白川式頭皮鍼は現代医学を投影する(動画あり)

白川徳仁

白川徳仁氏は、中国で考案された頭皮鍼に、自身の臨床経験で培った知識を加え、「白川式頭皮鍼」を体系化。その治療法の特徴は、1mmのツボを正確にとらえることと、施術を行う部位の名称に「脳幹線」や「大脳線」といった現代医学用語を用いることによって、治療線と適応疾患の関係を容易にイメージできるようにしている点である。

【現代医学を投影した 治療線】

―「白川式頭皮鍼」には、どのような特徴があるのでしょうか。
白川  この治療法では、百会を起点にして前頭部を陰、後頭部を陽としており、陰は臓腑、陽は背部の治療に用います。また、陰の側は百会から神庭までの督脈を三等分し、百会から順に下焦(腎や膀胱、生殖)・中焦(肝胆脾胃)・上焦(心肺)と分けています。この百会から神庭を結んだ線は、脳幹に関連する臓腑に治療効果が望めることから、「脳幹線」と名づけました。ほかにも、「大脳線」「小脳線」といった治療線もあります。こういった名称をつけて現代医学と関連付けることで、治療のイメージがつきやすくなるのではないかと考えました。  
  私はもともと中医鍼灸に興味があり、鍼灸学校を卒業してからは上海中医薬大学の何金森先生に師事するなど、たびたび中国へ留学もしていました。頭皮鍼には留学する前から興味を持っており、留学中に教わった内容や日本に伝わっていた方法をベースに、自身の臨床経験などを取り入れ、この治療法を体系化しました。

白川徳仁氏の手技を撮影した動画をYouTubeに公開しています。

―脳の各器官の名前をつけることで、そこに施術をした場合、どの部位に影響を与えるのか分かりやすくなっているのですね。この治療法を実践するにあたって、どんなことに気をつけていますか。
白川  何よりもツボの誤差は1mm以内に留めることが大切です。そうすれば鍼は難なく入り、かつ患者さんは痛みを感じることがありません。そして驚くほど効果が現れます。また、ツボの深さも正しくとらえる必要があり、自分で鍼を刺したときにその鍼先の感覚で分かるようにならなければなりません。ツボを外したらガリガリと何か引っ掛けているような感触がありますが、ツボを正確にとらえると、経絡から気があふれ、鍼を押し返してきます。  
  ツボをとらえたら、経絡に刺入します。頭皮は皮、脂肪層、筋肉層、そして骨の順番になっており、経絡は筋肉層を流れているんです。ですので、筋肉層に鍼を入れなければなりません。筋肉層から外れたところに刺入しても効果はありませんし、それどころか、骨に当たってしまったり、頭皮から突き出てしまいます。

【頭皮への刺鍼の 鍵は押手】

―治療の流れを教えてください。
白川  それでは、実際の治療で説明しましょう。この治療法は基本的に座位で、服も着たまま治療します。今日の患者さんは片頭痛が起きやすく、生理前はイライラし、頚部や肩がこりやすくなっているなど、典型的な肝気鬱結に伴う実証が出やすいタイプのようですね。 ちなみに頚部や肩のこりは患者さんからの主訴以外にも、生理痛など肝に関連する主訴からでも判断できるので、頚部や肩のこりが疑われる場合は風池の辺りを触っています。

 

つづきは、雑誌「医道の日本2017年5月号」でお読みください。