度が高いことに驚かされました。韓国では鍼管を使わないと思い込んでいましたが、鍼管を使った切皮を行っていたので、日本の治療の行い方と変わりがないのだと思いました。弾入については、日本の教科書の場合は3回から6回程度で切皮を行うのに対し、1発で切皮を行っていたので、切皮痛があるのではないかと思いましたが、実際に大学病院の先生の治療を体験すると切皮痛はなく、技術の高さを感じました。


また、韓国のよいところとして、鍼灸治療に対して保険が適用となることが挙げられます。患者さんが多く来院される要素ではないかと思いました。日本でも多くの方に鍼の効果を理解してもらい、さまざまな疾患に対して保険が適用されると、より多くの方に鍼灸治療を受けていただく機会が増えるのではないかと考えます。

 

今回の研修で学んだ、知識や技術を活かし、今後、鍼灸師としてより多くの患者さんを治療していきたいと思います。

 

 

森岡 裕貴
湘南医療福祉専門学校東洋療法科副主任

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