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接骨院・整骨院の自費メニュー展開のポイントと料金設定を徹底解説!

公開日:2022年7月1日

接骨院・整骨院などの治療では、保険の適用審査が年々厳しくなっています。そのため治療院が生き残っていくには、保険適用を謳うだけではなく、魅力的な自費メニューを展開していくことも重要な選択肢と言われています。

しかし、自費メニューを展開するには何をコンセプトにすればいいのか、どこをウリにすべきか、どのように打ち出せばよいのか、注意点はなにか…など頭を悩ませることも多いのではないでしょうか。

本記事では、昭和初期から鍼灸院・接骨院・整骨院に関わってきた医道の日本社が、以下の内容についてまとめました。

・保険施術と自費メニューの違い

・自費メニューの内容と料金設定について

・自費メニューの効果的な展開の仕方

これから接骨院・整骨院の開業を検討している方、すでに開業している方の保険施術にプラスアルファのご参考になれば幸いです。

保険施術と自費メニューの違い

自費メニューについて触れる前に、まずは保険施術と自費メニューの違いから整理します。

保険施術

接骨院・整骨院といった治療院での施術には、ご存じのように、保険が適用される場合と、適用されない場合があります。健康保険が適用できる治療の場合は保険施術となります。

保険施術ができるか否かは、法律で定められた保険の適用範囲によるため、患者さんの症状や怪我をしたときの状況などに左右されます。

保険が適用される治療は、主に以下のケースです。

・骨折、不全骨折

・脱臼

・打撲

・捻挫

・挫傷

細かい基準はさまざまありますが、大まかに分けると「負傷原因が急性または亜急性(急性ではないが、徐々に進行する)の外傷性の怪我」の場合は、保険が適用される可能性が高いです。

対して「慢性的に抱える痛み」は保険適用外です。

たとえば同じ腰痛でも、交通事故やスポーツの最中に腰を打って怪我をした場合は、負傷原因がはっきりした急性の怪我に分類されるとみていいでしょう。しかし、原因がはっきりしているわけではなく、かつ常に痛みを抱えている状態は、急性の怪我とはみなされません。そのため、日常で慢性的に抱える肩こりや腰痛は保険適用外となり、全額自費負担です。

また、急性の怪我であっても、負傷の原因がわからなかったり、いつ怪我をしたのかわからなかったりする場合は保険適用外となりますので気をつけましょう。

参考:全国健康保険協会

自費メニュー(保険適用外)

先述のとおり、急性の怪我の治療以外では保険が適用されません。肩こりや腰痛、倦怠感、頭痛などの慢性的な症状を緩和するための施術は、怪我の治療ではないため、保険の適用範囲外です。

また、急性の怪我であっても、すでにほかの医療機関で治療を受けている重複受診の場合は保険の対象外となります。

このような保険適用外の治療は、治療費が患者さんの全額自己負担となります。その際に求められるのが、今回のテーマである自費メニューです。

自費メニューの事例と料金設定のポイント

自費メニューの事例

運動療法

運動療法は言葉のとおり、運動をしたり体を動かしたりすることで、症状の改善や治療や予防をはかるものです。従来、運動療法は身体麻痺や骨折などのリハビリに活用されるのが主流でした。しかし、近年では生活習慣病の予防や内科疾患の治療にも効果的とされ、接骨院や整骨院のメニューにも積極的に取り入れられています。

特にストレッチングや腹筋や背筋の筋力トレーニングは、腰痛や肩こりにも効果が期待できるので、治療院の代表的な運動療法メニューです。

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骨盤矯正などの産後ケア

出産を経験した女性は、腰痛や倦怠感、尿漏れなどに悩む方が来院されるケースがあります。これは出産による骨盤の開き、ズレ、ゆがみが一因とされています。放置していると、産後に体型が戻りにくくなるだけでなく、血行の悪化や自律神経の乱れにもつながるため、施術による矯正が効果的となります。

女性や、ファミリー層が多い立地に開業している、といった治療院では、女性向けのメニューの1つとして産後ケアのメニューを展開する院が多いです。

自費メニューの料金設定

自費メニューの展開にあたっての肝となるのが料金設定です。

率直に言ってしまえば、ほとんどの顧客にとって自費メニューは「保険が使えないので高いもの」というイメージがあります。そのため、よほど施術者の腕がいいか、「自費であってもどうしても受けたい施術内容」でない限り、高いお金を払ってまで利用したいと感じる方は少数派でしょう。

しかし裏を返せば、自費でも技術が高く、手が届く金額、かつ魅力的なメニューであれば利用してもらえるということです。

自費メニューの料金設定は、高額すぎないだけでなく、きちんと収益があがる金額をしっかりと見定めて設定することがポイントです。施術内容に見合った適正金額で、サービス内容もいい。これなら、自費であっても顧客に十分に魅力を感じてもらえるでしょう。

同時に、メニュー内容やコンセプトもきちんと考える必要があります。誰のためのサービスで、どういった場合に受けると効果的か、などです。

たとえば、「既存のお客様は肉体労働系の方が多いので、疲労回復のメニューを展開しよう」「女性を呼び込みたいので、産後ケアのメニューや肩こり・腰痛改善のメニューを考えよう」といった具合に、顧客層や集客したいお客様層のことも織り込みながらコンセプトを考えてください。

※コンセプトの考え方については、こちらの記事もご参考ください

自費メニューの展開・拡大方法

いざ用意した自費メニューも、顧客に認知してもらえなければ集客は見込めません。自費メニューを強化して広く展開していくために、PR方法についても工夫することをおすすめします。

自費メニューのPR

新規患者向け

せっかく自費メニューを展開しても、まずは知ってもらわないことには集客にはつながりません。自費メニューのPRをすることで新規の顧客開拓にもつながりますので、治療院そのものを認知してもらうためにも、積極的に宣伝していきましょう。

新規開拓のための手法としては、チラシの配布やDMの送付、ホームページでの宣伝が一般的です。ただし闇雲に宣伝しても効果は薄いので、獲得したい顧客層に有効的な手法を選んで実施することが大切です。

高齢者向けのサービスであれば、チラシやDMのほかにも地域のフリーペーパーへの掲載や、新聞への広告出稿といったアナログな宣伝が効果的です。逆に若年層であれば、SNSを活用した宣伝もおすすめです。狙いたいお客様像や、展開するサービスの内容によってアピール方法を考えましょう。

その際は漠然とした内容で宣伝をおこなうのではなく、アピールしたい自費メニューがどういった人におすすめなのか、施術でどのような効果が期待できるのかを、より具体的に打ち出すと効果的です。宣伝を目にした方が「私の悩みを解決してくれそうだ」と、自分事としてとらえて興味を持ってくれるからです。

※チラシでの効果的な宣伝の方法についてはこちらもご参考ください

既存患者向け 

すでに院に通ってくれている患者さん、つまり既存顧客に対しては、DMやフリーペーパーなどの媒体を介するのではなく口頭で直接宣伝したほうが手っ取り早いです。院や施術担当者を信頼して通ってくださっている患者さんであれば、自然と説明にも耳を傾けてくれるはずです。

また、既存の患者さんであれば症状や悩みを把握できているため、適切なメニューの紹介ができます。患者さんの状態に合った自費メニューなら、受け入れてもらえる確率も上がります。なぜそのメニューがおすすめなのか、患者さんの悩みをよく考えながら心のこもった案内をするとよいでしょう。

壁にポスターを貼っておけば待ち時間に自然と患者さんの目に入るので、手間をかけずにメニューを周知できます。自宅でもゆっくり検討して貰えるよう、パンフレットやリーフレットを作って、受付や待合室に設置するのもおすすめです。何から始められるか、どうすれば患者さんの興味を引けるか、いろいろと工夫してみてください。

展開上の注意点

自費メニューを展開するうえで、いくつかの注意点もあります。メリットとデメリットをそれぞれ把握し、自院に合ったメニューを考えるようにしましょう。

スキルの習得には時間やお金がかかる

すでに習得しているスキルを活用した施術メニューなら問題ありませんが、そうでないメニューを開拓していく場合には、習得のための時間とお金がかかることを認識しておきましょう。

また、せっかく時間とお金をかけて新しい治療メニューを開拓しても、投資した費用を回収できなければ意味がありません。

かけられる予算はどれくらいか、集客の見込みがあるか、どれくらいの期間で投資分を回収できそうか。これらの要素に鑑みながら、どのような施術内容であれば展開が現実的か、運営状況や顧客層などの要素から分析して決めましょう。

自費メニュー用の機器を購入するには高額な初期費用がかかる

自費メニューの内容によっては、新しく機材の導入が必要なケースがあります。

たとえば新しく電気治療をメニューに加える場合、電流装置や低周波治療、EMSなど専用の治療器具を用意しなければなりません。このような機材は、導入にあたって高額な費用がかかることが多いです。初期投資費用がそれなりにかかることを覚悟しましょう。

加えて、高い費用をかけて機材を導入したからといって、施術の料金設定を高額にするわけにもいきません。1000万円の治療器具を使うから客単価を100万円に設定する…というわけにいかないのは、容易にご想像いただけると思います。必然的に、初期投資費用の回収には長期間を要することになります。

高額な初期費用を払うに値するのか、回収の見込みはあるのか、見込みがあるならどのくらいの期間で回収ができそうか。細かな計画を立てたうえで、導入を検討してください。

保険施術と併用する際の一律料金設定はできない

最後に、メニューの料金設定と健康保険の仕組み上の注意点です。

気をつけなければならないのが、保険施術と自費メニューを「一律料金」に設定できない点です。

たとえば、事故で骨折をした患者さんに対して、骨折治療と自費メニューの運動療法の両方の施術をおこなった場合。この費用を請求する際に「一律で合計○○円」と設定して請求してはいけません。

一律・合計での料金設定をしてしまうと、どの治療が保険の適用範囲なのか、その治療費はいくらであったか、自費メニュー分はいくらなのか、詳細がわからなくなるためです。

また、一律料金にしてしまうと必然的に、それぞれ別の治療や施術をおこなった患者さんの支払い金額が同じになります。症状によって施術の内容は変わってくるはずなのに同じ金額では、患者さんも不信感を抱くでしょう。

のみならず、厚生局から保険の不正請求を疑われるおそれもあります。無用な疑いを避けるためにも、料金設定は一律にせず、保険施術の分と自費メニューのぶんは料金を分けて表示・請求しましょう。

自費メニューは施術内容ごとの料金を明確にしたうえで、患者さんに説明するときも、料金を明記したメニュー表をもって案内することを推奨します。

まとめ

今回は治療院の自費メニューと、展開時のポイントや一例についてご紹介いたしました。

保険適用審査が厳しくなっている今、自費メニューの展開は接骨院・整骨院を運営するにあたって有効な手段のひとつになってきています。保険施術のルールを遵守しながら、変化する患者さんのニーズにあったメニューを検討してみてはいかがでしょうか。          

患者さんに長く通い続けていただくための、自院のコンセプトやお客様に合った魅力的な自費メニューを考える際に、本記事がお役に立てば幸いです。

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