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鍼灸マッサージ師の資格を持つ医師
漢方薬と鍼灸の両輪で臨むアトピー性皮膚炎の治療
(動画あり)

隠岐充啓 氏

兵庫県神戸の地で開業する隠岐医院。院長の隠岐充啓氏は鍼灸マッサージ師の免許を取得後に医学部に入学、漢方医となった異色の経歴を持つ。アトピー性皮膚炎の治療においても、漢方薬を用いた治療に加え、痒みを抑え漢方薬による治療の効果を高めるために「アトピー鍼」という施術を、併設する鍼灸院にて提供している。漢方薬と鍼灸、その両輪を存分に生かした東洋医学的な治療を行ってはいるが、西洋医学の薬を使わないかといえばそうではない。隠岐氏が実践するアトピー性皮膚炎への治療とはどういったものか、話を聞く。

【脱サラして鍼灸マッサージ師、そして医師になった訳】

――隠岐先生は鍼灸マッサージ師から医師免許を取得された経歴をお持ちですが、そのきっかけなどを教えてください。

隠岐   鍼灸マッサージという伝統的な治療法には、ほかの医療職とは違い人間的側面が色濃く反映されていて、面白みを感じたからです。それまでは一般企業に勤めるサラリーマンをしていましたが、34歳で資格を取り、開業しました。

漢方医を志したのは鍼灸マッサージ師として仕事を始めてからで、古典には鍼灸やあん摩マッサージ指圧などの手技療法と漢方薬治療は本来一つのものであり、併用して包括的に治療にあたっていたという記述が多数あり、それを読んでいるうちに私もまた古来より伝わる治療法を自由に活用したいと思い立ったからです。

隠岐充啓氏による「アトピー鍼」の動画をYouTubeに公開しています。

隠岐   それから37歳で医学部に入学し、卒業後は兵庫県立東洋医学研究所での勤務や、阪神漢方クリニック所長を12年務めたのち、漢方治療と鍼灸治療を一元的にできるクリニックを目指して当院を開業しました。鍼灸マッサージ師であり医師でもあるこの立場を生かし、多様な疾患に対し最適な治療法を選定、提供できるクリニックでありたいと考えています。

――1カ月間に来院するアトピー性皮膚炎の患者数を教えていただけますか。

隠岐   月平均120人ほどです。比率としては女性が65%で男性が35%、乳児から65歳くらいまでの患者さんがいらっしゃいます。そのなかでも一番多い年代は30歳代ですね。

――アトピー性皮膚炎の患者に対して、どのような治療を行っていますか。

隠岐   まず、症状の重症度で大きく3つにランク分けをします。最も重症の場合は西洋医薬品、つまり抗アレルギー剤と漢方薬、そして鍼灸を用いて治療をします。重症とまではいかない場合は、漢方薬と鍼灸で対処します。この2つのランクで用いる漢方薬はどちらも煎じ薬です。軽症の場合は浴剤をよく使い、エキス製剤の漢方薬と台座灸による自宅温灸を指導しています。施灸の位置は患者によって違いますので、診察時にどこに据えるかを指導します。ランク分けについてはIgE(RIST)の測定値や湿疹の面積、痒みの程度、罹患年月といった情報から検討しています。

これは私個人の考えですが、アトピー性皮膚炎は軟膏を塗るだけでは完治はしないと思います。これが接触性皮膚炎などであれば話は別で、患部に軟膏を塗ってよくなると思いますが、アトピー性皮膚炎については漢方薬で身体のなかから治すものだと考えます。

隠岐   もちろん、赤みや痒みを取るために、軟膏による標治療法は行います。また、アトピー性皮膚炎は軽症のものであれば完治も可能ですが、重症になるとなかなか完治まではたどり着きません。重症の患者さんは定期的に通院していただき、症状を抑えていくことになります。

アトピー性皮膚炎の治療としては、漢方薬や鍼灸もそうですが、患者さんの話をちゃんと聞いてストレスを軽減すること、これも重要です。事実、イライラしてくると痒みが増悪する患者さんが多いと思います。それから食事や生活習慣の改善、アトピー性皮膚炎にはダニが必ずといってもいいほど関係しているので、その対策はこちらでもある程度指導をして、実践してもらっています。あとは漢方の浴剤や抗アレルギー剤の内服、そして普段からの保湿ケアなどでしょうか。

漢方の浴剤はアトピー性皮膚炎の患者によく使っています。主にヨモギの葉とビワの葉が入ったものです。ほかにもいろいろ種類がありまして、ヨモギの葉だけのものもあれば、5~6種類の生薬が入っているものもあります。それを患者さんの状態に合わせて使い分けています。これはなかなか評判がいいですね。というのも、アトピー性皮膚炎は炎症の面積が広く、塗るのも大変じゃないですか。浴剤なら一気に全身に作用を及ぼすことができます。また、赤ちゃんでなかなか漢方薬を飲んでくれないときにも重宝されます。赤ちゃんに鍼を打つのは一般的ではありませんし、かといってローラー鍼や小児鍼だけではなかなか症状もよくなりませんので。また、浴剤を煎じた液を哺乳瓶で飲ませてあげても効果的です。

 

つづきは、雑誌「医道の日本2018年8月号」でお読みください。