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季節の養生と身体づくり〜春の経絡治療(動画あり)

篠原直子

  春は、天の陽気が降り注ぎ始め、地の陰気も上昇してくる季節だという。確かに気温はそれほど高くはなくとも、マフラーを外しコートを脱ぎたくなる。冬の間にしっかりとエネルギーを保ち養生していられれば、続く夏にかけても思う存分のびのびと活動できるだろう。
  最近は冬でもハードな運動を行うエクササイズのスタジオがあるようだ。追い込むのが好きな人がいるのも分かる。これから述べる症例とは別の人だが、ある20代の女性患者が「1月からボクササイズを始めたんです。お休みの日に3コマやってきました。楽しくて仕方がないんです。ストレスは全然ありません。でも生理が止まりました」と話してくれた。
  筆者も心当たりがあるが、20代の頃は体力が無限にあるかのように振る舞い、なかには若気の至りで彼女のように身体を酷使してしまう人もいる。しかし多くの場合大事には至らず、仕事にも支障を来さない。30代、40代は身体のエネルギーが有限であることに気づく時代。ほどほどを身につける必要がある。その後、身体のご機嫌をうまく取れるようになると、よい案配に過ごせるようだ。
  『素問』などの古典を開いてみると、季節に応じた賢い身体の使い方、天と地と調和することの大切さが書いてある。筆者も耳が痛い。
  さて本稿では、冬の終わりにインフルエンザにかかり、春に放出すべきエネルギーを消耗してしまった患者の施術を通して、筆者の治療に対する考え方をお伝えしたい。

施術の一部を撮影した動画をYouTubeに公開しています。

【治療の実際】

  筆者は経絡治療をメインに、シンプルな治療を心がけている。
  手順としては、まず四診(望・聞・問・切)でおおまかな治療計画を立てる。次に、背臥位で中脘、天枢、関元に刺鍼する。これらは本治法の補助穴である。この刺鍼によって陽経の脈が落ち着き、脈が分かりやすく、また、気が巡りやすくなる。これと同じような意味のことは、それぞれの先生方がそれぞれのやり方を持っていることと思う。あん摩やマッサージが軽擦から始まるのと同じである。患者には最初に腹部に鍼を刺す理由について、「鍼が効きやすくなるため」「胃袋は毎日働いてくれているのでその養生に」といった説明をしている。
  その後、患者の状態に合わせた治療を行う。
  施術の大まかな流れは以下の通り。
  1.( 背臥位にて)腹部に刺鍼
  2. 足、手、首、頭部の順に刺鍼
  3. 置鍼
  4.( 腹臥位にて)背部に刺鍼
  5. 足部から上半身の順に刺鍼
  6. 置鍼中に背部へ施灸
  7. 背臥位にて検脈

  ただし、患者の状態にあわせて随時治療内容を変えている。例えば、患者が寒がっている場合は保温のため施灸を先に行うなどする。
  鍼施術には1寸-1番鍼を主に用いる。経絡流注に沿って、切皮程度の深さに刺鍼する。単刺も行うが、10〜15分程度置鍼する場合が多い。

【症例】

【患者】
  69歳、女性。病院、学校、保育園などの給食業務に携わって30年ほどになる。現在は週3〜4日、デイサービス施設に勤務。基本的に立ち仕事である。
【主訴】
  インフルエンザにかかって以降、力が出ず、やる気が出ない。足元が不安定で、ふらつく。疲れやすく、日中は眠いが、夜寝つきにくい。食欲不振、のどの詰まり感、胃もたれがある。ごはんがおいしくない。気分がそわそわして焦り、不安である。

 

つづきは、雑誌「医道の日本2017年4月号」でお読みください。