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第2回プレスセミナーダイジェスト
記者らを対象に震災関連の講演開催(鍼灸戦略機構設立準備委員会) [2012.03.26]

鍼灸戦略機構設立準備委員会は2月3日、東京医療専門学校四谷本部校舎にて第2回プレスセミナーを開催しました。セミナーの模様は『医道の日本』2012年3月号口絵と、医道の日本.comのニュース欄でお伝えしました。ここではセミナーの動画をまじえながら紹介します。
(鍼灸戦略機構設立準備委員会は公益社団法人日本鍼灸師会、公益社団法人全日本鍼灸マッサージ師会、社団法人全日本鍼灸学会、社団法人東洋療法学校協会が2006年に設立した鍼灸医療推進研究会から活動の一部を引き継ぎ、新機構の設立を準備する委員会です)

今回のプレスセミナーは「被災者への貢献から見えた、現代社会における鍼灸治療の可能性」をテーマに、関隆志医師(東北大学医学系研究科先進漢方治療医学講座)「東日本大震災と医療現場」の講演と、山下仁氏(森ノ宮医療大学)「現代の先進国社会における鍼灸の新しい使い道」の講演を行いました。
2011年3月11日の東日本大震災直後、被災地は食糧、水、ガソリンなどが不足しました。関医師自身、ガソリンがないので自転車を買い、水がないのでバケツを買って毎日バケツに水を汲みに行き、食べものがないので小学校の炊き出しへ行っておにぎりをもらうという生活を1カ月ほど続けたそうです。
直後1カ月は「ハネムーン期」で生きようという気力がありますが、職場や家族など多くを失った被災者の心はその後「幻滅期」を迎え、震災直後よりも現在のほうが深刻な精神状態にあると関医師は訴えます。
関医師は、宮城県名取市の閖上地区にある介護施設の職員のケアにあたりました。施設は全壊し、163人の利用者のうち43人が死亡。施設職員は利用者を運びながら避難しましたが、避難先にも津波が押し寄せ、多数の高齢者が津波に流されていくのを目の当たりにしたそうです。講演では、施設職員へのケア、そしてボランティア治療でのケアについて報告しました。

 

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東北大学医学系研究科先進漢方治療医学講座の関隆志医師

 

 

●睡眠薬や精神安定剤よりも望まれたもの

 

避難所では不眠を訴える被災者が多いものの、睡眠薬や精神安定剤はことごとく断られた、と関医師は言います。余震が続き、また津波が来るのではないか、薬で眠って目が覚めなかったら大変だ、という不安が被災者にはあったのです。

 

 

 

●伝統医学の知識が復興を支える

 

今後はデータを収集しながら、実証しつつ被災者のメンタルケアを行いたい、と関医師。「体と心を同時に診る」「よく話を聞いて診察する」「自覚症状を重視する」「道具がなくても治療できる」「改善のアドバイスが可能」といった伝統医学の特色が、被災地で大いに役立ったと強調しました。

 

 

 

次に山下仁氏(森ノ宮医療大学)が登壇しました。山下氏はまず、東日本大震災後にさまざまなかたちで鍼灸によるボランティア活動が行われたことを紹介。日本鍼灸師会、全日本鍼灸マッサージ師会、鍼灸専門学校、同窓会、大学、鍼灸院チーム、AMDA(The Association of Medical Doctor of Asia)、日本プライマリケア連合学会などの有志が被災地に赴いたといいます。また、ボランティアの受け入れ基地になった被災地の鍼灸院もありました。講演では森ノ宮医療大学大学院の高﨑雷太氏、大月隆史氏が気仙沼の避難所で行ったボランティア治療の集計結果を報告しました。

 

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森ノ宮医療大学の山下仁氏

 

 

●主訴とともに改善された症状

 

大学院生(高﨑雷太、大月隆史)らが行った震災ボランティアのデータによると、避難所の被災者たちの主訴は肩こり、腰痛といった運動器系でありながら、改善した症状で最も多かったのは「睡眠」だった、と山下氏は述べます。

 

 

 

●運動器疾患だけではない、鍼灸の使い道

 

石崎直人氏、岩昌広氏、矢野忠氏らの調査によると、現代日本人の鍼灸受療目的の大部分は運動器系症状ですが、欧米先進国で示されている症状・疾患のエビデンスの現状とは異なる、もっと幅広く鍼灸が活用されるべきだと山下氏は指摘します。

 

 

 

●AMDAの医療チームに派遣された鍼灸師

 

山下氏の講演のなかで紹介されたAMDAについては、明治国際医療大学の福田文彦氏が述べました。福田氏は同大学の今井賢二氏、伊藤和憲氏らが鍼灸ボランティアとしてAMDAに派遣された経緯を説明。もともと鍼灸に興味があったAMDAの外科医が、被災地では外科的処置よりも鍼灸治療が役立つことを実感して鍼灸治療を始めたのがきっかけだそうです。

講演後は質疑応答の時間が設けられ、記者からの質問に対して関医師、山下氏、福田氏、大口俊徳氏(普及啓発作業部会)が答えました。

 

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講演後、記者らからの質問に答える。
左から関医師、山下仁氏、福田文彦氏(明治国際医療大学)

 

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