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トリガーポイントをもっと素早く、簡単活用! 書籍「症状から治療点がすぐわかる!トリガーポイントマップ」の著者伊藤和憲先生へインタビューしました!

公開日:2023年3月2日

治療において「筋肉の痛みの引き金(trigger)になる点(point)」という意味で使われているトリガーポイント。ただし、トリガーポイントについての知識とその位置はどのくらい正しく身についているでしょうか。

トリガーポイント研究の第一人者である伊藤和憲先生の著書「症状から治療点がすぐわかる!トリガーポイントマップ」は、2009年に発売された伊藤先生の書籍「はじめてのトリガーポイント鍼治療」とともに、多くの治療家に活用され、重版を重ねてロングセラーとなっています。

この記事では、書籍「症状から治療点がすぐわかる!トリガーポイントマップ」の紹介と、伊藤和憲先生へのインタビューをお届けします!

書籍『症状から治療点がすぐわかる!トリガーポイントマップ』について

トリガーポイントは、圧痛点と混同されやすい部位ですが、圧痛点は単に押して痛い部位であるのに対し、トリガーポイントは索状硬結と呼ばれる筋線維の塊の上に圧痛部位が存在し、その圧痛部を押さえると遠隔部に関連痛と呼ばれる痛みが放散するのが特徴です。

トリガーポイントは、筋肉にできたしこり(硬結)の上にある過敏な点(痛む部位)を指し、それを正確に探すにはいろいろと条件やコツがあります。

もし、圧痛点と混同して、トリガーポイントを正しく認識していないとしたら、思うように治療効果が得られていないかもしれません。トリガーポイント治療は、ご自身の治療法にアレンジして活用できる治療法です。

本書では、臨床にすぐ役立つように、「痛む部位」別に、その痛みの発生源となる可能性が高い筋肉から順に、トリガーゾーンをピックアップ。トリガーポイントが一目でわかるように、筋肉の位置もイラストでわかりやすく示して解説しています。

正確にトリガーポイントを探すことにこだわりすぎて、トリガーポイント治療を「難しそう」と敬遠することもあるようですが、本書は、勉強し始めたばかりの方はもちろん、幅広い治療家がもっと「素早く」「簡単に」活用できるようにリガーポイントの位置をまとめています。

ご自身の治療法を増やしたいと考えている方や、現在の治療に行き詰っている方にも、痛みの部位からトリガーポイントを逆引きできる本書は多い役に立つことでしょう。

筋肉の痛みで苦しむ患者さんを、一人でも多く助けることができるように、大いに活用していただきたい書籍です。

▷サンプルページ

伊藤和憲先生のご紹介

■現職

明治国際医療大学 鍼灸学部 学部長・教授
明治国際医療大学 大学院鍼灸学研究科 研究科長
明治国際医療大学 鍼灸臨床部長
一般社団 日本養生普及協会 会長
YOJYOnet株式会社 CEO(明治国際医療大学発ベンチャー)

■略歴
1972年 千葉生まれ
1997年 明治鍼灸大学(現:明治国際医療大学)鍼灸学部卒業
2002年 明治鍼灸大学大学院(現:明治国際医療大学大学院)博士課程修了
同大学、同大学院の助手、講師、准教授、大阪大学医学部の特任研究員、助手などを経て、教授・部長・センター長などを歴任

2008~2009年カナダ・トロント大学(B J Seslle教授)に留学。厚生労働省科学研究費補助金 にて、「慢性痛患者に対する統合医療的セルフケアプログラムの構築」、「鍼灸における慢性痛患者の治療指針ならびに医師との連携に関するガイドライン」、日本医療研究開発機構(ANED)にて「薬物に効果の認められない線維筋痛症患者に対する鍼灸治療の有用性の検討」の研究代表を務める。

トリガーポイントの研究を続け、学会での学術発表、セミナー、講演を数多く行ってきている痛みの治療の第一人者。現代の医療が抱える数々の問題を重要視し、地域再生プログラムの要素も含んだ「健康で美しく、楽しく生きる」という前向きな考えを基本とした養生に関する活動、セルフケアの指導にも力を入れている。明治国際医療大学発のベンチャー企業YOJYOnet株式会社のCEOも務めるなど多角的視点で幅広く活躍中。

著書に「はじめてのトリガーポイント鍼治療/医道の日本社」「いちばんやさしい 痛みの治療がわかる本/医道の日本社」「よくわかる痛み・鎮痛の基本としくみ[第2版]/秀和システム」などがある。

伊藤和憲先生にインタビューしました!

――はじめに、これから詳しく学びたい方も多くいらっしゃいますので、トリガーポイントとはどのようなものか改めて教えていただけますでしょうか。

伊藤 トリガーポイントは筋筋膜の痛みに特徴的な痛みの原因部位で、引き金(trigger)点(point)とも呼ばれています。ある部位の原因部位(トリガーポイント)が引き金となり、原因部位とは離れた部位(遠隔部)に痛みを生じる現象(関連痛)を指します。特に、筋肉ではこのような関連痛が多く生じやすいため、臨床ではとても注目されています。

――伊藤先生がトリガーポイントに注目されたきっかけや、エピソードを教えてください。

伊藤 私のゼミ・大学院の指導教官であった川喜田健司先生が「トリガーポイント鍼療法(医道の日本)」を翻訳されており、その内容が面白く、ゼミの際に高張食塩水を筋肉に注入し、関連痛が起こる現象を実体験してから、トリガーポイントを研究しようと思いました。

――学生のころから注目されていたのですね。では、本書のトリガーポイント「筋肉にできたしこり(硬結)の上にある過敏な点」はどのようにして選定されたのでしょうか。

伊藤 トリガーポイントの原点は、トラベルと&サイモンの「トリガーポイントマニュアル」(Myofascial Pain And Dysfunction The Trigger Point Manual By Janet G. Travell David Simons)にあります。その書籍やトリガーポイントに関する様々な書籍を読み、トリガーポイントの位置をまとめると共に、本書では、私自身が臨床的によく経験するトリガーポイントを中心に、それぞれの治療家自身が普段の臨床で行っている方法をなるべく保ちつつ、臨床で使える範囲まで手順を簡素にわかりやすくまとめました。

――トリガーポイント治療でよく使われるシンプルな手技は虚血性圧迫ですが、トリガーポイントに刺鍼をする鍼治療の効果について教えてください。

伊藤 虚血性圧迫とは、圧をかけて血流を一時的に遮断し、その再灌流時に発痛物質を流すという手技です。鍼治療の場合は、圧迫することはできないので、その手技とは異なりますが、トリガーポイントに存在するポリモーダル受容器を刺激することで軸索反射が生じ、その結果血流が良くなることで、発痛物質が流れ、痛みが改善すると考えられています。なお、軸索反射はトリガーポイントに限った反応ではないので、ツボの多くで生じる現象ですが、トリガーポイントでは他の部位と比べで軸索反射が生じやすいことが知られています。

――トリガーポイントは、筋肉に関連した痛みの発生源である筋肉の損傷部位ということですが、筋肉の損傷の状態についてもう少し教えてください。

伊藤 本書内にもありますが、筋肉が関係した痛みは、実際に痛みを感じている部位と関係のない部位に痛みの発生源があることが多いです。その発生源の多くがトリガーポイントと呼ばれる筋肉の損傷部位です。

筋肉の損傷とは、打撲や肉離れのような際に起こる現象のように思われがちですが、筋肉が伸ばされたり、捻られたりすると、筋肉の線維が一部損傷し、それがトリガーポイントになることが殆どです。

そのため、打撲や肉離れとは異なり、自分自身ではあまりその損傷に気が付いていないことが多いため、どこにトリガーポイントが存在するのかわららないことが多く、臨床的には見逃されやすい部位とされています。

――伊藤先生は治療の際、どのタイミングでトリガーポイント治療をされますか?伊藤先生の治療への導入の流れを伺いたいです。

伊藤 臨床で必ずトリガーポイントを利用するわけではありません。筋肉の痛みは、重だるく、鈍い痛みで、痛みの場所が指でさせるほど、明確にはわかりません。そして、動作時の痛みが中心であるため、下記の3つの条件のうち2つが揃えば筋肉の痛みが原因と考え、まず可動域を測定し、どの筋肉に問題があるのかを調べます。

条件①「鈍い」痛みである

条件② 痛みの部位が明確ではない

条件③ 動くと痛みが悪化する

――患者さんへも、セルフケアとしておすすめできるトリガーポイントですが、患者さんへ治療点を説明するにあたってのアドバイスをいただけますか?

伊藤 患者さんへは、「引き金点」とトリガーポイントが呼ばれており、その場所(引き金)を押すと、痛みが生じるのだと説明しています。鍼治療を行い、痛みが改善した後で、そのトリガーポイントを教えてあげると、とても印象に残るようです。

――本書をどのような治療家にどのように活用して頂きたいですか?

伊藤 痛み治療はどうしての痛い場所への鍼がメインとなります。しかし、筋肉の痛みの場合、痛い場所に鍼をしても良くなる確率は30%で、残りの70%は痛い場所と離れた場所にトリガーポイントが存在しています。そのため、痛み場所に鍼をしても上手くいかない場合は、痛み場所以外に原因があるのだと考えてもらい、トリガーポイントを思い出してもらえると幸いです。

――お忙しい中、ご丁寧にお答えいただきまして、ありがとうございました。患者さんへの説明もとても参考になりました!

いかがでしたでしょうか。存在は知っていても臨床的には見逃されやすい部位であり、正しい位置を探すには基礎知識と経験が必要なトリガーポイント。そのトリガーポイントを、著者 伊藤和憲先生が研究とご経験により、一目でわかるよう簡潔にまとめた書籍が「症状から治療点がすぐわかる!トリガーポイントマップ」です。この記事を通じて本書について多くの方に知っていただけると幸いです。すぐに役立つバイブルとしてぜひご活用ください!

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