今月の薬膳

2013

08

夏野菜のスープ煮寒天仕立て

効く
除熱 、清熱 、生津止渇 、去上焦浮熱

今月のレシピは、暑くて食欲もなくなりがちな季節に、口当たりがよく、胃腸にもやさしい一品です。夏野菜をスープでさっと煮た後、補陰の効果もある寒天を使い、つるりとした食感を出しました。

CT083_L.jpg「夏には夏野菜を食べましょう!」これは、薬膳的に考えても理にかなっています。でも何故それがいいのか。陰陽の面から、その理を考えてみましょう。陰陽のバランスが保たれていること、これが健康の基本であると中医学では考えられています。陰陽のアンバランスは、すぐに寒熱として表れます。つまり、陽が多くなれば、暑いと感じ、陰が多ければ寒いと感じるのです。そもそも身体には、陰陽のバランスを保とうとする機能が備わっています。例えば陽が多く暑く感じれば、汗をかいてその気化熱で体温を下げようとしますし、陰が多く寒いと感じれば、筋肉が震えて熱を産生しようとします。体内の機能で足りない場合には、暑ければ服を脱ぎ、扇風機をつけます。寒ければ服を着てストーブに当たります。服の着脱や扇風機、ストーブも陰陽のバランスを保つのに役立っています。

人間は、環境の中で生きています。自分の身体内だけの陰陽のみで成り立っているわけではありません。環境の陰陽と大きく関わっています。夏は陽が非常に強い季節です。私たちの体内では、環境の陽に負けないように、どんどん陰をつくろうとしています。しかし、あまりに環境の陽が強すぎたり、そもそも体内の陰をつくる力が弱かったりする場合には、外からの助けが必要です。

そこで、夏野菜。夏に育つ野菜は、陽の多い環境で、陰をたくさんつくってバランスを取りながら生育しています。夏野菜そのものは、陰が強いのです。つまり身体を冷ます寒涼性の性質を持っています。自分と同じ土地でその時期に育っている野菜から、自分には足りない陰をいただく。地産地消は、薬膳的にも非常に意味のあることです。

さて、ここまでは基本のお話です。人によっては夏でも身体が冷えやすいという人がいます。陽をつくる力が非常に弱い人です。このような人は、夏でも 寒涼性の食物はあまりとり過ぎないようにした方がいいでしょう。また、自分に合ったクーラーでの温度調節のできない電車やバス、会社内、あるいは家庭でも 寒さを感じるようであれば、生姜やシナモン、トウガラシなどの温熱性の調味料で陰陽の調節をしましょう。

もう一つ、非常に重要なことがあ ります。夏はどうしても陽が強くなるので、陰を補い身体を冷ましてくれる食物をとるのが基本なのですが、これは食物の成分の力でのことです。決して、温度 の低さに頼って冷まそうとしてはいけません。冷たい物のとり過ぎは、「脾」を傷めます。消化や水の代謝にも関わる脾は、冷たさを非常に嫌うのです。食物や 飲料も常温か、せめて流水で冷やしたぐらいの温度がいいと思われます。最近コンビニで、常温の飲料を売る動きが出ているということが新聞でも報道されてい ますが、大変いいことだと思います。

熱を冷ます作用のある代表的な夏野菜と言いますと、トマト、苦瓜、茄子、きゅうり、冬瓜などがあります。スイカの皮や白ウリなども、浅漬けだけでなく、スープ煮や炒め物など、加熱して食べてもおいしくいただけます。ぜひお試しください。

今 回のレシピは、暑くて食欲もなくなりがちな季節に、口当たりがよく、胃腸にもやさしい一品です。夏野菜というと、生で食べることを考えがちですが、夏は胃 腸も弱りがちなので、たっぷりの生野菜は胃腸に負担になることも。スープでさっと煮た後、補陰の効果もある寒天を使い、つるりとした食感を出しました。

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材料

きゅうり…1本
トマト…中2個
なす…2本
豚のゆで汁…1カップ半
粉かんてん…5g
薄口しょうゆ…大さじ1
塩、こしょう…少々

作り方

  1. 粉かんてんは水大さじ2の水を加え、30分くらい置く。
  2. きゅうり、なす、トマトは1㎝角くらいのさいの目に切る。
  3. ゆで汁を鍋に入れて沸かし、なす、トマト、きゅうりの順に入れてひと煮立ちさせる。
  4. あら熱をとり、スープでかんてんを溶かして3.に流しいれ、混ぜ合わせる。
  5. 器に盛り、ラップをかけて冷蔵庫で1~2時間冷やす。
食材性味帰経効能
きゅうり 涼甘 肝脾 除熱、利水、解毒
なす 涼肝 脾胃大腸 清熱、活血、止痛、消腫
トマト 微寒甘酸 肝脾胃 生津止渇、健胃消食
かんてん(テングサ) 寒甘鹹 肝肺 去上焦浮熱
筆者プロフィール
瀬尾港二

history001.jpg1960 年宮崎県生まれ。ICU理学科卒業後、85年~94年北京留学。北京中医学院針灸推拿学部卒業。卒後研修を経て、帰国。東京衛生学園を卒業後、後藤学園に 就職。附属はりきゅう臨床施設院長として臨床にあたりながら、講義も担当。2010年3月退職し、同年4月港区高輪に「アキュサリュート高輪」(http://acu-salut.jp)を開設。

 

 

稲田恵子

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神戸市生まれ。養護教諭を経て93年~96年北京中医薬大学養生康復科にて中医営養学、中医養生学を学ぶ。帰国後、(株)永昌源にて勤務の傍ら中医 薬膳に関する講演活動、執筆に携わる。その後㈱保健教育センターにて、特定保健指導継続支援を担当。現在、首都医校看護保健学科専任教員。保健師、看護 師。

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