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日本人は座りすぎ?座りっぱなしが招く健康リスクとその対策法

公開日:2022年9月22日

テレワークが一般化した昨今において、新たな問題として注目を集めているのが「座りすぎ問題」です。座りすぎは腰や首などの体に表れる問題だけでなく、メンタルにも悪影響を及ぼすことが、最新の研究で明らかになっています。

長時間座りっぱなしでいることにより、具体的にどのような問題が起きるのでしょうか。そこで本記事では、昭和初期から治療院に関わってきた医道の日本社が、座りすぎが引き起こす健康リスクと、その対策についてご紹介します。

座りっぱなしによる健康への悪影響

デスクワークや、パソコン・スマートフォンの使用にともない現代人の多くは1日の大半を座った姿勢のまま過ごすようになりました。座ること自体が必ずしも悪いわけではありませんが、長時間座りっぱなしのままでいると、筋肉や血管などの身体機能が低下し、健康被害を引き起こすリスクが高まることがわかっています。

2012年にオーストラリアでおこなわれた調査によれば、座っている時間が1日4時間未満のグループに対し、11時間のグループは死亡リスクが40%上昇しました。2021年に日本人を対象に行われた調査においては、9時間以上座っているグループの死亡リスクが他のグループに比べ明確に高いという結果が出ています。

これらの研究結果などから、長時間座り続ける生活は、健康に対して悪影響を及ぼす大きな要因となるという事実が明らかになりました。

日本人は座りすぎ民族

座りすぎが引き起こす健康リスクは世界の共通認識です。座りすぎの影響に関する調査や研究が盛んにおこなわれた結果、世界的に見て日本人は座っている時間が長いことがわかっています。

厚生労働省「e-ヘルスネット」では、日本人の座る時間(座位時間)が世界20ヵ国中最長であるという調査結果が公表されています。また、同様に2011年のシドニー大学などの研究機関によれば、日本人の平均座位時間が1日平均7時間にも及ぶという調査結果も発表されています。

出典:産経新聞「日本人は世界一「座りすぎ」? 糖尿病や認知症のリスク…仕事見直す企業も」

長寿大国として知られる日本ですが、その一方で、近年では座りすぎによる健康被害に直面しており、意識的な改善が望まれる状態となっています。

心臓病、がん…寿命を縮める座りっぱなし

座りすぎはあらゆる病気の引き金になると考えられており、特に心臓病やがんに対する影響は大きいと言われています。心臓病とがんは、三大生活習慣病に挙げられます。長時間の座位がこのような重大な病を引き起こす原因となることからも、座りすぎが健康に与える影響がいかに大きいかがうかがえるでしょう。

座りっぱなしはなぜ悪い?

健康被害を引き起こす要因のひとつとして、運動不足が挙げられます。体を動かさないまま長時間座り続けた結果、全身の筋肉が十分に活動せず、血液の循環を悪化させてしまいます。

全身の血流は心臓だけが生み出すわけではありません。筋肉がポンプのように血を送り出すことではじめて、全身の血流がスムーズに送りだされます。特にふくらはぎは「第二の心臓」と呼ばれるほど、全身の血流を生み出す重要な役割を担っています。しかし、座りっぱなしで足の筋肉が十分に動かされずにいると、ポンプの役割を果たさなくなった筋肉の代わりに、心臓に大きな負荷がかかることになります。その結果、心臓疾患にかかりやすくなります。

また、筋肉の活動量低下は脂質代謝の低下につながり、血中の中性脂肪の増加につながります。増えた中性脂肪は肥満や生活習慣病の原因にもなるため、重篤な病を引き起こすきっかけになりかねません。

座りすぎでメンタルヘルスにまで影響?

座りすぎが引き起こす健康被害は、身体だけに留まりません。毎日長時間座り続ける生活は精神的な負担にもつながり、メンタルヘルスにまで影響を及ぼすことが最新の研究で明らかになっています。

その背景には、在宅ワークが増えた労働環境があると考えられます。在宅ワークでは他者とのつながりはオンラインがメインとなり、対面形式で会話をする機会が減ります。これにより孤独を感じたり、日常生活に張りを失ったりしてしまう人は少なくありません。その結果、心神衰弱からうつ病などの精神疾患を引き起こすことも。年齢によっては認知機能の低下が起き、認知症などの病気につながるともいわれています。

座りっぱなしに小刻み運動のススメ

座りっぱなしによる健康被害を防止するためには、定期的な運動習慣を身につけるのが効果的です。こうした意識は年齢層を問わず広がりを見せており、スポーツジムやヨガスタジオなどに通い、定期的に運動する人が増えています。

一方で、ジム通いを始めたからこそ生まれる油断もあります。毎週末はジムに行くからと、かえって平日は座る時間が伸びてしまうというケースは珍しくありません。

座りっぱなしによる運動不足は、週末におこなう短時間の運動だけでは解消できません。弱ってしまった筋肉や血管に刺激を与え、筋肉が持つ本来の活力を取り戻すには、日常のなかでこまめに体を動かすことが大切です。階段を使う、家事を小まめにする、立つたびに1回スクワットをするなど、毎日の生活の中に小刻みな運動をとり入れましょう。

座りすぎにご注意!ついやりがちな5つの行為

では、実際に私たちは毎日どの程度座ったままでいるのでしょうか。座りすぎにつながりやすい5つの行為についてご紹介します。自分の生活スタイルがいくつ当てはまっているかチェックし、座りすぎの傾向を確認しましょう。

1. テレビ番組やYouTubeなどの動画を長時間視聴している

2. デスクワークで1日6時間以上座っている

3. 読書や趣味などを始めると没頭してしまう

4. 移動手段は車を優先させる

5. 公共交通機関ではできるだけ座る

当てはまるものがいくつありましたか?当てはまった数が多いほど、自分では意識をしていないうちに座りっぱなしで、運動不足になっているかもしれません。

座りっぱなしは無意識のうちに健康被害を拡大させていくリスクがありますので、当てはまった項目から改善できるように意識するとよいでしょう。

座りっぱなしを防ぐ、かんたんエクササイズ

座りっぱなしにつながる運動不足解消には、毎日小まめに動く習慣を作るのが重要です。しかし実際に運動をしようと思っても、短い時間で効果的に運動不足を解消する方法がわからないという方も多いのではないでしょうか。

ここでは、弊社書籍「ケリー・スターレット式 「座りすぎ」ケア完全マニュアル」より、座りすぎの悪影響を短時間で解消するための、2つの運動メニューをご紹介します。

スプリットスクワット

スプリットスクワットは、足を前後に広げた状態で腰を真っ直ぐ下ろすスクワットの一種です。前に踏み出した足への負荷が強く、太ももの裏側(ハムストリングス)および前側(大腿四頭筋)、お尻(大臀筋)をまんべんなく刺激できる種目です。

スプリットスクワットとは股関節を開き、下半身の筋群を活性化するのに最適である。 まず、膝を少し曲げて、ランジの姿勢になり、後方に出した脚の殿筋を作用させるよう に保つ。ここから、後方に出した脚の膝をまっすぐ下していく。後方に出した脚の殿筋を作用させ、前方に出した脚の腔をできるだけまっすぐにし、胴は正面に向けて、ニ ュ ートラルな姿勢になるように集中する。各脚(右脚を前方に、それから左脚を前方に)で10回スプリットスクワットを行う。
(写真・テキスト:書籍P.173より引用)

大腿四頭筋スマッシュ

このメニューは、座りながらでも簡単にできるストレッチです。大腿四頭筋とは、太腿の前面の筋肉にある4つの筋肉の総称。この部分は立っていても座っていても硬くなりやすい傾向があり、座っているときはなおのこと、筋肉疲労による緊張が起き硬化しやすいです。筋肉が硬くなると、身体の可動域が狭くなり、思わぬ怪我につながりやすくなるため、しっかりとほぐしてあげることが大切です。

立っていても座っていても、とにかく脚の前面は硬くなる運命にある。ここで可動性改善テクニックを行うために、ラクロスボールやソフトボールのようなボールを用意する。手でボールを大褪四頭筋にあてて、コントラクト&リラックス、フロス、プレッシャーウェーブを用いる。このテクニックが最高なのは、腰かけやイスに座りながら、行うことができるということである。仕事に戻る前に立ちあがって少し動くことを忘れないようにする。
(写真・テキスト:書籍P.173より引用)

座りっぱなし対策には下半身に意識を向けることが大切

座りっぱなし対策には運動不足解消が有効、特に下半身へ与える刺激が効果的です。下半身の筋肉が占める筋肉の量は、総筋肉量のおよそ60~70%と言われています。すなわち、下半身を集中的に動かすだけで、全身の筋肉の60~70%を動かしているのと同じといえるのです。

運動不足解消には、しっかりと時間をかけた高負荷なトレーニング以上に、毎日小まめにおこなう負荷の軽い運動が効果的です。電車の中で座らずに立つ、テレビの30分番組が終わったら少し散歩をするなど、わずかな運動を毎日少しずつ積み重ねることで、根本的な運動不足がゆっくりと解消されていきます。

「今日はちょっと座りすぎたから少し歩いておこう」といったように、長時間座ったらいつもよりも余分に動くという習慣を身につけられれば、生活習慣病の予防などの高い効果も見込めるでしょう。

まとめ

日本人は世界的に見ても非常に座る時間が長い民族です。座りすぎは身体だけでなく精神の健康にも悪影響を及ぼすため、今後さらに多くの健康被害が生まれるかもしれません。

座りすぎの健康被害を減らすには、日常的な運動習慣を身につけるのが大切です。週1回負荷が高いトレーニングをおこなうよりも、毎日少しずつ運動量を増やすほうが効果的です。小まめに体を動かす習慣を身につけ、座りすぎによる健康被害を防止しましょう。