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原田晃先生にインタビューしました!「つなげる!バイタルショルダーコンプレックス」ってどんな書籍でしょうか?

公開日:2022年12月31日

本年発行した新刊「つなげる!バイタルショルダーコンプレックス」は、おかげさまで多くの方にご活用いただけるようになりました。

日頃の臨床において、肩関節の痛みや不調に悩んでいる患者やアスリートに向き合うことも多いのではないでしょうか。本書は、読者が鍼灸師、柔道整復師、理学療法士、医師であるか、慢性的な肩の痛みに苦しんでいる患者やアスリートであるかを問わず、肩関節を複合的により詳しく理解することができる一冊となっています。

今回は、最近特に肩に興味を持たれているという、お茶の水はりきゅう専門学校副校長の原田晃先生に、肩関節と「つなげる!バイタルショルダーコンプレックス」についてインタビューしました!

書籍『つなげる!バイタルショルダーコンプレックス』について

2022年4月刊行。弊社の既刊書籍「強める!殿筋」「骨盤と仙腸関節の機能解剖」の著者である、英国オックスフォード大学で教鞭をとるJohn Gibbons執筆の新刊書籍です。

本書は、多くの患者やアスリート、時には治療家も悩まされている部位である肩関節について、解剖学、運動学、安定性に影響をおよぼすマッスルインバランスと筋膜、運動連鎖など多くの観点から、肩関節機能障害に対する理解を深めることができる1冊です。

写真や図、症例を駆使し、これまでの難解な医学書とは一線を画すような読み手が理解しやすい解説が魅力です。

「治療は簡潔に」が著者のモットーであり、「治療家は理論的な方法で探偵のように手がかりを見つける」という著者の言葉通り、本書では手順を追って、肩関節の複雑な構造から全身の繋がりを解説しつつ、わかりやすい豊富な図解と写真で、理論的に肩複合体の問題を解き明かしています。

症例を数多く紹介し、肩複合体の評価手順や、マッスル・エナジー・テクニック、自動的・他動的運動を用いた軟部組織リリース、テーピング・テクニックなど、さまざまな治療戦略について、アスリートまでも対象とする運動療法を含む治療体系としてまとめ上げられています。

患者やアスリートに家で行うように勧めることができるリハビリテーション・エクササイズも紹介しています。

本書を通じ、治療家として「肩の領域で何が起こっているのか」の理解を深め、それに対して何ができるのかを明確につかむことで、この先多くの患者やアスリートの問題を解決することに実用的にお役立ていただける書籍です。

目次
ページサンプル

原田晃先生のご紹介

はり師・きゅう師。1973年千葉県生まれ。筑波大学大学院人間総合科学研究科修了。伝統工芸の営業、昆虫の研究などの職業を経て中央医療学園鍼灸学科に入学。卒業後、東京衛生学園臨床教育専攻科に進み、現在はお茶の水はりきゅう専門学校副校長。全国鍼灸マッサージ協会公認 スポーツトレーナー。
累計5万部突破の『イラストで楽しく学ぶ インパクトシリーズ』テキストの「ボーンインパクト」「徒手検査インパクト」「神経インパクト」「血管インパクト」「経穴インパクト」「生理学インパクト」(以上、医道の日本社)など著書多数。

原田晃先生にインタビューしました!

――まずお伺いしたいのですが、原田先生は最近肩に興味を持たれているとお聞きしましたが、どのようなことからでしょうか?

原田 鍼灸師になって以来、臨床の現場で野球肩を始め四十肩、五十肩など肩の痛みに悩む患者さんを多く見てきました。ところが肩痛は思ったように治療効果を出すことが難しく、私の中で肩痛の治療は「非常に難しいもの」であり、治療の機会を得るたびに苦い経験を積み重ねてきました。また、私自身も若いころから肩の痛みに悩まされ続けた経験があり、今現在も悩んでいます。若いころの肩の痛みは自力で何とか治せたものの、大変苦労しました。今現在患っている肩の痛みは恐らく年齢的なものが原因だと思うのですが、すぐには治りそうな気配もなく、どうにか治療のヒントになるものはないかと苦慮している最中です。そんな経緯から肩痛に関する情報には特に敏感になっているというわけです。

――本書を読まれて、驚きや発見はありましたでしょうか?また、それはどの部分ですか?

原田 本書では一貫して「痛みがあるところに問題はない」、つまり患者が痛みを訴えている部位と実際に痛みを引き起こしている部位は一致しない、という考え方に基づき、身体を運動連鎖の複合体として捕らえ、痛みの原因を探り出す方法を紹介しています。これは今さらながら私に鍼灸治療の本質である「全人的医療」という考え方の合理性を改めて見直すきっかけを与えてくれました。

――本書の注目すべき点、優れているところがあれば教えてください。

原田 以下に挙げる点です。

①著者自身も本書の中で述べているが、この様な難解なテーマを扱った書籍にもかかわらず、非常に分かりやすく読みやすい事。

②肩関節痛に関わるありとあらゆる筋肉や組織が、肩関節痛の発症にどの様に関わっているのか、非常に丁寧に記されている事。また、筋肉の作用などが一般的な教科書に記載されているようなレベルに留まらず、臨床的なレベルまで記載されている事。(例えば、棘上筋は肩甲上腕関節が90度以上の外転位になったとき、当初の外転筋としての役割を維持せず、内転筋になる、など)

③内容が実用的な構成になっている事。肩関節痛の患者の評価と治療に関して順序立てて記されているので実際の治療に役立てやすいです。

――多くの鍼灸師が肩の複雑さに苦戦してると感じています。そのような中で、本書をどのように活用すると良いか、アドバイスをいただきたいです。

原田 PT(理学療法士)に向けて書かれたものではありますが、鍼灸師の先生にとっても非常に有益であると思います。本書に記されている解剖学的な基礎知識はもちろん、重大な疾患(例えば心筋梗塞、肺癌、胆石症など)の鑑別方法、肩関節痛の評価方法は肩関節痛患者に対する問診、病態把握に活用できるし、本書で紹介されているMETs(マッスル・エナジー・テクニック)はそのまま治療に取り入れられます。

また、筋膜軟部組織治療(筋膜リリースの一つ)は鍼灸治療で応用できそうです。さらに本書では治療の「プロトコル」まで紹介されているので、肩関節痛の治療に苦戦されている鍼灸師の先生でもすぐに本書を活用できると思います。

――本書は、どのような治療家におすすめしたいと思われますか?

原田 本書は肩関節痛の原因を全人的な視点から静的な要素に加え、動的な要素、例えば「歩行」のレベルから評価し、その原因を導き出すメソッドを紹介してくれています。ですからリハビリテーションや運動学に興味のある先生だけでなく、東洋医学的に全身を診て治療を行うような治療家の先生にも是非、本書をお勧めしたいと思います。

――最後に、本書をお読みになった感想をぜひお聞かせください。

原田 私自身、何度も肩関節を痛めた経験があり、現在、肩関節痛で苦しむ患者様を何人も診させていただいているため、本書を大変興味深く読みました。

本書を読むには多少の解剖学的な知識は必要ですが、要所要所に適切なイラストが配置されていたり、著者の臨床エピソードが随所に紹介されていたりと、とにかく実用的で分かりやすかったです。

ただ一つ残念だったのがいわゆる「五十肩」については、本書の中でも「現在、研究でこの疾患の病態生理の原因と機序を真に解明し、説明できていない」と書かれており、また「この治療計画が、人が思うほど簡単ではない」と締めくくられています。

しかしながらそれ以外の肩関節痛に関してはこれ以上ないというほどに丁寧に解説されていますので、何度も読み返し今後の臨床に生かしていきたいと思います。

――お忙しいところ、肩関節と本書についての大変貴重なご感想をいただきまして感謝いたします。

いかがでしたでしょうか。今回は、原田晃先生が最近肩に興味を持たれているとお聞きし、肩関節と本書についてインタビューしました。インタビューの中では、本書についての客観的なご感想だけでなく、原田先生の鍼灸治療の本質である「全人的医療」という考えと、臨床での本書の活用についてなどお伺いすることができました。
本書は肩関節について、知識を深めたい、解剖図を何度読んでもわからない、参考書選びで迷っている、臨床にすぐに活かしたい!と考えている治療家へおすすめの1冊です。ぜひこの先も一人でも多くの方にご活用いただけると幸いです。

「つなげる!バイタルショルダーコンプレックス」はこちらから

つなげる!バイタルショルダーコンプレックス

-肩複合体:評価、治療、リハビリテーション―

著者 : John Gibbons
監訳者 : 赤坂清和

John Gibbonsの著書はこちらから

骨盤と仙腸関節の機能解剖 
骨盤帯を整えるリアラインアプローチ
強める!殿筋 

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