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なぜ「小児はり」は「特に小児に効く」のか

はりねずみのハリー鍼灸院 本木晋平

【はじめに】

いちょう形やバチ形など特有の形状を持つ施術道具「小児はり」を用いて皮膚を刺激(摩擦、接触、押圧など)する「小児針法」(以下、「小児針法」も「小児はり」と表記する)の治効理論として、「オキシトシン説」「C触覚線維刺激説」などが提唱されている。

各説の詳細は参考文献1)2)を参照していただくとして、ここでは「小児はり」が〈「(施術道具としての)小児はり」を用いて患者が心地よく感じる非侵襲性の皮膚刺激を与え、ストレス緩和、鎮痛、リラクゼーションなどの効果が期待できる体性-自律反射を賦活させることで症状の軽減を図る鍼法(施術体系)〉である、と規定するにとどめる。この「小児はり」の施術対象年齢は、およそ乳児から学童児(0〜12歳あたり)ということになっている。

なぜだろうか? なぜ「小児はり」は「特に小児に効く」のだろうか?

従来の説では、なぜ「小児はり」が「特に小児に効く」かを説明できない。「小児はり」の施術中に小児に起こる生理反応は成人にも起こるはずだからである。

1)  尾﨑朋文, 山口創, 米山榮編. 実践小児はり法 子どもの健やかな成長へのアプローチ. 医歯薬出版, 2012.

2)  シャスティン・ウヴネース・モベリ著, 瀬尾智子, 谷垣暁美訳. オキシトシン 私たちのからだがつくる安らぎの物質. 晶文社, 2008.

 

本稿は、愛知工業大学の藤井勝紀教授が提唱しているFujimmonの成長曲線3)──一般的にはScammonの成長曲線4)が用いられるが、Wavelet補間法を採用することで、より科学的検証に堪える形に再計算・再作成した成長曲線である──を用いて、

1. 加齢による皮膚の神経密度の変化
2. 思春期の筋肉・筋力の発達と痛みの悪循環との関係

の2つの視点から、「小児はり」がなぜ「特に小児に効く」かを説明する試論である。本論に入る前に、Scammonの成長曲線と、Fujimmonの成長曲線を紹介する。両者の成長曲線で最も目立つ違いは、Scammonの成長曲線では「生殖型(Genital Type)」と「一般型(General Type)」を分けているのに対し、Fujimmonの成長曲線では「生殖型」を「一般型」に含めている点であろう。なぜ「生殖型」が「一般型」にまとめられるのか、その妥当性などについては、藤井教授の論文を参照されたい。

1. 加齢による表皮の神経密度の変化

単純化したモデルで説明するほうが便利なため「(Fujimmonの成長曲線で提唱されている)神経型(中枢神経、末梢神経)も一般型(皮膚・筋肉など)も一様に発達する」という前提で話を進めることにする。

3)  Katsunori Fujii. Re-Verification with Regard to Scammon's Growth Curve Proposal of Fujimmon's Growth Curve as a Tantative Idea. American Journal of Sports Science 2017; 5(3): 14-20.

4)  Scammon,R.E., The measurement of the body in childhood. In Harris,J,A., Jackson,C,M., Paterson,D,G. and Scammon,R,E. (Eds). The Measurement of Man,University of Minnesota Press, 1930.

また、「成人の成長度を基準とした、ある年齢時の単位面積あたりの表皮に分布する神経数の指標」を「ある年齢の表皮における単位面積あたりの成人比神経分布係数」(以下、神経分布係数)と定義し、次の計算式で求められるものとする。

ある年齢の神経分布係数
=ある年齢の「神経型」(神経)の成人比成長度(%)/ある年齢の「一般型」(表皮)の成人比成長度(%)


成人(20歳時)の神経分布係数は1である。なぜならば、成長曲線の定義より、次の計算式が成り立つからである。

成人の神経分布係数
=成人の「神経型」の成人比成長度(%)
/ 成人の「一般型」の成人比成長度(%)
=100(%)/100(%)
=1


3歳時、5歳時、10歳時の神経分布係数を便宜的に、Fujimmonの成長曲線のグラフから必要な数値を筆者の目視で読み取って試算すると次のようになる(不正確であることは免れないが、成長による変化の傾向を見るうえでは大きな問題にはならないと思う)。

 

つづきは、雑誌「医道の日本2018年11月号」でお読みください。