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「パーキンソン病鍼灸フォーラム」
第1回セミナー開催 [2015.11.09]

10月4日、千葉県鍼灸師会が主催する「パーキンソン病鍼灸フォーラム」の第1回セミナーが、慶應義塾大学医学部信濃町キャンパスで行われた。キャンセル待ちが殺到し、最終的に120人を超える参加者があり、座席が足りなくなるほどの盛況ぶりであった。

 

セミナーは酒井茂一(千葉鍼灸学会会長)の挨拶で始まり、湯浅龍彦氏(鎌ヶ谷総合病院神経内科・千葉神経難病医療センター長)が「鍼灸への期待」と題して最初の講演を行った。湯浅氏は医療の原点である東洋医学の基本理論に返り、脳の複雑なネットワークを理解してパーキンソン病の治療をしなければならないと語った。

 

鈴木則宏氏(慶應義塾大学医学部神経内科教授)の「パーキンソン病の理論」では、基礎的な内容と合わせて最新の情報を提示された。鈴木氏は、延髄や嗅皮質には黒質の変化が生じる前にすでに異常が見られるため嗅覚障害や便秘が起こり、大腸などの消化管も関与しているという説を紹介した。

 

午後の部では、冒頭に水嶋丈雄氏(水嶋クリニック院長)が「パーキンソン病の鍼灸治療」のタイトルで講演した。水嶋氏によると、副交感神経を最初に刺激してから交感神経を刺激すると、長期に自律神経の緊張状態をつくることができ、効果的だという。

 

次に「運動機能テスト・ビデオの撮り方」として大宮貴明氏(サポートハウスみさとヴィラ施設長)が、パーキンソン病を確定するために必要なパーキンソン病統一スケール(Unified Parkinson’s Disease Rating Scale:UPDRS)に関して、動画を使って疾患のない人と比較し、順を追って詳しく説明した。

 

志茂田典子氏(東京福祉大学・武蔵野大学講師)は、臨床研究に欠かせない評価法である「認知機能テスト」と、ミニメンタルステート検査(Mini Mental State Examination:MMSE)、Beckの鬱スケール、パーキンソン病疾患特異的尺度(Parkinson’s disease questionnaire39:PDQ-39)などを解説した。

 

その後、「病歴の取り方・コーチング」の演目では元吉正幸氏(日本臨床コーチング研究会幹事・認定コーチ)が登壇。メディカル・サポート・コーチングを使った問診について、「患者さんの話を聞くところから始めましょう」と提案し、実演した。

 

最後に特別講演として酒井が、歩行を3次元で計測し定量化するスマートフォンアプリを紹介した。多施設臨床研究用に現在開発中である。

 

従来、パーキンソン病の治療方法や基礎理論の講義はあったが、本セミナーのように評価方法や各種テスト、確定診断などに関する具体的な手技を体系的に示し、ビデオも駆使して解説したのは稀であると思う。フォーラムは鍼灸学会などで発表することを前提にして企画され、3年間を通して学習するプログラムになっている。

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