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教卓の向こうから(2)菅原之人先生

鍼灸マッサージ師の養成施設で働く先生たちが、どのような授業を日々心がけ、またどんな思いで生徒に教えているのか――。それを探るべく、このコーナーでは、教育現場の生の声を取り上げていきます。第2回は東京衛生学園専門学校・東洋医療総合学科学科長補佐の菅原之人先生。教員歴15年で今は主に2年生を中心に授業を担当されています。実際に「鍼灸基礎実技Ⅱ」にお邪魔して話を伺いました。

――今日の授業では学生の方たちがペアを組んでお互いの身体各部の経穴へ鍼をしていましたが、とても生き生きとした表情で取り組んでいるように見えました。

 

 

菅原 実は足や肩以外の部位に鍼をするのが、今日の授業が初めてだったのです。鍼の実技に関しては、3年間を通じて伝統的な鍼灸、現代医学的な鍼灸、そして中医学的な鍼灸と一通りを身につけることを目標としています。ステンレス鍼、銀鍼、中国鍼とそれぞれ刺入方法などの操作が異なりますから、3種類の鍼を打ち分けられる技術を学んでもらいます。

 

1年生ではその基礎を固めるために、3種類の鍼を使ってトイレットペーパなどに打つ練習を経て、学生同士で足や肩へ刺鍼をするところで終わります。そして2年生になると、身体各部いろいろな経穴への刺鍼練習へと入っていくことになります。

 

まさしく今日がそのスタートだったので、いつもにも増して学生たちの活気が感じられたのかもしれませんね(笑)。1年生で培った基礎技能を、3年生で行う臨床実技へと橋渡しをする、重要な時期が2年生になります。

 

――経穴の取り方や刺鍼方法だけではなく、患者対応についても丁寧に指導されていました。学生同士の練習でもみなさん「こちらを頭にしていただけますか」と実際の患者に対するように、声かけをしていましたね。

 

 

菅原 鍼を1本刺す場合でも、施術する旨を伝える声かけや、患者肢位への配慮、そして刺入中も絶えず押手や刺手から伝わる感覚や、相手の様々な身体反応などを意識させるようにしています。授業は臨床に直結するものでなければならないと思っているので、学生同士の練習でも絶えず相手を患者だと思って施術するように指導しています。

 

気をつけているのは、一方的なマニュアル指導にならないようにすること。学生たちそれぞれに患者対応を身につけることの目的や意味を考えてもらわなければ、うわべだけになってしまいますからね。

 

 

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――新しい技術を身につけるのに精一杯の時期に、そこまで気を配るのは大変ではないでしょうか?

 

 

菅原 臨床において技術が大切なのはもちろんのことですが、一朝一夕では身に付かないという点においては「患者への態度の習得」も同じです。3年生の臨床実習で、実際の患者を目の前にオロオロすることにないように、反復して習慣化してしまうことが大事です。

 

 

また2年生の後半になると、ある症状パターンの患者モデルを想定して、「よーい、スタート!」で、手首から足首まで身体のあちこちに刺鍼をしてもらいます。そのとき戸惑うのが施術者の「動線」です。つまり、ある経穴を取るときに、施術者は患者の体に対してどの位置に立って、どこに台を置いて、どんな姿勢で施術するのが良いのか。それを移動するたびに変えていくわけですからスムーズにできるようになるまで、早い時期からの訓練が必要不可欠となります。

 

 

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――実技の授業をいかに実際の臨床の場へと近づけるかが、重要となってくるわけですね。最後にこれから鍼灸師を目指す方に一言お願いいたします。

 

 

菅原 鍼灸は身体面ばかりではなく、精神面のケアにも有効であり、人々が自立して力強く生きるためのサポートができます。自分の経験が増すごとに技術や思想が深まっていきますから、一生涯続けられる仕事でもあります。確かな技術があれば海外でも活躍できるとても魅力的な仕事ではないでしょうか。

 

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