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よくわかる長野式治療 日本鍼灸のスタンダードをめざして

よくわかる長野式治療 日本鍼灸のスタンダードをめざして

鍼灸臨床の本質をやさしく解き明かす
長野式治療の案内書!


故・長野潔氏が創始した「長野式治療」は、西洋医学の知見、東洋医学の脈診・腹診などの手技を用いて、病気を起こしている要因を探り、病人をまるごと診るという特徴をもっています。臨床における“治すこと” に主眼をおいた東西折衷の治療法で、即効性、再現性があるため、日本をはじめ、海外でも多く取り入れられています。
本書は、長野潔氏の子息である長野康司氏による書き下ろしで、長野式治療のエッセンスが詰まった1 冊です。豊富な図表を駆使して、診察や治療法などをわかりやすく解説。多くの症例や各種疾患別治療も盛り込まれています。
ISBN978-4-7529-1146-3
著者長野康司
仕様A5判 224頁
発行年月2015/9/1
価格3,960円(税込)

目次

1章 長野式治療の概要
総論
診察(問診、脈診、腹診、腰背診、火穴診、局所診)
治療法(免疫系処置、血管系処置、神経・内分泌系処置、筋肉系処置、気系処置)

2章 長野式治療Q&A 127
脈診(Q1~20)
診察(Q21~32)
処置(Q33~59)
臨床(Q60~100)
経絡・経穴(Q101~127)

3章 症例 12の物語
Case1~12
仕事の無理が重なった末の心身症/石膏のような頚部回旋不能/長年の合唱練習によ る腸骨鼡径神経痛/他

4章 分野別各疾患処置 引き出しとして
1.運動器/リウマチ科 2.神経内科 3.心療内科 4.循環器科 5.呼吸器科 
6.消化器科 7.代謝・内分泌科 8.必尿器科 9.婦人科 10.耳鼻咽喉科 
11.皮膚科

付録 資料

ページサンプル

著者インタビュー

長野式治療の創始者である故・長野潔先生のご子息である長野康司先生が、『よくわかる長野式治療』を上梓しました。出版に至った経緯や、読みどころについて、長野康司先生に伺いました。
今回、長野先生が本書を上梓した経緯を教えてください。
長野私の父の長野潔は、『鍼灸臨床新治療法の探究』『鍼灸臨床わが三十年の軌跡』という2冊の書籍を医道の日本社から出しています。どちらも、父の長年の臨床経験をベースに書かれたもので、たくさんの臨床家に読まれてきました。
ですが、この2冊はともに20年以上前にまとめられたものです。また長編であるために、初学者にはとっつきにくいという印象があるようでした。
そこで、もっと間口を広げた、長野式治療の案内書のような書籍が必要ではないかと思い、『よくわかる長野式治療』を執筆しました。私の中でも、臨床を30年以上続けてきた中で、発表したい症例がたまってきたということも、動機として大きいですね。
症例は「物語風」に書かれていらっしゃいますね。
長野私の中で特に印象に残っている患者さんに対する治療を、カルテを引っ張り出してきて、当時を思い出しながらまとめました。単なる鍼灸臨床の症例としてではなく、患者さんの人間性を浮き彫りにして、その疾患がどのように患者さんの人生に影響を及ぼしたのか、治療家としてどう向き合おうとしたのか、そのあたりのことも意識してお伝えできたら、と思いました。 目の前の患者さんに向き合って、その人を丸ごと診る。これが長野式治療の本質のひとつなので、やはり患者さんの人生や背景を抜きにして診立てることはできないんですね。もちろん処置法や技術も大切ですが、本質はあくまでもそこだと思っています。
長野先生がオススメする読みどころはどのあたりでしょうか。
長野長野式治療に関するQ&Aには思い入れがあります。
私は長野式治療を広めるために、「長野式臨床研究会」を1997年に発足させました。本書のQ&Aでは、この研究会で受講生から挙がった数百の質問から、厳選して127を収録しました。私と受講生との実際のやりとりが元になっています。長野式治療だけでなく、「脈診にセンスはあるのでしょうか」「治療はどこで成功とみるのですか?」などといった鍼灸治療の全般に関する質問も取り上げていますので、何かヒントを得てほしいと思いますね。
それと、長野式治療の「免疫系処置」「血管系処置」といった処置法については、なるべく多くの図表を使って解説するように心がけました。脈診についても、脈状の性質をイラスト化してみましたので、イメージを持っていただきやすいと思います。
長野先生のこだわりが詰まった1冊ですね。最後に、読者にメッセージをお願いいたします。
長野再現性・即効性・多様性にすぐれた長野式治療は、他に類を見ない鍼灸治療法です。鍼灸師だけでなく、医師にも高い評価をいただいています。実際に、長野式臨床研究会には、医師の方の参加もあるんですよ。
もちろん、臨床は一筋縄ではいきません。1冊の本を読んだからといって、すぐに技術が身に着くかと言ったら嘘になるでしょう。毎日の実践が大切であることは、言うまでもありません。しかし、本から身に着く「何か」もあると思っています。本を読まずに実践するのと、本を読んでから実践するのとでは、身に着き方が変わってくるかもしれません。
皆さんの毎日の臨床に、本書を少しでも役立てていただけたら、とてもうれしいですね。
ありがとうございました。

●長野康司(ながの こうじ)
1956年、大分県生まれ。80年、東京鍼灸柔整専門学校(現東京医療専門学校)卒業。80〜84年、各研究会、流派に参加することで、先代長野潔が創始した長野式治療の価値を再認識。98年、「医道の日本」誌に症例発表開始。同年、長野式臨床研究会を立ち上げる。2011年、ドイツにおける「日本の伝統医学と文化第1回学術大会」にて講師の1人として講演。大分にて鍼灸院経営。長野式臨床研究会代表。