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ソフトマッサージと帯状疱疹の治療

堀江静男 
一般社団法人東京都はり灸マッサージ師会代表理事

  筆者は、独自の「ソフトマッサージ」という手法で治療を行っている。筆者の父が明治時代から行っていた按摩の手技をもとに、現代的な解剖学の視点などを加味して、30年以上前からこの手法で施術している。  
  今から25~30年ほど前までは、壮年・中年の肉体労働者も多かったため、力強いマッサージの需要が高かったように思う。また、あマ指師試験にて実技試験が行われていた頃は評価のしやすさから、手技は線状揉捏が主流であった。しかし、少子高齢化の進んだ今日では、肉体労働者が減少し、また高齢者介護や緩和医療が進展しており、ソフトでしなやかな手技療法が求められているように思う。
  本稿では、このソフトマッサージを用いた帯状疱疹治療について解説する。

【ソフトマッサージとは】
(1)ソフトマッサージの特色
  日本古来から行われている「被服や手ぬぐいの上から処置する方法」を取り入れたので、どのような条件の場所であっても必要に応じてすぐに施術を行うことができる。衣類を着たまま体表温度を下げない(冷やさない)ので施療効果が良好である。
  従来のマッサージとは異なり、「柔らかでしなやかな手技を用い、時間を十分にかけたきめ細やかな処置」を基本とする。筋肉をほぐすというよりは、皮下組織に刺激を与えるのである。なぜ効果が現われるのか、科学的に詳らかではないが、皮下組織への刺激による気血の循環の促進や内臓体表反射が鍵となって、患者の自己治癒力を賦活するためと筆者は考えている。

(2)ソフトマッサージの適用範囲
  ソフトマッサージはさまざまな疾患の治癒、症状の改善に寄与すると考えている。どのような疾患・症状に効果があるのか、これまでの臨床経験から以下に列挙する。
①各種生活習慣病の改善(高血糖症・高血圧症・低血圧症・高脂血症など)
②慢性習慣病(風邪・喘息・花粉症・胃腸病・便秘など)
③難病(筋ジストロフィー・リウマチ・ダウン症・自閉症・唾液不全症などの改善と緩和)
④各種疼痛症(頭痛・頚肩痛・テニス肘・肩関節周囲炎・腰痛・膝痛・関節痛など)
⑤内臓症(口内炎・気管支炎・視力障害・過食症・拒食症など)
⑥更年期障害
⑦介護治療
⑧各種職業病
⑨交通事故障害の後遺症(むちうちなど)
⑩ストレス疾患
⑪長期無病化
⑫「心身の若さ」の維持
⑬スポーツ障害(打撲・捻挫・骨折等の後遺症・外反母趾・斜頚症・脊柱側弯症など)
⑭手術前・後の処置
⑮脳血管障害の後遺症
⑯終末期のケア

(3)ソフトマッサージの手技
●手技の基本は輪状揉捏
  柔らかく揉むテクニックとは、指先の力を抜き、施術者の丹田(下腹部)にエネルギー(力)を込めて、患者の皮膚にごく軽い圧をかける。
  圧の強さは常に一定であり、これをコントロールするために精神力をみなぎらせて、処置することが重要である。たとえるならば、爪楊枝などを使わずに、ほおづきの種や芯を指でしなやかに揉みほぐして取り出す要領で行う。
  手技は基本的には輪状揉捏を用いる。輪状揉捏の回転の速さのリズムと一部位にかける圧時間の長さの組み合わせで、刺激の強弱に違いをつける(発症時は30回転/10秒、休息時15回転/10秒など)。圧の強さによって、刺激の強弱を変えてはならない。
  また、筋束を指で横断するようなこともしてはならない(線状揉捏の禁止)。筋束の上に指を直接当てないことが必要だが、当てなければならないときは一点に圧をかけて、その部位に輪状揉捏を行う。この際、筋線維を傷つけないように気をつけなければならない。特に、筋肉が興奮しているときには筋線維が収縮しているので、力を入れて揉んだりすると炎症を起こすことがある。力を入れての圧迫・叩打も同様である。強い刺激は、かえって改善を低下させる恐れがある。

●全身治療と部分治療
  まず、患者に対して全身のマッサージを行うなかで、全身の疲労を軽く取り除く。このとき、全体のバランスや疲労箇所、内因的障害(神経や内臓)や外因的疲労箇所(捻挫、疲労、骨折、打撲や浮種など)を診る。
  次に、全身治療で発見したり、患者の訴え(愁訴)によって得た障害のある部位について、「どうして障害が起きたのか、変形や痛みがなぜ起きたのか」を把握しなければならない。それをもとに発生原因を取り除いたり、体質や体型の改善に必要な部分治療を行うという順序で施術を進める。

【ソフトマッサージによる帯状疱疹の治療手順】
  全体的な流れとしては、まずは患部を外して全身のソフトマッサージを約30分?45分ほど行い、全身の疲れを取り除く。次に、水疱から液体が出ていなければ、患部を優しく、末梢部に向かって、15分程度軽擦する。
  全身各部位への手技は輪状揉捏を用い、1部位につき8秒×3?4回ほど繰り返して処置をする。揉捏には指腹や母指球、小指球を用い、患者の皮膚にそっと手を平らにあてる。筋肉間や骨間の狭いところは指側を用いて処置を行う。

 

詳しい施術方法は、雑誌「医道の日本2014年6月号」でお読みください。