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身体のしくみに興味のあるすべての方におすすめ!書籍「筋と骨のキホンがマンガでわかる! おもしろい解剖学」の著者戸村多郎先生にインタビューしました!

公開日:2023年8月10日

2017年発売の書籍「筋と骨のキホンがマンガでわかる! おもしろい解剖学」は、医療系の学生、医療従事者の方からはもちろん、ピラティスなどに通う方など、医療従事者以外の方からも、自分の身体に興味をもてるようになったなどの声をいただきロングセラーとなっています。

この記事では、著者で世界で初めての未病の評価尺度「未病スコア®」を開発した、戸村多郎先生に、本書を通じて一番伝えたかったことや、解剖学の魅力についてなどインタビューしました!

書籍『筋と骨のキホンがマンガでわかる! おもしろい解剖学』について

「解剖学」がおもしろい?
一般的には難しくて複雑な印象をもたれがちな「解剖学」。本書では本格的なストーリー仕立ての漫画で解剖学の「筋」と「骨」の基本を解説しています。

江戸時代に翻訳された医学書「解体新書」の著者をイメージして現代に蘇らせた個性豊かなキャラクターたちの身近に起こるできごとが解剖学と結びつき、ストーリーにひきこまれていくうちに解剖学の基礎について理解が深まります。

身体のしくみに興味のある小中学生、解剖学に初めて触れる方、スポーツや運動に携わる方など、解剖学を身近にもっと楽しく学びたいすべての方におすすめの一冊です。

戸村多郎先生のご紹介

関西医療大学大学院 保健医療学研究科 准教授
関西医療大学 保健医療学部  准教授(兼任)

和歌山県立医科大学 医学部 衛生学教室 博士研究員

神戸大学経済学部 卒業
大阪教育大学大学院教育学研究科 修了
関西鍼灸短期大学(現 関西医療大学)解剖学教室講師、関関西医療学園専門学校 学生部長・学術部長を経て現職
解剖学と統計学、研究計画論を担当
教育歴29年目、年間約300回のべ1.5万人を教えている。
50歳から始めた自作アプリが、1.3万ダウンロードされている。
(2023年度現在)

研究室『とむラボ』では、東洋医学の「未病」概念を予防医学と健康増進に活かす研究、養生に関するソリューションを社会に提供している。ラボ活動の一つとして、世界で初めて東洋医学による「未病」の評価尺度「未病スコア®(五臓スコア®)」を確立。【東洋医学診断アプリ】未病スコアも開発した。
研究室『とむらぼ』
https://anatomyline.blogspot.com/

趣味:アプリ作り・アニメ・小説執筆

戸村多郎先生にインタビューしました

――本書の「はじめに」にも触れられていらっしゃいますが、改めて、本書で戸村先生が一番伝えたかったこと、重視されたことを教えてください。

戸村 先ずは監修の仙波恵美子先生をはじめ、作画の先生方、医道の日本社の皆さまのお力添えを賜り、なんとか原案者としての役割を果たすことができました。ありがとうございました。
発刊からちょうど6年が経ちました。この期間の自己研鑽もあり、作品への思いも少し変わってきました。

私が一番伝えたかったことは、人が社会の基盤であり、社会の機能が人の理解によって支えられているということです。

どんな仕事でもまず人を理解するところから始まります。解剖学の知識は人々の健康やウェルビーイングに直結するため、私はこのマンガを通じて、解剖学の魅力を広め、読者が人を理解する能力を養えることができれば、社会全体の健康と幸福に寄与することができると思っています。

人を理解すること、特に人の身体の仕組みを理解することは、医療従事者やトレーナーなどの専門職、医療系学生だけでなく一般の人々にとっても有益です。例えば、自身の骨格や筋肉を把握することで、運動をする人ではパフォーマンスの向上や怪我の予防、医療従事者では患者さんの状態の理解に役立ちます。今や解剖学は医療だけでなく、アートやエンターテイメントの分野でも重要な知識なのです。

本書では、一般から専門家まで幅広く人の身体を理解することの重要性を啓発することを目指しています。そのため、人の体の仕組みをわかりやすく伝える方法に、イメージしやすいストーリーと視覚的なマンガ形式を採用しました。よくこの手の教育マンガでは、文章による解説が差し込まれているものがありますが、それはせずに、すべてをマンガにしました。

マンガは視覚的に情報を伝えることでは素晴らしいツールであると同時に、読みやすく楽しいため広い層の人々に興味を持ってもらえます。本書は、教育と娯楽の要素を組み合わせることで、読者がストーリーに引き込まれ、より効果的に身体の仕組みが理解しやすいのです。

――アニメ・小説執筆の趣味をお持ちで、専門学校と同時に大学に通われるなど、多くのことに取り組まれてきた戸村先生が解剖学を専門にされることになったきっかけを教えてください。

戸村 約30年前の1994年に、関西医療学園専門学校の教員になりました。
当時、解剖学を教える教員が少なくて困っていて、そこで私に白羽の矢が立てられたわけです。現在、私が勤務する関西医療大学の前進である関西鍼灸短期大学の解剖学教室に所属したことが、キャリアのスタートです。それから私は、解剖学を学生たちにわかりやすく伝えるために、オリジナルの資料や図表を取り入れた教材など、様々な工夫を行ってきました。

あるとき、頑張っている私にご褒美のように、医道の日本社様から最初の書籍『よく出るテーマ50解剖学』(2011年)を出版する機会をいただきました。その後、解剖学の教育マンガ『マンガ おもしろい解剖学』の作成に携わることになりました。このマンガは、すべての人が楽しく解剖学を学べるように、編集の方と一緒にキャラクターやストーリーを組み立てたものです。

解剖学の教育マンガの作成は、私のキャリアの中でも特別なプロジェクトで、普段解剖学になじみの無い方々にも、人の構造の素晴らしさをお伝えできる貴重なチャンスでした。今後も解剖学の教育に取り組みながら、新たな教育方法や教材の開発に挑戦していきたいと考えています。

――戸村先生がお考えになる解剖学の魅力について教えてください。

戸村 私は現在、国家資格の種類で言えば4つ、専門学校も含めて5つの学科で人体の構造(解剖学)を教えています。資格や授業回数などの違いはありますが、解剖学は共通の専門基礎科目であり、伝える内容はもちろん同じです。

学生の多くは、高校を卒業してすぐに入学しますので、解剖学はこれまで学んだことがない初めての科目です。そのため、みんな興味津々で質問もたくさんしてきます。みんなが一つずつ持っている体、普通では簡単に中身が見られない体、解剖学には興味を引きつける多くの魅力があると日々感じています。

『マンガ おもしろい解剖学』は、マンガやアニメが大好きな私にとって、あこがれていた原案者として携わることができ、喜びと同時に大変な挑戦でもありました。

解剖学の正確性を損なわずに、誰が読んでも楽しい内容を作り上げることは容易ではありませんでした。しかし、多くの方のご協力により、解剖学を理解しやすく、親しみやすい形で表現することができたと自負しております。

――戸村先生でも解剖学の中に、得意、不得意な箇所はありますか。

戸村 ははは、得意、不得意はもちろんあります。
得意というか、私が教えていて楽しいのは「食道」「小腸」「肝臓」「腎臓」「生殖器」「伝導路」「視覚器」「聴覚器」など、いわゆる内臓系ですね。ストーリー性があるので学生が興味を持ちやすいのです。

苦手なのは筋肉です、すみません(汗)。なにせ筋肉は、全身に数百個もあり、ストーリーはあるものの、「名称、起始、停止、支配神経、作用、特徴」という約6つの要素をひたすら学ばなければなりません。ただ、私は物覚えが得意ではないので……。解剖学の中でも、筋肉は理解力よりも記憶力が求められるため、興味が高くない人にとっては苦行ですよね。

ですから、本書では「骨や筋肉が苦手な人でも興味を持てるように!」と、ストーリーテリングや視覚的な要素を取り入れて工夫しました。

――解剖学を教えていて、学ぶ学生に感じること(苦労していること、工夫していることなど)はございますか。

戸村 普段、道に迷いやすい人は、解剖学を難しく感じるようです。

解剖学は、身体内部の構造や器官の位置関係を理解する必要があります。空間の立体的理解や身体構造のイメージ化を困難に感じる人がいますが、このような人は、解剖学を難しく感じる傾向があります。

医療従事者の仕事の多くは、皮膚の上から中を想像してアプローチします。そのため、人体の構造を頭の中で立体的にイメージする必要があり、一部の人はそのスキルに苦労します。

しかしこれは、どうしても必要なスキルであり、そのギャップを埋める役割が解剖学の授業だと思っています。授業では、具体的な臨床例などを取り上げることで、学生たちが解剖学の学習意義を実感しやすくなるよう努めています。

解剖学の学習には確かに苦労が伴います。学生たちが解剖学を克服し、将来の専門職に活かせるようになるために、常に全力を尽くします。

――解剖学を学習するにあたり、重要なこと、ポイントはなんでしょうか。

戸村 解剖学の知識のインプットとアウトプットには、学習時、試験対策時、臨床での応用時という異なるフェーズがあります。さらに、個人の特性も組み合わさり、学習方法は複雑な要素から成り立っています。

解剖学の学習方法は、教員が学生に提供する「解剖学はこう勉強した方が良い」というアドバイスや勉強方法に従うだけではなく、学生自身が自分に適した方法を開拓していくことが重要です。

個人の特性や学習環境に応じて、最適な学習方法やアプローチを選択した方が良いかも知れません。私は学生たちが成功体験を積むために、解剖学の学習時に中間テストを実施するなどの配慮をしています。

また、定期試験の問題も事前に提供し(といっても2000問をゆうに超えますが)、学生に実際の試験問題をイメージさせることで、重要なポイントや勉強方法について提案しています。

――本書をどんな方に読んでいただきたいですか。

戸村 この『マンガ おもしろい解剖学』は、体を構成する骨と筋肉に焦点を当て、楽しみながら学べる内容となっています。この本は医療系の学生、医療従事者に限らず、どなたにも手に取っていただきたいです。

特に、ヨガやフィットネスに興味のある方、健康志向の方にもぜひ読んでいただきたいです。骨や筋肉の働きを理解することで、効果的なトレーニングや運動のヒントを学ぶことができ、身体の仕組みについての基礎知識を持っておくことは、日常生活での健康管理にも役立ちます。

さらに、教育現場で働く先生や教育に興味のある方にとっても、本書は役立つリソースとなるでしょう。授業で教材として活用することができるだけでなく、わかりやすいストーリーを通じて学生たちの学習意欲を高めることができると思います。

――解剖学を学習している方、または解剖学に苦手意識があってどうにかしたいと思っている方に、ぜひメッセージをお願いいたします!

戸村 解剖学は、私たちの身体の仕組みや構造を理解する上で非常に重要な学問です。しかし、多くの人々は解剖学の教科書を読むと、専門的な用語や知識によって混乱し、学習が困難になることがあります。

そこで、私たちは解剖学の学習をより身近で魅力的なものにしようと努めました。この本では、解剖学の基礎をマンガの形式で伝えることで、読者がより親しみやすく学びやすくなっていると思います。

また、子どもたちにはマンガとして、一般の方々には運動器の解剖学的情報として読んでいただけたらと考えています。身体の動きや筋肉の働きを理解することで、日常生活での正しい姿勢や効果的な運動方法が身につき、ケガの予防や健康促進に役立つと思います。

解剖学は私たちの身体を理解するための貴重なツールです。この本を通じて、解剖学を学ぶことへのハードルを下げ、興味を持つきっかけとなれば幸いです。ありがとうございました。

健康とは何か、未病とは何か、についての視点で、多くの学会やセミナーで講師も務める戸村多郎先生

――この度はお忙しいところ、一つ一つご丁寧にご回答いただきましてありがとうございました。「人を理解すること」とおっしゃる通り、戸村先生のお人柄も垣間見られるような貴重なお話を伺うことができました。

解剖学は単なる身体の構造ではなく「人が社会の基盤であり、社会の機能が人の理解によって支えられているということ。どんな仕事でもまず人を理解するところから始まる。」。この言葉を念頭におくと、名称の暗記にはとどまらない解剖学の「筋」と「骨」の基本基本を改めて学習する意欲を掻き立てられました。医療従事者にとどまらず、ヨガやフィットネス、健康志向の方、アートやエンターテインメントの分野までも、広く皆様の元へお届けしたい一冊です。

筋と骨のキホンがマンガでわかる! 
おもしろい解剖学

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