頭部への吉田流あん摩術

橋元壯太、橋元千幸

  江戸時代に吉田久庵が創始した吉田流あん摩術は、杉山和一が創始した杉山流あん摩術と並んで日本を代表するあん摩術として、東京・日本橋を拠点に発展した。吉田流3代目門下の平川荘作は1950年、東京・八丁堀に東京マッサージ師養成所(現・東京医療福祉専門学校)を開設。現在も同校で吉田流の技術を学ぶことができる。1902年の創業から吉田流あん摩術を受け継ぐ藤倉治療院(東京都中央区)の代表・橋元壯太氏と院長・橋元千幸氏の兄弟、また20人弱の施術スタッフもその多くが同校の卒業生である。同治療院で行われている、吉田流を基本とする頭部への施術を紹介する。

【深部のこりをとらえ、弾く】

  吉田流あん摩術の最大の特徴は、弦楽器の弦を弾くように筋線維を弾く「線状揉み」である。線状揉みについて千幸氏は、「一般的なあん摩に比べて動きが大きいため刺激が強いイメージがありますが、熟練した施術者は深部の筋肉を正確にとらえて弾くので、筋肉の炎症(揉み返し)を起こさずに、こりを取ることができます。だからこそ、この技法が長い間受け継がれてきたのです」と語る。

  では、線状揉みの秘訣は何か。壯太氏は次のように答えた。
「基本姿勢ができていない施術者が力任せに施術をすると、筋線維を傷つける可能性があります。しかしあん摩の技術をしっかり学び、基本姿勢ができてくると、正確に力が加えられるようになります。その基本とは、臍の前で母指を使って施術部位をとらえることです。こうすれば、無駄な力が加わらず、深部に手が届いて筋線維を痛めることなく線状揉みができるようになります」
  千幸氏は、初学者にあん摩を教えるとき、姿勢を徹底的に指導するという。「これができないと、よい施術者にはなれない。逆をいえば、技術の高い人は施術する姿勢が美しいです」。

【頭部への施術は時代の要請】

  藤倉治療院で行うあん摩治療のメニューには30分から120分までの「全身治療」に加えて、10分間の「頭マッサージ」があり、吉田流あん摩術を基本とした頭部治療を行っている。この頭マッサージは、パソコンの普及とともに眼精疲労などを訴える患者が増えてきたことを受けて、2001年にスタートした。壯太氏によるモデル患者への施術を以下に掲載する。なお、患者の状態に合わせて施術内容は適宜調整する。

 

つづきは、雑誌「医道の日本2017年5月号」でお読みください。