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鍼灸院の開業を考える方必読!必要な資金や準備を解説

公開日:2022年4月1日

「鍼灸院を開業したいけれど、何から準備を始めればいい?」
「鍼灸院を開業するにはどんな設備が必要?」
「開業のための資金はどう確保すればいい?」

こうした悩みをお持ちではないでしょうか。

本記事では、鍼灸院の開業を検討している方に、以下の内容をお伝えします。

・鍼灸院の開業に必要な設備
・開業に向けて進めておくべき準備
・開業に必要な資金を確保する方法

昭和初期から治療院経営に関する情報を発信してきた医道の日本社が、これから開業を目指す方にもわかりやすいようにまとめました。

最後まで読めば、鍼灸院を開業するために必要なことがわかり、迷いなく準備を進めていけるようになるでしょう。

ご参考にしていただけると幸いです。

鍼灸院の開業を目指すためのポイント! ~準備編~

鍼灸院の開業に向けた準備が行きあたりばったりにならないように、まずは必要な準備の全体像をつかんでおきましょう。

鍼灸院を開業するために、必ず押さえておくべきポイントを紹介します。

鍼灸院開業に必要な資格

鍼灸院の開業には、まずは国家資格が必要です。

鍼治療を行うのであれば「はり師」、灸治療を行うのであれば「きゅう師」の資格を取得しましょう。

鍼灸師養成学校などを卒業したうえで、それぞれの国家試験を受験して合格すれば、資格を取得できます。

はり師ときゅう師のどちらかの資格のみでも開業は可能ですが、実際には両方の資格を持って開業する場合がほとんどです。

開業に必要な設備は?

まずは、鍼灸院の開業に必要なものを確認しましょう。

鍼灸院は他の種類の病院や治療院と比べると、必要な設備は多くありません。そのため開業のハードルは比較的低いと言えるかもしれません

施術器具

鍼灸院を開業するにあたって、鍼や灸を行うための施術器具が必要となります。

たとえば以下の器具は必須です。

・鍼用品
・灸用品
・施術台
・消毒用機材
・枕、シーツ、タオル
・感染性廃棄物のためのゴミ箱

消耗品は常にある程度の量をストックしておきますし、シーツやタオルはクリーニング中に使う分も必要です。

全体として量が多くなり、それらを収納するための棚も大型となります。

想像以上に多くの物品が必要となる場合が多いので、営業中の鍼灸院を参考にするなどして、何が必要となるかをしっかりと考えておきましょう。

テナント

鍼灸院を開業するための場所の確保も重要です。

資金が少ない場合、賃貸物件を契約することが多いでしょう。

貸店舗を探すほか、小規模に始めるのであれば、自宅を兼ねて賃貸マンションを借りる手もあります。

いずれの場合も、患者さんが通いやすい立地であることが望ましいですが、良い物件であるほど、賃料も高額である場合が多いです。

内装なども含めた物件の魅力と賃料のバランスを、慎重に見極めなければいけません。

理想的な物件を確保できるように、テナント探しは開業準備の早い段階から進めておきましょう。

開業に必要な資金はどれくらい?

鍼灸院の開業には、目安として合計で300万〜800万円ほどの資金が必要です。

何にお金がかかるのか、資金の具体的な使いみちを4つ解説します。

施術器具

開業にあたって、施術器具を買いそろえておく必要があります。

どれだけ高価な器具を使うのか、どれだけ数をそろえるのかによって、費用は大きく変わります。

費用を抑えたい場合は、施術を行うのに必要最低限な器具だけを揃えて開業すると良いでしょう。

たとえば施術台だけでも、価格は様々です。

電動で昇降できる高級な施術台を2台購入すると、それだけで60万円ほどかかる一方で、安価な施術台1台なら3万円ほどで済みます。

最初から施術器具にこだわり過ぎると、必要な資金も高額になってしまいます。

開業後に安定した利益を確保したうえで、優先度の高い施術器具から順番に充実させていくことで、無理のない経営ができるでしょう。

テナント料金

地域や立地による幅はありますが、当初のテナント料金だけで、100万〜400万円ほどかかると見込んでおくと良いでしょう。

テナントは、取得時に契約金や数ヶ月分の賃料などを払います。

さらに内装工事が必要な場合も多いため、初期費用だけでも高額になりがちなのです。

テナントを選ぶ際には、できるだけ内装工事が不要な物件を選びましょう。

たとえば施術室と待合室を区切る壁を新たに作るなどすると、内装工事だけで数百万円がかかる場合もがあります。

すると賃料が安い物件を選んでも、全体の費用負担は大きくなってしまうのです。

逆にもともと整骨院などとして利用されていたテナントを確保できれば、内装工事はほぼ不要でしょう。

テナント料金は賃料だけでなく、開業までに必要な費用全体を考える必要があります。

運転資金

開業後の数ヶ月分の運転資金は、あらかじめ用意しておきましょう。

たとえば運転資金が1ヶ月あたり100万円なら、3ヶ月分で300万円です。

運転資金を用意しておかないと、開業直後に集客がうまくいかなかった場合、すぐに廃業することになりかねません。

運転資金としては、たとえば以下の費用がかかります。

・人件費
・テナント賃料
・水道光熱費
・消耗品費
・販促費
・通信費

この中では人件費とテナント賃料が、大きな負担となります。

人を雇う場合は、人数や勤務時間が多くなり過ぎないように、慎重に判断しましょう。

テナント賃料も毎月固定で費用がかかります。

たとえば自身の病気やケガで、鍼灸院を一時的に休業することになっても、賃料は払い続けなければなりません。

安定した鍼灸院の経営を続けるためには、毎月かかる固定費を減らして、必要な運転資金が少なくて済むようにすることが大切です。

販促費用

開業時には販促費用もかかります。

鍼灸院を開業したことを多くの人に知ってもらわなければ、患者さんは集まらないため、開業時に集中して販促費を使うことが一般的です。

販促には、たとえば以下の方法があります。

・新聞の折り込みチラシ
・ポスティング
・看板
・フリーペーパーの広告
・Web広告

どの販促方法が効果的かは、開業する鍼灸院の立地など様々な条件によって異なるため、簡単には判断できません。

たとえば人通りの多い駅前にある鍼灸院なら看板だけで十分に集客できたり、住宅街の中にある鍼灸院ならポスティングが集客に有効だったりします。

色々な販促方法を試してみつつ、自分の鍼灸院に最適な方法を探していきましょう。

販促自体は大切なこととはいえ、期待した集客効果が得られずに赤字になる場合もあります。

費用対効果をしっかり検証しながら、改善を繰り返していく意識が必要です。

開業を本格的に進めるなら!具体的に必要な準備

開業を進めるにあたって、具体的に必要な準備を紹介します。

「開業資金の確保」と「設備の準備」に分けて解説するので、参考にしてください。

1.開業資金の確保

開業には数百万円ほどのまとまった資金が必要となるため、自分で用意することが難しい場合も多いでしょう。

そこで鍼灸院を開業する際に利用できる融資を2つ紹介します。

日本政策金融公庫を利用

日本政策金融公庫は、国の出資によって運営されている金融機関です。

銀行と比較すると以下の特長があります。

・融資を受けやすい
・金利が低いため負担が少ない
・連帯保証人が不要
・返済期間が長い

ただし日本政策金融公庫から融資を受けるための手続きは複雑で、審査に時間がかかります。

すぐにお金が必要な場合には向いていないことには、留意しておきましょう。

自治体の融資制度を活用

鍼灸院を開業する予定の自治体から融資を受ける方法もあります。

自治体は開業や起業を後押ししてくれるため、融資にも前向きな場合が多いです。

銀行と比べると低金利で資金を借りられる点はメリットです。

ただ融資の開始までに時間がかかりがちだというデメリットはあります。

融資までの手続きの方法は自治体によって様々です。

市役所や町村役場、県庁などの窓口で相談してみましょう。

2.設備の準備

鍼灸院の開業に向けて、テナントやホームページなどの準備も進めましょう。

設備を準備する際の注意点を紹介します。

テナントの準備

鍼灸院として使う建物には構造設備の基準が定められています。

基準を満たしていない建物で鍼灸院を営業すると、法令違反となってしまうのです。

テナントを借りる際には、基準を満たしているかをしっかりと確認しましょう。

鍼灸院として使う建物には、たとえば以下の設備が必要です。

・専用の施術室(6.6平方メートル以上の面積)
・待合室(3.3平方メートル以上の面積)
・大きな窓、あるいは換気装置
・消毒設備

特に注意するべきなのが待合室の扱いです。

基準では施術室と待合室は「固定壁で上下左右完全に仕切られている」ことが必要とされています。

ただし防災上基準により、固定壁で仕切ることが無理な場合には、パーテーションなどで区切ることが認められる場合もあります。

基準を満たしているかを判断するのは、自治体の保健所です。

鍼灸院として使う予定の建物が基準を満たしているのか不安な場合は、事前に保健所に相談してみると良いでしょう。

ホームページの準備

鍼灸院を開業する際には、集客のためにホームページを準備しておくことも大切です。

ホームページを作成する際には、「あはき法」によって定められた広告規制を守るように気をつけましょう。

たとえば「必ず痛みがなくなる」といった表現は、誇大だと見なされる恐れがあるので、使わないようにしましょう。

鍼灸院の名称にも注意が必要で、「○○クリニック」「○○治療院」のように、病院と混同される名称は使えません。

ホームページは、文字だけでなく写真を多く使うようにしましょう。

院長やスタッフの顔写真や施術室の写真を載せることで、初めて利用しようとする人も、どんな鍼灸院なのかイメージがつかめて安心します。

ホームページは良いものを作ろうとすると、外注の費用が高額になりがちです。

最初は必要最低限のものを用意しておいて、経営に余裕ができたら、お金をかけてリニューアルするつもりでいると良いでしょう。

まとめ

鍼灸院の開業にあたって、知っておくべきポイントをお伝えしました。

開業にはまとまった資金が必要となるので、どのように資金を調達するのか、検討しておきましょう。

鍼灸院を営業するテナントは、すぐに良い物件が見つかるとは限らないため、早い段階から探し始めておくことが大切です。

本記事で紹介したポイントを押さえて、鍼灸院の開業準備を進めていきましょう。

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