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統合医療情報発信サイト(eJIM)における漢方・鍼灸・
あん摩マッサージ指圧のエビデンスレポートの現状

古屋英治・藤井亮輔・山下仁・津谷喜一郎

【はじめに】

  統合医療情報発信サイト(Information site for evidence-based Japanese Integrative Medicine:eJIM、http://www.ejim.ncgg.go.jp)は、2013年度厚生労働省「統合医療」に係る情報発信等推進事業により作成され、2014年3月28日に国立研究開発法人国立長寿医療研究センターのウェブサイトの下に立ち上がった。その後も厚生労働省の事業として運営されている。統合医療に関してエビデンスの強い情報を収載して広く国民に見ていただき、その意思決定を支援することが目的である。患者さんやご家族の方をはじめ一般の方や医療専門家に対して信頼できる正しい情報を分かりやすく紹介するものだ。

  今回紹介するエビデンスレポート(evidence report:ER)はeJIMのサイトの右側の緑色の「統合医療エビデンス」をクリックし「構造化抄録」から見ることができる。構造化抄録の集合体がERである。過去4年でeJIM全体として内容は徐々に増え、漢方・鍼灸・マッサージ・ヨガ・健康食品などをカバーする。またERとして2018年3月に「スポーツ鍼灸マッサージ」が新たに本サイトに収載された。そこでこれを機に、eJIMにおける東アジアの伝統医学についてのERの内容を紹介する。

【1. 漢 方(EKAT)】

  日本東洋医学会EBM委員会(委員長:津谷喜一郎、2016年から元雄良治)が作成している「漢方治療エビデンスレポート」(EKAT)が主たるものである。eJIMから日本東洋医学会のサイトにリンクする形がとられている。2007年6月に、漢方製剤のランダム化比較試験(randomized controlled trial: RCT)の1999−2005年に論文化された分のERとしてRCT 85件が初めてサイトに収載された。

  ERの形式がここでほぼ決まったこともあり、以下やや詳しく紹介する。

  そこではシスマティックレビュー(SR)に準じた方法が用いられた。検索はThe Cochrane Library のCENTRALと医中誌Webと日本漢方生薬製剤協会のデータベースの3つが用いられた。検索されたがスクリーニングで落ちたものは、その理由とともに「除外論文リスト」から見ることができる。

  RCTの構造化抄録は、世界的なスタンダードの8項目に、1)論文中の安全性評価、2)漢方的考察、3)Abstractorのコメント、4)Abstractor名と作成日─の4つを追加し、全12項目から成り立つ。漢方的考察は研究デザインでランダム化の前と後に分けることができる。またメタアナリシス(MA) 論文の構造化抄録は世界的なスタンダードの6項目に、追加分はRCTと同じ4項目である。

  その後、1986年から最新のものまでカバーし、またRCT数の増大に従い、3年に1回全体版を作成し、その間に2回Appendixが公開される形となった。ERとしての構成は国際疾病分類(ICD10)に従い、感染症、がん、血液疾患、などのように配置されている。

  EKATの構造化抄録全体として、2018年4月1日現在で日本国内がRCT 439件、また日本の漢方製剤を用いて海外で実施されたRCTが6件(韓国3件,米国3件)、計445件、これにMAが2件加わり、総計447件が収載されている。eJIMのサイト右上の「Google カスタム検索」の枠に、例えば「EKAT大建中湯」と入力すると検索できる。英語版もあり、そちらは日本東洋医学会のサイトの「漢方とエビデンス」から見ることができる。

  また「漢方製剤の記載を含む診療ガイドライン」(KCPG) は、3段階の質で分類され、その基本となる情報が収載されている。すべてではないが診療ガイドラインの記載から構造化抄録にリンクし、さらに論文本体にもリンクしており、ユーザーにとって便利なようになっている。

【2. 鍼 灸(EJAM)】

  2009年9月にそれまでの自民党政権から民主党政権となり、統合医療に強い関心を持つ当時の鳩山由紀夫首相の下で、その領域で以前は全部で年間1億円未満だった予算が2010年度は10億円となった。そのうち2010−2011年度厚生労働科学研究費補助金「地域医療基盤開発推進研究事業」の一つの「東アジア伝統医学の安全性・有効性・経済性のシステマティックレビュー」(研究代表者:津谷喜一郎)の分担研究(研究分担者:川喜田健司)として作成された。

  検索は漢方と同じく、CENTRALと医中誌Web、また「日本の鍼灸RCTデータベース」(JAC-RCT)と、全日本鍼灸学会研究部と国際部のメンバーが作成した鍼臨床試験論文リスト(仮称:JSAM-RDB)が用いられた。さらに論文の、引用文献のハンドサーチを行った。時間の関係上、患者を対象とした研究に限られた。「鍼灸エビデンスレポート」(EJAM 2011)として日本人を対象としたRCT53件が含まれた。その内訳は鍼46件、灸2件、その他5件(指圧2件,TENS 2件,TEAS 1件)である。

  なお、EKATにおける「漢方的考察」の代わりに「鍼灸学的言及」の用語が用いられた。EJAM2011の英語版は以下で見ることができる。

  http://jhes.umin.ac.jp/team.html

  これを引き継いだのが、2014年度厚生労働省「統合医療」に係る情報発信等推進事業の一環として、森ノ宮医療大学鍼灸情報センターに作業が委託され「日本鍼灸エビデンスレポート・タスクフォース」により作成されたEJAM2015である。

 

つづきは、雑誌「医道の日本2018年6月号」でお読みください。