早期に緩解した心因性のEDへの鍼灸治療

  勃起不全[以下、ED(erectile dysfunction)とする]を訴えて来院した患者に鍼灸治療を試みたところ、早期に症状の緩解を認めた症例を紹介する。
EDとは、1993年のアメリカ国立衛生研究所(National Institute of Health:NIH)コンセンサス会議において、「満足な性交渉を行うのに十分な勃起が得られないか、または維持できない状態」と定義されている。2009年の第3回コンサルテーション会議(3rd International Consultation on Sexual Medicine:ICSM)では、このような状態が少なくとも3カ月維持することを診断の条件としている。ただし、外傷や手術などによるEDの場合に限っては、3カ月以前に診断できるとしている。

【EDの原因】

  EDはその原因から器質性、心因性、両者の混合性の3つに分類される。ここでは特に心因性EDについて解説する。
  心因性EDは心因によって2つに大別される。その臨床的特徴は、突然の発症、また特別な状況での発症である。

1. 現実心因
  現実の日常生活における心身のストレスや心理的諸要因が原因・誘因となりEDを起こすもので、自分自身で原因に見当がつくことが多い。
  緊張過剰、あせり、過労、睡眠不足、心配事、家庭内不和、経済的困窮、パートナーとの感情的トラブル、性的無知、性的未熟、初体験、新婚初夜、早漏、過去の性交失敗、失恋、嫁姑問題、性感染症、別居、短小コンプレックス、マスターベーションへの罪悪感、妊娠恐怖、不倫、事故や災難、職場のトラブルなどが現実心因にあたる。



【関連書籍】
▼『医道の日本2016年10月号』
https://www.idononippon.com/magazine/2016/201610.html

2. 深層心因
  日常生活には特にストレスはないものの、幼児期の体験や性的トラウマなど過去の出来事が原因となり、心の深層にある原因がEDを起こす。無意識ないし意識下の世界に原因があるため、本人には見当がつかず、原因の解明までに長時間を要し、治療が難しいケースが多い。
  抑圧された怒り、憎しみ、ねたみ、不安、愛憎葛藤、欲求不満、幼少時における心的外傷体験、母子分離不全、去勢恐怖、エディプス・コンプレックス(潜在する無意識的な近親相姦欲求)、ホモ・セクシュアルなどが深層心因にあたる。
  勃起は副交感神経が優位な状態、すなわちリラックスした状態のときに起こる。上記いずれかの心因によるストレスがあると、いくら性的な刺激があっても大脳が興奮しづらくなり、自律神経のバランスが崩れる。その結果、テストステロン(男性ホルモン)の分泌が低下し、NO(一酸化窒素)不足に陥り勃起不全になる。

【ED治療の進め方】

  鍼灸の絶対的不適応疾患除外の立場から、器質性EDの除外を目的として、以下の問診と診察所見を行う。

 

つづきは、雑誌「医道の日本2016年10月号」でお読みください。



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