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頭鍼治療と運動療法としてのヨガ‐山元式新頭鍼療法(YNSA)の応用‐

菅野針灸院院長、AIKIYOGA主催 菅野正

1970年代後半、高崎で開催された沖正弘氏の講習会に参加したのが、筆者のヨガ遍歴の始まりである。その後3年ほど沖ヨガの教室に通ったあと、自らも教室を開いてヨガを教えるようになった。週5日ほどヨガを教えていた時期もあり、鍼灸治療院の経営が軌道に乗るまでの貴重な生活の糧であった。現在も継続している教室の一つは、地元の公民館のイベントで筆者がヨガを教えたのをきっかけに始まった。会場の準備や会計などの運営を有志が自主的に行ってくれている。古参の生徒たちとは30年来の付き合いになる。
  1980年代に初めてインドに渡り、The Divine Life Society シヴァナンダ・アシュラムにて、ヨガの修行を体験した。その後も不定期で計5回渡印し、そのたびに10〜14日間アシュラムに滞在している。また、アシュラムの副総長であるスワミ・ヨーガスワルパナンダ氏はこれまでに何回か日本各地を訪れているが、当地・高崎においても昨年、3回目となる2日間のヨガセミナーを開催した。高崎滞在中、氏は筆者宅に宿泊して鍼灸治療を受けた。以前から右腕を後ろに回すときに痛みを覚えて、僧衣の帯を腰の後ろで結ぶのにつらさを感じていたという。治療後は、帯をしっかり結ぶことができるようになり喜んでくれた。シヴァナンダ・アシュラムで学んだことが、現在も筆者のヨガの最も大きなバックボーンとなっている。  
  「ヨガは誰にでもできます。特別な器具もウェアもいりません。わずかな空間と、より健康で充実した人生を求める切実な思いがあればじゅうぶんです。

ヨガのポーズ、アーサナは体をくまなく動かすことによって筋肉と関節、背骨と骨格全体をストレッチし調整しますが、その効果は骨格だけではなく内臓、分泌腺、神経にまでおよぶため、あらゆる器官系が健康そのものになります。心身の緊張がほぐれ、驚くほど活力が湧いてきます。プラーナーヤーマと呼ばれる呼吸法によって体に生命力がみなぎり、心がコントロールしやすくなり、気持ちが落ち着いて爽やかになります。また前向きな思考と瞑想によって、頭脳の明晰さ、精神力、集中力も増します」
  上に引用したヨガの効用を治療に取り入れるため、筆者も鍼灸の患者に対し、簡単なアーサナなどを自宅で行うよう指導する場合がある。しかし、私の指導が不足しているのか、まじめに取り組んでくれる人はあまり多くないのが現実である。今後もあきらめず指導力を高めていくことにする。  
  かくして、「ヨガはヨガ、鍼灸は鍼灸」と割り切ってヨガ講師と鍼灸師の活動をそれぞれ続けてきたのだが、ここにきて、ヨガと鍼灸を結びつける一つの方法を見出したので報告する。

【ヨガ教室で希望者に頭鍼治療】

  筆者は2年ほど前に鍼灸師の森山富代氏、杉山幸子氏との良師のご縁で山元式新頭鍼療法(YNSA)を知った。その後、DVD『山元式新頭鍼療法』(医道の日本社、2013年)を購入し、YNSAを臨床に取り入れて効果を上げている。今年2月11日、12日に東京でYNSAセミナーを受講して以来、治療の第一選択としてYNSAを行うことが多い。
  YNSAでは頭部へ施術するので、患者は患者着に着替えたり、ベッドに寝たりする必要がない。また、施術者と患者が対面して会話しながら治療を完結させることができ、筆者はこれがYNSAの最大の特長だと考えている。

  YNSAでは刺鍼後に手技を用いず、置鍼が基本となる。当院でも約30分の置鍼中、患者に待合室のソファでくつろいでもらっているが、この置鍼の時間に簡単な呼吸法やアーサナなどを行うと、治療効果がさらに高まるようである。折よく本誌5月号でYNSAの特集があり、そのなかで辻本友樹氏も同様のことを述べていたことから確信を得た。  
  筆者はさらに積極的な活用法として、ヨガ教室の時間中に希望者を募ってYNSAの治療を行うようになった。以下はその手順である。

1. 準備
  ヨガ教室の準備に加えて、こちらで用意しなければならないのは施術用の鍼と消毒用具くらいである。参加者はもともと動きやすい服装で来ているので、多くの場合、上腕診や首診にも支障はない。
  教室を始める前に、プログラムの流れを説明し、そのなかで希望者は頭鍼を体験できることをあらかじめ説明する。そして、それぞれの教室のやり方で瞑想や呼吸法、準備運動を行い、ほどよく参加者の身体と意識がほぐれてきたところで、頭鍼の希望者を募る。人数は2〜3人が適当であろう。YNSAによる治療は短時間で行えるとはいえ、ヨガの指導がその間中断する。筆者の教室は慣れている参加者が多く、それぞれ自主的に課題に取り組んでくれるので混乱はないが、場合によってはヨガを指導できる人がほかにいるほうがよいかもしれない。

2. YNSAによる頭鍼施術
  ヨガ教室の参加者たちが見ている前で行うこと以外は、セミナーや書籍などで紹介されているYNSAの治療の流れと変わらない。

 

つづきは、雑誌「医道の日本2017年7月号」でお読みください。