今月の薬膳

2013

12

根菜のクリームスープ (最終回)

効く
健脾 、益気 、益精 、解酒など

今回の薬膳はレンコン、ヤマイモを使った体にやさしいクリームスープです。寒さや呑み過ぎ・食べ過ぎへの対策が必要なこの時期、体をいたわるやさしい食事を心がけてください。

SF171_L.jpg今年も、もう12月になってしまいました。一年過ぎるのが本当に速く感じます。12月には冬至もあり、昼間の時間がとても短くなる時期です。陽気も段々と弱まり、寒さも本格的になっていきます。そしてなんといっても、宴会やパーティーが一年の内でも最も多い時期ではないでしょうか。寒さへの対策、そして呑み過ぎ食べ過ぎへの対策、胃腸へのいたわりが大切な月になります。


呑み過ぎと言えば、古くからの本草書に、「解酒毒」と言う効能が出てきます。呑み過ぎや二日酔いに効果があるということです。明代の本草書である『本草綱目』を見てみますと、解酒毒あるいは醒酒などの効能のある食物には、「今月の薬膳」の本年1月号でご紹介した大根や、世間でよく知られているシジミのほかにも、銀杏、あずき、蚕豆、ホウレンソウ、レンコン、梨、西瓜、ザボン、ジャックフルーツなどがあります。葛も酒毒によいとされていて、その花である葛花とあずきの花を粉にして酒に溶かして飲むと酔わないと記載されています。

西瓜など夏の果物は、昔は冬には手に入りにくかったでしょうが、現代では、少々高くついても手には入ります。本来からだを冷やす夏の食材を冬に食べるのは、常態では理にかなったことではありませんが、湿熱の塊ともいえる酒や、辛いもの、油っこいものを食べすぎた“非常事態”には、湿熱を取る効能のある西瓜は効果を発揮します。季節感がなくなってはしまいましたが、便利な現代こそ、薬膳の知識を上手に使いたいものです。

珍しい使い方をもう一つ。豆腐の項に、「焼酎酔死」には熱くした豆腐を薄く切って全身に貼り、豆腐が冷えたら熱いものと取り換える、とあります。急性アルコール中毒の救急救命法だと思われます。いずれにせよ、「呑み過ぎない」のが一番の薬であることは間違いありません。

 

とはいうものの、コラーゲンを再合成するためには、その原料になるアミノ酸が多く含まれているコラーゲンそのものを多く食べたほうが効率が良いとは考えられますね。同じような考え方として「臓を以て臓を補う」という薬膳の原則もあります。肝臓が弱っていれば、レバーを食べて補う、心臓が弱っていればハツを食べて補うというものですが、これも、臓器の補修用のアミノ酸を効率よく補給するという考え方かもしれません。

さて、年末年始に暴飲暴食をするとその後体重が増えるだけでなく、体が重だるく感じたり、疲労感を感じやすくなったりします。メタボの保健指導対象者さんのお話を伺っていると、平均で2㎏、最大2週間で8㎏増えたという方がいらっしゃいました。

そんな時でも、疲れやすさや元気がないと感じると「栄養のあるものを食べなければ」「体をしっかり休めなければ」と考える方は多いと思います。はたしてこれは正しい養生の方法なのでしょうか。

食べすぎは胃腸に大きな負担となり、その後は飲食物の消化や吸収の機能が低下しやすくなります。でも、胃腸が弱っているのですから、余分に食べることはかえって負担をかけていることになります。ましてやスタミナをつけようとしてよく食べられている焼肉のような脂っこいものを食べるのは逆効果。食べすぎた後は、食事の量を減らして消化のよいものを少量食べることで、胃腸を休ませてやることが必要なのです。おすすめしたいのは消化のよいおかゆや、スープ類です。消化がよいので、物足りなさや空腹感を感じるとは思いますが、疲れた胃腸にはこの空腹感こそ最高の薬なのです。

今回の薬膳は補脾、健脾の作用のあるレンコン、ヤマイモを使い、油やバターを使わず、体にやさしいクリームスープです。鶏の胸肉には、疲労回復に役立つといわれるイミダゾールジペプチドが含まれ、疲労タンパク質を下げる効果も期待できます。この時期、体をいたわるやさしい食事を心がけてください。

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根菜のクリームスープ

材料

鶏胸肉…1枚
にんじん…中1/3本
長いも…300g
レンコン…150g
ねぎ…少々
牛乳…200mL
酒…100mL
塩・コショウ…適量
薄口しょうゆ…大さじ1
(約4人分)

作り方

  1. 鶏胸肉は薄くそぎ切りにする。
  2. にんじんは薄く拍子木に切る。
  3. 長いもとレンコンはすりおろしておく。
  4. 鍋に水を500mL入れ、沸騰したら鶏胸肉とにんじんを加え、酒も加えて煮込む。
  5. 肉とニンジンに火が通ったら、あくをきれいにすくい取り、牛乳を加える。
  6. さらに煮立ったら3.のレンコンと長いもを流しいれ、よく混ぜ合わせる。
  7. スープにとろみがついたら、薄口しょうゆ、塩、こしょうで味をととのえる。
  8. 最後に小口切りにしたネギを加え、さっと煮込んで火を止める。
食材性味帰経効能
鶏肉 温甘 脾胃
温中、益気、補精、添髄
にんじん 平甘 肺脾 健脾、化滞
ヤマイモ 平甘 肺脾腎 健脾、補肺、固腎、益精
レンコン(加熱) 温甘 心脾胃 健脾、開胃、益血、生肌、
止瀉、解酒
ねぎの葉 温辛 祛風発汗、解毒消腫
牛乳
平甘 心肺、補虚損、益肺胃、生津潤腸
筆者プロフィール
瀬尾港二

history001.jpg1960年宮崎県生まれ。ICU理学科卒業後、85年~94年北京留学。北京中医学院針灸推拿学部卒業。卒後研修を経て、帰国。東京衛生学園を卒業後、後藤学園に就職。附属はりきゅう臨床施設院長として臨床にあたりながら、講義も担当。2010年3月退職し、同年4月港区高輪に「アキュサリュート高輪」(http://acu-salut.jp)を開設。

 

 

稲田恵子

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神戸市生まれ。養護教諭を経て93年~96年北京中医薬大学養生康復科にて中医営養学、中医養生学を学ぶ。帰国後、(株)永昌源にて勤務の傍ら中医薬膳に関する講演活動、執筆に携わる。その後㈱保健教育センターにて、特定保健指導継続支援を担当。現在、首都医校看護保健学科専任教員。保健師、看護師。

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