TST美容てい鍼術でかなえること。船水隆広先生へインタビューしました!
2020年に刊行した書籍「てい鍼テクニック -船水隆広のTST-」は、大変好評で重版を重ねています。てい鍼の基礎知識、てい鍼を用いる際の心構えから応用、著者である船水隆広先生が考案したテクニック(TST)をわかり易く解説しているので、治療家から学生まで、すぐに役立つ書籍として多くの方々に活用していただいています。
そして、本年3月に、待望のシリーズ2冊目「てい鍼テクニック 美容編 -船水隆広のTST2-」を新刊発売しました。近年ますます世界中で注目される「美容」に特化した内容になっています。
東洋医学における美容は、健康な身体からなる自然の美しさ、内面からの美しさを追求するものとして期待されています。このTST2は、著者の船水先生が、東洋医学と西洋医学を融合して、氣を注ぎ、流し、皮膚に傷をつけずにこころと身体を健康に美しくする「TST美容てい鍼術」を伝授すべく解説した書籍です。美容系の鍼灸を臨床に取り入れたい方はもちろん、セラピーを志す方にもおすすめの1冊です。
TST、TST2の両書籍は、大きなカラー写真とイラストを多く掲載することで、手の作り方からテクニック、さらにはイメージまで伝わるよう工夫されている点が最大の特徴になっています。なお、TST2には、特典の動画QRコードが付いているので、さらにわかりやすいとの評判です。
船水先生の考える「美しさ」とは。今回の記事では、著者の船水先生に、美容面の施術にてい鍼を用いることのメリットや、TST美容てい鍼術についてインタビューしました!
TSTとは
船水隆広先生が考案したてい鍼を使用した治療(Takahiro Style Technique)のネーミングです。TSTのてい鍼術は、氣が足りていないところに氣を注ぎ、氣が流れていない部分を促通させる治療法です。
「氣」を扱うことに特化し、施術者の思考・意識・イメージ力をとても大切にしています。使用する術(テクニック)にはそれぞれ、イメージに関連した名前をつけ、メソッド化しています。氣を注ぐ術「波紋術」、氣を流す術「さざなみ術」を柱として細分化されたテクニックは、《さざなみ鍉鍼TSTの術系図》でひと目で理解できるようになっています。
TST美容てい鍼術は、TSTにより、美しくするだけでなく、患者さんのこころの健康にまで響く美容術として考案されました。
著者 船水隆広先生のご紹介
TST主宰。はり師・きゅう師・あん摩マッサージ指圧師として約30年の臨床経験をもち、欧米やアジアなどを含め国内外で鍼灸の指導にあたっています。
ストレスケア、こころの病気に対する経絡治療、てい鍼術が専門分野。学校法人呉竹学園臨床教育センターManager。心身健康科学修士、経絡治療学会評議員、日本伝統鍼灸学会理事、日本更年期と加齢のヘルスケア学会幹事、多文化間精神医学会会員、一般社団法人こころ鍼灸協会理事、一般社団法人フェムテックマイスター協会理事。
現在、YouTubeやインスタグラム、Zoomライブなどで、動画を積極的に配信し、「なんとなく調子が悪いという患者さんにもできるだけ早期に気軽に鍼治療を受けてもらえるような社会を目指す」ことにご尽力されています。
TST美容てい鍼術について船水隆広先生にインタビューしました!
――まず初めにお聞きしたいのですが、てい鍼テクニックTSTの第2弾として「美容」をテーマにされたのはなぜでしょうか。
船水 こころの病でお悩みの患者さんを多く施術してきましたが、その中で美容てい鍼を導入した結果、美しくなることで精神的な安定が産み出されることがわかりました。美容分野✕てい鍼=メンタルヘルスケアにもなるのです。
美容は、大勢の方がお悩みや興味を持っている分野です。シリーズ2冊目は、てい鍼を使用して心の病にトライしていただくことにもつながる「美容」をテーマとさせていただきました。
――美容面の施術に、てい鍼を用いることのメリットについて教えてください。
船水 氣血の巡りを作ることで顔面部が美しくなるばかりでなく、全身の健康状態をUPさせることが可能になります。
また顔面部(目の周りは特に)の皮膚はもっとも薄く傷つきやすいものです。そこで、傷をつけず氣血の巡りによって顔面部に優しく作用するてい鍼術は、鍼や東洋医学に興味があるけどちょっと怖いという初鍼の方に対して、鍼を刺さないという点で、鍼施術を受けるハードルを下げてより鍼灸を受診しやすい状態にできます。
――全身治療を行った上で顔面部の施術を行い、健康的な美しさを実現することがTST美容てい鍼術の特徴ですが、船水先生の考える「美しさ」について聞かせてください。
船水 僕は「幸せになる」=「美容てい鍼」だと思っています。つまり、シンメトリーにムリヤリするのではなく、受けた方の顔がイキイキとする美容鍼が僕の目指すところです。そのためには全身の健康が必要となりますし、氣血の巡りがとっても大切になります。
――美容面の治療を行う際に、通常の治療とは違って気をつけていることはありますか。
船水 顔面部のみの施術は、のぼせやすく、ひどいとめまいなども引き起こすことがあります。
書籍TST2では顔面部にフォーカスしてテクニックを解説していますが、本書内の実際の施術手順のページに記載しているように、まず、おなかや手足の施術で氣血を適切に巡らせてから顔面頭部の施術を行います。
――本書には、特に大事な施術を動画でも学べるようにQRコードがついていますが、活用のおすすめポイントはありますか。
船水 動画は何度も繰り返し見てください。動きの意味やポイントは本書に一つ一つ載せてありますので、本書と見比べながら脳に焼き付けて臨床にそのまま用いてください。
――船水先生は、YouTubeやインスタグラム、Zoomライブなどの動画配信や、講演会・セミナーなども積極的にされていますが、どのような思いからそういった活動をされているのですか。
船水 僕が鍼灸の免許を取得したときですが、とにかく鍼で施術することに全く自信を持てませんでした。「1センチを刺すことができる人」であり、「効果を出せる人」ではありませんでした。そのことで初めて自分自身で学びが足りていないことを理解し、いろんな勉強会や先生方のところに足を運びました。
参加した勉強会や様々な先生方と出会えたことで、ようやく東洋医学の面白さに初めて触れることができました。みなさまにも一刻も早く僕が感じた東洋医学の面白さを実感して欲しいと思い、啓蒙と広報という気持ちで活動しています!
――もっと多くの人たちに気軽に鍼治療を受けてもらうために、一人一人の鍼灸師ができることは何でしょうか。お考えを教えていただけますか。
船水 まず、とにかく自分がしていることを楽しんでほしいです。そして自分の術式に信頼と信用を持ってほしい。楽しさと誇りの両方を持っている人のところに人は集まります。
自分が楽しくなること!!これが一番かなと思います。
――TST美容てい鍼術を学びたい、治療に生かしたいという先生や学生の方々の声を多く聞きます。習得に向けてのアドバイスをぜひお願いします!
船水 TST1、TST2をよくよくお読みいただき、合わせて動画も繰り返し見ることで、手順やポイントが自然に脳に刷り込まれてできるようになってきます。守破離の守は、徹底的に真似るということ。ぜひ僕を完全に真似てください! 多くの患者さんを幸せに、そして患者さんのサポートを通じて施術者自らも幸せになることも一緒に目指しましょう!!
――お忙しい中ありがとうございました。
いかがでしたでしょうか。学会や各方面で講師としても大変ご活躍中の船水先生ですが、鍼灸の免許を取得されたころのエピソードには励まされる気持ちにもなります。自分の術式に信頼と信用を持ってほしいとのメッセージもとても貴重です。ほとんどの多くの人は健康でいたい、美しくありたいと願うものです。『美容分野✕てい鍼』の習得は、患者さんの層や臨床の領域を大きく広げることにつながるのではないでしょうか。ぜひお手に取っていただきたい1冊です。
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