クルージング鍼灸師便り(3)鍼灸治療室内スパ
クルージング便り第3弾が石原雅彦氏から届いた(第1弾はこちら)。
マルタ~ローマ~バルセロナの海上を現在航海中の石原氏。夏の間、夜9時過ぎまで明るかった日の長さが、最近では5時には暗くなり、めっきり冬の訪れを感じるという。今回は鍼灸治療室のあるスパについてレポートしてくれた。
さて、今回は私の職場であるスパをご紹介します。
スパは、船の先頭部分12階にあります。
スタッフは総勢24名。男性は私を含め4名のみ。
スパでは女子高の中にいるようなものです。
パラダイス!? 他の部署の人達からは羨ましがられますが、実際は……。
スパは、マッサージ、フェイシャル、ヘアサロン、ネイル、フィットネス、
ボトックス(注射で筋肉を弛緩させ顔面のしわを取る療法)、鍼治療等で構成されています。
総合リラクゼーション、ウエルネスエリアといったところでしょうか。
鍼灸師は私一人だけです。
写真の右側の男性は、ボトックスの治療をしているDr.victorです。
メキシコ人で、お医者さんです。左が私、石原です。
2人でよくつるんで遊びに行きます。親友、いや悪友ですね。
私の仕事は、鍼治療の他に、鍼治療のプロモーション、
漢方薬の処方があります。報酬はすべて歩合です。
乗客が船に滞在するのは7日間(船によって期間は違いますが)。
7日間の間に、いかに多くの方に治療に来ていただくかがキーになってきます。
鍼治療のプロモーションはデモンストレーションをやったり、
セミナーを開いて鍼の効果について説明したりします。
このプロモーションが気合の入れどころ。
80%の人が鍼治療未経験なので、なぜ鍼が効果があるのか、
鍼治療は痛くないこと等を熱心に説明し予約を取っていきます。
治療の内容は個々に任されているので、
私は日本でやっていたことをそのままやっています。治療時間は約50分。
疾患は、頚肩部痛、腰痛、膝痛、ストレスが最も多く、
どこの国でも差がないことを実感します。
驚くべきことに、日本で治療していたときよりも2~3倍よく効きます。
特に五十肩には驚異的効果を発揮し、1~3回の治療でほぼ寛解してしまいます。
最初は「偶然かなあ」なんて思っていたのですが、
何人か診ていくうちに7割くらいの確率で、
ほぼ可動域が正常域まで回復するので偶然ではないようです。
なぜ効きが良いのかはよくわかりませんが、治療していて感じることは、
白人、黒人の方々の筋肉は、日本人に比べ大きくて筋肉の量が多い。
そのことが治療結果に影響しているのではないかと思います。
患者さんは、アメリカ、ヨーロッパ、アジア、南米と世界各国からやってきます。
予想以上に鍼治療に興味を持っている人が多く、ここ数年拡大しつつあるようです。
聞いたこともないような小さな国でも鍼灸治療は行われているようで、
中国人の鍼灸師が治療しているようです。
我々が行う日本の緩和的な鍼はそれよりさらに受け入れられやすいようで、
治療後「国に帰ったら日本人ドクターを探すよ」なんて嬉しいコメントを残してくれます。
そんな、患者さんからの言葉を励みに頑張っております。
12月中旬で寒いヨーロッパとはGood byeです。
大西洋を渡りニューヨークに行きます。
ニューヨークを起点にカリブ海クルーズがスタートします。