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嚥下をよくするポールエクササイズ PEPIS(動画あり)

西尾正輝 氏

【はじめに 】

  嚥下関連筋群のエクササイズを行う場合、嚥下関連筋群のみに直接的にアプローチするよりも、全身に働きかけることを介して嚥下関連筋群にアプローチするほうが効果が見られることがしばしばある。とりわけ、嚥下運動に影響を与える異常姿勢の改善を重視した全身的アプローチが功を奏することがある。
  本稿では、筆者が開発したポールエクササイズを用いて、不良な姿勢に伴う嚥下機能の低下を予防・改善する手技について解説する。

【嚥下器官のコア: 舌骨、舌骨上筋群、舌骨下筋群 】

1. 舌骨
  舌骨は、舌骨上筋群によって上前方を下顎骨、後上方を頭蓋底(側頭骨)に連結されており、頸部にぶら下がっている。舌骨は舌と喉頭を支える骨であり、下顎の開口運動にも重要な役割を果たす。ヒトでは他の骨と直接連結しておらず分離独立したU字型の小骨であり、舌骨に付着する筋と靱帯によってその位置を保ち、可動性に富んでいる。

この記事で紹介されているポールエクササイズの一部を編集部で再現し、動画をYouTubeに公開しました。

2. 舌骨上筋群
  舌骨上筋群には、オトガイ舌骨筋、顎舌骨筋、顎二腹筋(前腹・後腹)、茎突舌骨筋の4種がある。オトガイ舌骨筋、顎舌骨筋、顎二腹筋前腹は下顎と舌骨を連結し、嚥下時には、咀嚼筋が緊張して下顎骨が閉口位に固定された状態で舌骨下筋群が弛緩し、舌骨を上前方に挙上する。咀嚼や発話などの開口時には、舌骨下筋群が緊張して舌骨の位置が固定された状態で咀嚼筋が弛緩し、下顎骨を下制する。顎二腹筋後腹、茎突舌骨筋は舌骨と側頭骨を連結し、嚥下時に舌骨を後上方に挙上する。

  顎二腹筋は前腹と後腹が腱膜である中間腱で結合し、中間腱は舌骨体と連結している。前腹は下顎骨内側面の左右の二腹筋窩から起こり、後腹は側頭骨の左右の乳様突起の内側にある乳突切痕から起こる。顎舌骨筋は顎二腹筋前腹の上方にあり、下顎の左右の顎舌骨筋線から起こり、前方3分の2は左右の本筋が正中で合して顎舌骨筋縫線を形成し、後方3分の1は舌骨体の下端に停止する。左右の筋は三角形で、三角形の先端を前方のオトガイに向けている。下顎体と舌骨の間に広がる板状の筋であり、口腔底を形成し、口腔隔膜とも呼ばれる。本筋より上方は口腔内であり、下方は口腔外である。

  左右のオトガイ舌骨筋は下顎骨の下オトガイ棘から起こって、正中で隣接して走行し、舌骨体に停止する。茎突舌骨筋は側頭骨の左右の茎状突起基部の後面から起こり、顎二腹筋後腹の上を並行に走行し舌骨体角に停止する。

3. 舌骨下筋群
  これに対して、舌骨と舌骨よりも下方の構造物と連結している筋は舌骨下筋群と呼ばれ、胸骨舌骨筋、肩甲舌骨筋、甲状舌骨筋、胸骨甲状筋の4種がある。これらは、嚥下後に舌骨・喉頭を下方に引き下げる。ただし、甲状舌骨筋は喉頭の甲状軟骨と舌骨を連結しており、舌骨を引き下げる作用を有するとともに、嚥下時に舌骨が挙上して固定された状態では喉頭を挙上する。嚥下時以外に、高い音程の発声時にも喉頭を挙上させる。

  先にも述べたように、舌骨上筋群であるオトガイ舌骨筋、顎舌骨筋、顎二腹筋前腹は舌骨を固定したときに下顎骨を下制するが、こうした舌骨の固定は舌骨下筋群の緊張によって安定する。
  舌骨上筋群と舌骨下筋群は前頸筋群を形成し、上方は下顎および側頭骨、下方は上肢帯(胸骨および肩甲骨)と連結している。

 

つづきは、雑誌「医道の日本2018年4月号」でお読みください。