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第22回「あん摩マッサージ指圧、はり・きゅう療養費検討専門委員会」が開催

公開日:2020年11月26日

厚生労働省(以下、厚労省)は10月29日、全国都市会館2階大ホール(東京都千代田区)にて第22回「あん摩マッサージ指圧、はり・きゅう療養費検討専門委員会」が開催された。今回の主な議題はあん摩マッサージ指圧、はり・きゅう療養費の改定についてと、あん摩マッサージ指圧、はり・きゅう療養費の長期・頻回の施術等に関する調査結果及び検討についてであった。

あはき療養費の改定案は大筋合意 12月1日から施行

あはき療養費の改定については、厚生労働省から改定率を0.27%とする案とその内容についての説明があり、その後、保険者等の意見を反映する者(以下、保険者側)と施術者の意見を反映する者(以下、施術者側)よりさまざまな意見が出たものの、厚生労働省の提示した改定案で大筋合意となった。この改定については12月1日より施行となる。

なお、この改定率については診療報酬のうち医科の改定率0.53%の半分という、従来の算出方法に則り決定したものである。改定案の内容は表1の通り。

※変形徒手矯正術はマッサージの加算とし、マッサージおよび変形徒手矯正術の両方を行った場合に限り、料金を算定する。

距離加算の廃止や訪問施術制度の導入は次回に

議論のなかでは、保険者側が平成30年4月23日に開催された同専門委員会報告書に、「原則平成32年までに、距離加算の廃止や施術料と往療料を包括化した訪問施術制度の導入につい検討し、結論を得る」とあるにもかかわらず、今回の改定では制度導入に至らなかった点を指摘。これについて厚生労働省は「次回料金改定までにしっかりと議論を行い決定する」と明言した。

また、今回の改定で変形徒手矯正術とマッサージ施術の料金を整理することに関連して、保険者側から「変形徒手矯正術とマッサージ施術の内容の違いを厚生労働省に定義してほしい」という要望が伝えられた。これについては厚生労働省から、今後、留意事項通知の改定などを行う際に明記するという回答があった。

そのほか、同一日、同一建物での施術の場合の料金のあり方について、厚生労働省は今回の改定案で、現行の「患者1人のみを往療料の対象とし、そのほかの患者を対象としない」という内容を見直し、新たな料金を定める必要性を説いた。本件については療養費支給申請書に「同一日・同一建物記入欄」を設け、その実態を調査したのちに検討することとなった。

長期・頻回の施術に対し償還払いに戻す仕組み導入へ 施行日は「令和3年7月1日」に決定

同委員会では改定率のほか、かねてより議題に上がっていた不正対策の一環として、長期・頻回の施術に対し償還払いに戻せる仕組みの導入について、厚生労働省が行った調査結果をもとに議論が行われた。厚生労働省は「1年以上・月16回以上施術継続理由・状態記入書」と対応する療養費支給申請書を保険者から収集。調査の結果、初療日から2年以上継続している場合、患者の症状が比較的安定していると考えられるため、月16回以上の施術は過度・頻回な施術である可能性があるとした。

そこで厚生労働省は、「初療日から2年以上が経過しており、かつ直近の2年のうち5カ月以上にわたって月16回以上の施術を受けている患者」の場合、当該患者が通院している施術所の施術管理者が「1年以上・月16回以上施術継続理由・状態記入書」ならびに「頻回な施術を必要とした詳細な理由及び今後の施術計画書」を保険者へ提出。保険者はそれら書類を確認し、必要と認める場合に償還払いに戻す仕組みを提案した(下図)

償還払いに戻す仕組みについて施術者側は「患者へのペナルティ的に用いるのはどうか」と意見し、制度導入までさらなる検討を求めたが、保険者側は「受領委任制度を導入するにあたり、償還払いに戻す仕組みを設けることを条件としていた。いまさらその意見は違う」と反論、制度導入を見送るには至らなかった。
なお、施行日については厚生労働省案の「令和3年10月1日」について意見がまとまらず、同委員会では座長預かりとなったが、11月19日に厚生労働省Webサイトにて、「令和3年7月1日」から施行することが発表された。

償還払いに戻す仕組みにおける、手続きの流れの一例

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