YNSAの診断

加藤直哉

【YNSAの成り立ち】

  山元式新頭鍼療法は、1967年頃に日本人医師の山元敏勝氏が考案した治療法である。英語表記では“Yamamoto New Scalp Acupuncture”と表記され、一般的にYNSAと呼ばれている。  
  山元氏がYNSAを初めて発表したのは1973年、第25回日本良導絡自律神経学会総会であった。1960年代後半に中国で開発された中国式頭鍼療法とは全く異なるものであったため、「新」の文字を冠に付けることで区別している。  
  その後、日本での発展はほぼ皆無であったが、海外では非常に高い評価を受け、大きな広がりを見せた。最も早くから発展したのはドイツだ。ドイツではすでに、YNSAは20年以上の歴史を持つ治療法であり、一部疾患では保険適応となっている。  
  このほか、アメリカやオーストラリア、ブラジルなどを始め、世界各国でYNSAは普及している。YNSA創始者の山元氏は、これまでに世界6大州すべてに招かれ、講演を行い、さまざまな国で学会や研究会が発足している。  
  なお、日本においては、遅ればせながら2013年にYNSA学会が発足。現在では300人以上の治療家(医師・歯科医師・鍼灸師・獣医師)が会員となり、研鑽に努めている。

【YNSAの特徴】

  前述のようにYNSAが世界に普及した理由としては、次のような特徴を有することが考えられる。

1. ツボが多くない

  経絡治療や中医学などに用いられる経穴は、WHO/WPROが定めているもので、361個存在する。これに対してYNSAの基本的な治療点は、運動器疾患の治療に主に用いられる基本点が9、目・耳・鼻・口のいわゆる感覚点4、胃や大腸など内臓点12、大脳・小脳・脳幹の脳点3、脳神経点12の合計40個と、非常に少ない。

2. ツボの場所と効能が分かりやすい

  運動器疾患に主に使われる基本点9は、AからIまでアルファベットで分けられている。A点は頭部、頚椎、肩、B点は頚椎、肩、肩関節、肩甲関節と、徐々に身体の下に効果を持つツボが規則正しく示されており、ツボの役割が明確である。そのほか感覚点では、「目点」は目の疾患であるし、「大脳点」は大脳の疾患であるなど、ツボの効能が非常にシンプルで分かりやすい。  
  これと比較すると、経穴の場所および効能は複雑だと考える。YNSAが世界で普及している要因の一つは、治療点のわかりやすさにあるといえる。

3. 基本的に誰が行っても同様の治療法

  YNSAの治療過程はマニュアル化されている。つまり、世界共通の形態が行えるということである。

4. 安全で簡便

  鍼治療であるYNSAは、副作用や習慣性がなく、また他のあらゆる治療法とも併用可能である。よって、西洋医学の薬との併用、他の補完代替医療との併用も問題ない。さらに患者が座ったまま行うことができ、刺鍼は頭に行うので、服を着脱する必要もない。よって、非常に短い時間で行うことができる。

 

つづきは、雑誌「医道の日本2017年5月号」でお読みください。