今月の薬膳

2013

09

かわりむぎとろ

効く
健脾 、慈陰 、和胃寛腸 、補益腸胃

夏の後期に当たる9月は、補気や滋陰の作用などがある食物が最適。今回は、その作用を併せ持つやまいもを使った、ちょっと変わった麦とろごはん「かわりむぎとろ」です。

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今年の夏は暑い! ここ数年毎年言ってきたように思いますが、今年は本当に暑いですね。8月中旬には、高知県四万十市で国内観測史上最高の気温41.0度を記録し、30度以上の真夏日地点は400を超えた日がありました。さすがに今年は、夏バテで体調を崩した方も多かったのではないでしょうか。

さて、いわゆる夏バテですが、その対策は、大きく三期に分けて考えたほうがいいと思われます。まず、夏の初期、6月から7月にかけては、湿気に対する対策。入梅から徐々に湿度が上がり始めます。気温はまだそれほど高くないので、からだの余分な水分である湿を除く力をつける食物をとるようにします。利湿の作用のある食物を多くとるということです。

次に夏の中期、7月から8月にかけては、湿気対策に加えて高温対策を加えます。からだの熱を冷まして、湿もとる作用のある食物を多くとるようにします。清暑利湿の作用のある食物を多くとるということです。

そして夏の後期、8月後半から9月以降にかけては、猛暑で汗とともに失った重要な水分である津液を補充することと、汗とともに外にもれてしまったエネルギーである気を補充することが大切になってきます。もちろん、残暑の強さによっては、9月になっても、清暑利湿の食物をある程度とり続けなければなりません。しかし、まだ暑く湿気が続いているといっても、秋は間近に迫っています。夏の後期に津液を補充することは、秋の乾燥に対処する準備にもつながるのです。

ここで、津液と湿について考えてみましょう。簡単に言ってしまえば、津液はからだに必要な水分で、湿とはからだに不要な水分ということです。台所で例えてみれば、津液は水道からの水やペットボトルの水で、湿は、下水管が詰まって流れが悪くシンクに溜まった水といったところでしょうか。むくんだ脚に溜まった水は、まさにシンクに溜まった汚れた水のようです。飲めませんから、いくら体内にあっても喉が渇きます。そして津液とは単なる水そのものではなくて、水をもとに作られた潤い成分です。ですから単に水を多く飲めば津液が多く出来る訳ではなく、津液を作る能力を高める作用のある食物をとる必要があります。この作用のことを生津作用といいます。止渇作用、あるいは滋陰作用も同様に、からだに必要な水分をからだに保持させる働きです。

夏の後半でもある9月には、補気作用と生津・止渇・滋陰作用のある食物が最適であるといえます。
さらに、まだ気温も高いので、からだを温める作用の温熱性ではなく、平性か寒涼性のものをとるといいでしょう。この条件に合う食物には、下記のものがあります。

 

食材効能
りんご 生津、潤肺、除煩、解暑、開胃、醒酒
生津、潤燥、清熱、化痰
トマト 微寒 生津止渇、健胃消食
葛粉 大寒 生津止渇、清熱除煩

そして、今回ご紹介するのは、食欲のないときにもあっさり食べられて、前述した補気と滋陰の作用を併せ持つ、やまいもを使った一品、「かわりむぎとろ」です。作り方に特徴のあるちょっと変わった麦とろごはん、「かわりむぎとろ」で、9月の夏バテ対策をはかるとともに、からだを秋に備えていきましょう。

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材料

米…2合
押し麦…1/3合
長いも…中1/2本
ごま…大さじ3
にんじん…中1/2
しめじ…1/2株
白きくらげ…5g
しょうゆ…大さじ1と1/3
だし汁…300ml
塩…少々
(約4人前)

作り方

  1. 米をとぎ、2合分の水を加えた後、押し麦を加え、さらに水100mlを加えて炊く。
  2. にんじんはみじん切りにする。白きくらげは水で戻し、しめじとともに石づきを取り除き、手でほぐす。
  3. 鍋にだし汁としょうゆ、塩少々を加え、煮立ったら、きくらげ、しめじとにんじんを加え、しんなりするまで煮る。そのまま冷まし、ざるで汁とにんじん・しめじに分けておく。
  4. ごまは炒った後、すり鉢で細かくすりつぶす。
  5. やまいもはおろし、3.の汁と4.のごまをあわせてよく混ぜ合わせる。
  6. ご飯が炊けたら3.のにんじんとしめじをご飯に混ぜ込む。
  7. ご飯を器に盛り、5.をかける。
食材性味帰経効能
白ごま 甘平 潤燥、滑腸
白きくらげ 甘淡平 滋陰、潤肺、養胃、生津
ヤマイモ 甘平 肺脾腎 健脾、補肺、固腎、益精
大麦 甘鹹涼 脾胃 和胃寛腸、利水
しめじ 甘涼 腸胃脾 補益腸胃
にんじん 甘平 肺脾 健脾懈怠
筆者プロフィール
瀬尾港二

history001.jpg1960年宮崎県生まれ。ICU理学科卒業後、85年~94年北京留学。北京中医学院針灸推拿学部卒業。卒後研修を経て、帰国。東京衛生学園を卒業後、後藤学園に就職。附属はりきゅう臨床施設院長として臨床にあたりながら、講義も担当。2010年3月退職し、同年4月港区高輪に「アキュサリュート高輪」(http://acu-salut.jp)を開設。

 

 

稲田恵子

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神戸市生まれ。養護教諭を経て93年~96年北京中医薬大学養生康復科にて中医営養学、中医養生学を学ぶ。帰国後、(株)永昌源にて勤務の傍ら中医薬膳に関する講演活動、執筆に携わる。その後㈱保健教育センターにて、特定保健指導継続支援を担当。現在、首都医校看護保健学科専任教員。保健師、看護師。

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