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おもしろい解剖学 筋と骨のキホンがマンガでわかる!

解剖学が好きな人も、苦手な人も。

難しくて複雑な印象をもたれがちな「解剖学」。本書は、そんな解剖学の「筋」と「骨」の基本について解説した本格ストーリーマンガです。
巻き込まれ型の主人公、面倒見のよい幼なじみ、神出鬼没の大学教授、筋肉大好き留学生、恋に恋する女子大生、ナルシストなイケメン……個性豊かなキャラクターたちが、解剖学の「なんだか難しそう」という印象を、「おもしろい!」に変えてくれるはずです。解剖学をもっと身近に、もっと楽しく学びたい人に最適な一冊です。
ISBN978-4-7529-3121-8
原案戸村多郎
監修仙波恵美子
漫画あさいもとゆき、坂元輝弥、サイドランチ
仕様A5判 192頁
発行年月2017/7/10
価格1,760円(税込)

目次

1章 人体の区分と方向
2章 骨と骨格
3章 関節の種類と運動
4章 筋の構造と種類
5章 脊柱、頚部の骨と筋
6章 胸部の骨と筋
7章 腹部・腰背部の筋
8章 肩の骨と筋
9章 上腕・前腕の骨と筋
10章 手の骨と筋
11章 骨盤の骨と筋
12章 大腿の骨と筋
13章 膝・下腿の骨と筋
14章 足の骨と筋
15章 頭部の骨と筋
資料 筋の起始・停止・作用一覧

ページサンプル

著者インタビュー

2017年7月に発刊された『おもしろい解剖学』。今回、その発刊記念として監修者の仙波恵美子氏(大阪行岡医療大学医療学部教授)と原案者の戸村多郎氏(関西医療大学大学院准教授)の対談を実施。お二人に、制作秘話や読みどころについて語っていただきました。(監修者×原案者 発刊記念対談)
仙波戸村先生は、若いころにイラストレーターやマンガ家を目指していたと編集の方から伺ったのですが、本当ですか?
戸村はい、目指していました(笑)。いまでも新しいアニメやマンガはよくチェックしているくらい好きなんです。ですから今回、『おもしろい解剖学』を発刊できたことは、別の形で夢がかなったような気がして、うれしかったです。
仙波私は最近のマンガはほとんど読んでいないのですが、中高生のころは手塚治虫を夢中で読みましたよ。やっぱり、若いころは活字の本よりもマンガのほうが親しみやすいですからね。この『おもしろい解剖学』はよい企画だと思いましたよ。
戸村ありがとうございます。企画自体は、2014 年に立ち上がったのですが、そこから紆余曲折あって、発刊までに3年以上かかってしまいました。時間がかかった分、いいマンガができたなと思っています。
写真:仙波恵美子氏
仙波全編マンガで解説していることで、解剖学がとっつきやすくなっていますよね。しかもわかりやすい。ストーリーをゲラで拝見したときに、解剖学のなかの運動器において大事な知識がスッと頭に入ってくる感じがしました。原案を考えるうえで、何か工夫をされたことはあるのですか?
戸村最近、「マンガでわかる○○」という本がよく出ていますが、肝心のマンガがおもしろくないものが多いなと思ったんです。私は「マンガとして十分におもしろく読める」ということを軸にして、そこから解剖学の知識をストーリーに練りこんでいくようにしました。
仙波キャラクターもよい味を出していますよね。
戸村キャラクター設定は、仮にマンガがアニメ化してもいいように熟考しました(笑)。私の次の夢はアニメ化なんです。
解剖学を親しんでもらうためのきっかけに
仙波監修者として『おもしろい解剖学』の特長を述べるとすれば、マンガなのに解剖学の内容も非常に濃い点なんです。それと、勉強の方法というか、理解や暗記の仕方も散りばめらている。例えば、肋間筋の作用の「外(肋間筋)から吸って、内(肋間筋)から吐く」という覚え方は、実際でも使えますね。
戸村そういうネタって、学生が喜ぶんですよね。
仙波ただ単に覚えようとすると、解剖学の知識はすぐ忘れてしまいますよね。ですから、「臨床的な意味」を理解することが大切だと思います。医学部では解剖実習があって、心臓の解剖をするとしたら、循環器の医師が「臨床で気をつけること」を教えることがあります。そうすると、心臓の構造についても理解しやすいんですね。
写真:戸村多郎氏
戸村なるほど。「臨床的な意味」は重要ですよね。仙波先生は、解剖学を学生に教えるときに何か工夫されていることはありますか?
仙波私の講義ではスライドが中心なんです。以前は、教壇前のスクリーンに画像を映していたのですが、そうすると教室の後ろのほうに座っている学生たちはスクリーンがよく見えないので、講義に集中しないんですよ。そこでうちの大学ではいま、100台ぐらいのiPadを用意して、学生が講義のときにiPadでスライドを見られるようにしています。講義で使用したスライドは、講義後も学生が自分のパソコンにコピーして復習できるように、共有フォルダで管理しているんです。
戸村それはすばらしいですね! いまのお話をうかがっても、文字だけではなくて、ビジュアルで学ぶことが大切なんだと思いました。私も自分の講義では、黒板に図やイラストを描くようにしているんです。やっぱり文字だけを読んでわかる学生は、なかなかいません。脳の使い方として、文字を読む行為は左脳を、図やイラストなど視覚的な情報処理は右脳を使うと言われていますよね。左脳と右脳の両方を使うことで、記憶に残りやすいと思うんです。まさにマンガは、解剖学の勉強に最適ではないでしょうか(笑)
仙波解剖学は医療を学ぶうえで基本ですよね。でも、学生はその大事さに気づかないこともあります。若い人たちが、『おもしろい解剖学』をきっかけに、解剖学に親しんでもらって、勉強する意欲がわいてくれればいいなって思います。
戸村先日、私の教え子から「『おもしろい解剖学』を買ったら、小学生の息子が夏休みの読書感想文にしました」と連絡がありました。医療系の専門学校生や大学生はもちろんですが、もっと若い小学生や中学生、高校生にも読んでほしいですね。
●仙波恵美子(せんば えみこ)
大阪行岡医療大学医療学部教授、和歌山県立医科大学名誉教授
大阪大学医学部卒業。医師免許取得後、大阪大学医学部附属病院に勤務。大阪大学医学部講師、カナダ・マニトバ大学医学部留学、大阪大学医学部助教授、和歌山県立医科大学教授を経て現職。和歌山県立医科大学リハビリテーション医学教室博士研究員。日本解剖学会理事、日本疼痛学会理事、日本自律神経学会理事などを歴任。

●戸村多郎(とむら たろう)
関西医療大学大学院准教授
博士(医学)、鍼灸師、あん摩マッサージ指圧師、柔道整復師。関西鍼灸柔整専門学校(現関西医療学園専門学校)卒業。神戸大学経済学部卒業。大阪教育大学大学院教育学研究科修了。関西鍼灸短期大学解剖学教室講師、関西医療学園専門学校教員を経て、現職。和歌山県立医科大学衛生学教室博士研究員。