今月の薬膳

2013

11

鶏ときのこのスープ

効く
温中 、健脾 、化滞 、祛風発汗

今回はこれからの季節に最適な、風邪予防にもよいスープをご紹介します。きのこに含まれる水溶性の食物繊維には、がんや病原微生物に対しての抵抗力を増加させる機能があります。

 

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秋の深まりを感じる11月。中国では「秋冬は進んで補うものを食べよ」といわれることがあります。秋の終わりから冬にかけての季節には、胃腸の消化力と吸収力が高まるので、夏場にはあまりお勧めできない、少し濃厚なものを食べてもよいという意味があるそうです。季節の変わり目の風邪をひきやすいこの時期、冬に向けての栄養をしっかりとるためにも、参鶏湯(サンゲタン)のような補う作用のある濃厚なスープなど作ってみてはいかがでしょうか。

薬用人参や生薬を使わなくても、体を温める作用のある鶏肉を使った具たっぷりのスープは、この季節の食材であるきのこやにんじんといった補気や健脾作用のあるものを組み合わせると、身近なものだけでも体にやさしい薬膳になります。

鶏肉はしっかりだしが取れるだけでなく、良質のコラーゲンをたっぷり含んだ骨付きの手羽先や手羽元を使います。コラーゲンは皮膚の細胞にハリを持たせる物質として知られ、アンチエイジングのドリンク剤やサプリメントとしてもたくさんの商品があります。コラーゲンは肌や血管の柔軟性を保たせるために重要な物質であり、さらにひざなどの関節を滑らかに保つとされています。ところが、国立健康栄養研究所の健康素材に関する情報を読むと、コラーゲンはタンパク質の一種であり、消化されてアミノ酸にまで分解したものが腸壁から吸収されて血液中に入り、これを原料としてコラーゲンを作っているので、食べたコラーゲンがそのままお肌に定着するものではない、とされています。

 

とはいうものの、コラーゲンを再合成するためには、その原料になるアミノ酸が多く含まれているコラーゲンそのものを多く食べたほうが効率が良いとは考えられますね。同じような考え方として「臓を以て臓を補う」という薬膳の原則もあります。肝臓が弱っていれば、レバーを食べて補う、心臓が弱っていればハツを食べて補うというものですが、これも、臓器の補修用のアミノ酸を効率よく補給するという考え方かもしれません。

薬膳の考え方に基づく食物学の考え方では、コラーゲンを多く含む食物の効能として、抗老化つまりアンチエイジングによいとされています。60代で40歳にしか見えなかった、と言われる西太后も薬膳に基づく抗老効果のあるものを毎日食べていたそうです。コラーゲンを多く含む食物としては、牛すじ肉、鶏軟骨、豚白もつ、ふかひれ、うなぎなどがあります。また魚の皮にもコラーゲンが含まれていますので、多く食べるようにしましょう。

今回は身近な食物だけで作るスープをご紹介します。この季節、おいしい大根を加えたくなるかと思いますが、大根は行気の作用により、気を流してしまいますので、補気の効能を大切にしたい場合には一緒に食べないように気を付けましょう。きのこに含まれる水溶性の食物繊維には、ナチュラルキラー細胞を活性化する作用があり、がんや病原微生物に対して抵抗力を増加させる機能があります。これからの季節、風邪予防にもよいレシピです。

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鶏ときのこのスープ

材料

鶏の手羽先または手羽元…8本
にんじん…中1本
しめじ…100g
えのきだけ…100g
乾燥白きくらげ…10g
ねぎ…適量
しょうゆ…大さじ2
塩・コショウ…適量
(約4人前)

作り方

  1. フライパンを温め、薄く油をひいて鶏肉の表面を軽く焼く。
  2. きのこは石づきを取り除き、手でほぐしておく。にんじんはいちょう切りにする。
  3. 白きくらげは水で戻し、石づきを取り除いて適当にちぎっておく。
  4. 鍋に水1500mlを入れ、沸騰したら肉、にんじん、きのこを加え、弱火にして1時間煮込む(時々あくをすくう)。
  5. しょうゆ、塩コショウで味をととのえる。
  6. 器に盛り、刻みねぎを散らす。
食材性味帰経効能
鶏肉 温甘 脾胃
温中、益気、補精、添髄
にんじん 平甘 肺脾 健脾、化滞
ねぎの葉 温辛 祛風発汗、解毒消腫

 

 

きのこ類は種類が多く、書籍にも記載のないものが多いです。『中薬大辞典』に記載のあるきのこ類は以下のものです。

 

中国名和名性味帰経効能
木耳 キクラゲ 平甘 胃大腸 涼血止血
白木耳(銀耳) 白キクラゲ 平甘淡 滋陰、潤肺、養胃、生津
霊芝草 霊芝(キノコ) 平甘 補虚
松蕈 まつたけ 平微辛 清熱、利湿
香蕈 シイタケ 平甘 胃肝 益胃気、托痘疹
黄木耳 金キクラゲ 平甘 滋陰潤燥、生津
榛蘑(密蘑) キノコの一種 -- 祛風活絡、強筋壮骨
蘑菇 キノコの一種 甘涼 腸胃肺 悦神、開胃、止瀉、止吐。益腸胃、化痰、理気

筆者プロフィール
瀬尾港二

history001.jpg1960年宮崎県生まれ。ICU理学科卒業後、85年~94年北京留学。北京中医学院針灸推拿学部卒業。卒後研修を経て、帰国。東京衛生学園を卒業後、後藤学園に就職。附属はりきゅう臨床施設院長として臨床にあたりながら、講義も担当。2010年3月退職し、同年4月港区高輪に「アキュサリュート高輪」(http://acu-salut.jp)を開設。

 

 

稲田恵子

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神戸市生まれ。養護教諭を経て93年~96年北京中医薬大学養生康復科にて中医営養学、中医養生学を学ぶ。帰国後、(株)永昌源にて勤務の傍ら中医薬膳に関する講演活動、執筆に携わる。その後㈱保健教育センターにて、特定保健指導継続支援を担当。現在、首都医校看護保健学科専任教員。保健師、看護師。

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