【書籍紹介記事】古典を紐解くと鍼灸の本来の姿が見えてくる!「温灸読本」
医道の日本社では、最新の施術情報や関連知識の収集に努めている鍼灸師、あん摩マッサージ指圧師、柔道整復師、アスレチックトレーナーや美容関係者・ヨガインストラクターの方などに役立つような書籍・DVDを多数取り扱っています。その中でも特にオススメの人気シリーズや、注目のタイトルなどをご紹介していきます。
目次
曖昧になりがちな「ツボ」や「経脈」
「お灸って本当に効果があるの?」「ツボって何?」。
そんな質問にうまく答えられず、戸惑った経験もあるのではないでしょうか。
そんな人におすすめしたいのが、この「温灸読本」です。
ツボの見つけ方を中心とした温灸の基本と実際の運用方法が著者の臨床のコツとともに学べる本書。
温灸の入門書としてはもちろん、古典を紐解きながら、「経脈」とは何か、「ツボ」とは何か、という疑問に答えてくれる一冊です。
✔️ 東洋医学が苦手だと感じている鍼灸学生
✔️ より深く鍼灸について学びたい人
✔️ 温灸を取り入れて治療の幅を広げたい人
「温灸読本」の概要
宮川浩也氏が、長年の臨床経験から得た治療のコツを盛り込みながらイラストと写真を使って楽しく解説します!
学校でいくら刺鍼法や施灸の方法を学んでも、その活用方法が分からなければ臨床の現場には立てません。
ツボとは一体、何なのか。
鍼と灸は、何が違うのか。
透熱灸と温灸は、どこが違うのか。
お灸の壮数は、何を目安にすればよいのか。
などの鍼灸の基本ってきちんと理解していますか?
今まで曖昧だったそれらの疑問に応えてくれるのが、本書です。
基礎になる考え方と温灸(知熱灸・八分灸・灸頭鍼)の実際の運用までをイラストと写真、そして宮川氏の長年の臨床のコツを盛り込みながら解説しています。
収納コンテンツ
第1章 経脈とは
十二経脈説の基本
・十二経脈・経絡・経脈の循行・営血と衛気・経脈の本来の姿・経脈病・経穴を使った治療、経脈を疏通する治療など
第2章 ツボのとらえ方
ツボの3要素、ツボの深さ、ツボの状態、ツボの広さ、経脈の素体の慢性化、診察
第3章 温灸の施術方法
モグサについて
・モグサの鑑別・ある程度の火力・まとまりやすいモグサ・均一に燃える・コスト・煙・線香
温灸の実際
・知熱灸・灸頭鍼・八分灸
今までわからなかったことが古典の言葉で胸にストンと落ちる
「東洋医学が広く受容されるためには、子供にも分かるような説明が必要だ、と常々思っています」。
温灸治療で知られる著者は本書の中でそう語ります。
そして、本書の魅力は、単なる温灸のハウツー本ではなく、古典の言葉から鍼灸医学の本来の姿を解き明かしているところにあります。
一般の人や初学者にとって、「実態のよく分からないモノ」と思われがちな「経脈」や「ツボ」。
しかし、そんな経脈医学も本来は「誰にでもわかる単純素朴なことから創造された」といいます。
「気は温かみである」
著者自身も「目からウロコが3枚ほど落ちました」と語る、初期の経脈説を伝える張家山漢墓の「十一脈灸経」(『脈書』)のこの言葉。
曖昧になりがちな「気」というものが「温かみ」であるとすれば、誰もがその存在を知ることができる。
そして「温かみによって経脈の流れを改善すること」が温灸治療の意義だとわかる。
そんな「目からウロコ」の古典解釈が、優しい語り口で解説されていきます。
初学者のみならず、経験を積んだ臨床家にとっても、気づきを与えてくれる一冊です。
ツボのとらえ方から施術方法まで臨床のコツを写真付きで解説
第2章「ツボのとらえ方」では、ツボとはどんなものであるのか、そして、それをどうやってキャッチするのかが解説されます。
流派を問わず、鍼灸臨床に欠かせないのが、「真穴(生きたツボ)」の探し方。
「そのためには、ツボの位置だけでなく、ツボの状態、深さ、広さという認識を持つことが、なによりも重要」という著者。
それを目に見える形で表現したシンプルで温かみのあるイラストが、理解を助けてくれます。
実際に著者が臨床で行なっている手のかざし方や、触れ方などのコツなども写真で見ることができます。
さらに、実際の施術方法について解説されている第3章。
知熱灸や灸頭鍼など、鍼灸学校時代に習ったきり…という人でも、独学で実践できるようにイラストと写真を多用して解説されているので安心です。
巻末には、「古典は智慧の宝庫」と語る著者によってまとめられた、お灸に関する古今の書の一覧が付いていて、さらなる学びの助けになってくれます。
「温灸読本」まとめ
・臨床に欠かせない「ツボの見つけ方」を学べる
・温灸の実践的なアドバイスが盛りだくさんで独学可能
温灸の入門書として、古典をひとつひとつ紐解きながら、「経脈」や「ツボ」の本来の姿を明らかにしてくれる本書。 鍼灸医学が実感とともに、胸にストンと落ちるおすすめの一冊です。 ぜひお手に取ってみてはいかがでしょうか。