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鍼灸治療が効く疾患、鍼灸の考え方とは?

公開日:2023年12月26日|最終更新日:2024年1月16日
はりクマ鍼灸治療の適応範囲って広いんですね!肩こりや腰痛くらいだと思ってました。
博士鍼灸治療の効果がある病気には、運動器系、神経系、呼吸系などの疾患も多く、老人性疾患や難病も含まれているんだ。
WHO(世界保健機関)やNIH(米国立衛生研究所)なども、この鍼の効果に着目していて、吐き気・嘔吐、頭痛、腰痛、変形性関節症などにも鍼が効果的だという研究も多くみられるくらいなんだよ。
はりクマ鍼灸ってすごいですね!
博士鍼灸の考え方は東洋医学によるものなんだ。東洋医学とは、人の体を全体としてとらえ、全人的に治療しようとするものなんだ。パーツでなく、全体を治す。この考え方に基づいて、経絡や人の体に約361あるといわれる経穴(ツボ)に、鍼や灸を用いて刺激を与え、自分の体に備わっている自然治癒力を高めるのが鍼灸治療なんだ。つまり、体全体のバランスを健康な状態に戻そうとする医療とも言えるんだよ。
はりクマ健康の維持にも役立つのですね。
博士それだけじゃないぞ。病気以外にも最近では美容にも鍼が使われているんだ。
よし、それじゃあ今回は鍼灸の効果について見ていこう。

鍼灸の効果について、治療できる症状や疾患について解説!

身体に痛みや不調が出た際、外科・内科など病院で治療する方法のほかに、鍼灸を用いた治療法があります。

しかし、鍼灸にはどのような効果があるのか、どういったシーンで利用するべきなのか分からない、という方も多いのではないでしょうか。

そこで本記事では、鍼灸の効果について、効果が見込める症状や疾患とともに解説します。

鍼灸治療の考え方

鍼灸治療の考え方は、東洋医学を基盤としています。

東洋医学では、身体のなかに気・血・水の3つが存在し、それらがうまくバランスを保つことで健康な状態が続くと考えられています。反対に、この3つのバランスが崩れると身体に不調が現れたり、病気になったりします。

この気・血・水のバランスを整える手段として用いられるのが、鍼灸治療です。

身体のなかには気や血が巡る経路があると考えており、その経路に沿って特定のポイント(経穴)があります。

鍼灸治療では、この経穴に鍼を刺したり灸をすえたりして、気や血の流れをスムーズにし、身体のバランスを整え、症状を改善します。

鍼灸治療の効果

人間の身体には、けがや病気を自力で回復する力があり、これを自然治癒力と呼びます。

身体がダメージを受けると、自然治癒力が傷を修復したり痛みを軽減したりと働きかけます。鍼灸治療は、この自然治癒力を利用して身体の不調を改善する方法です。

たとえば、身体の修復機能を促進させるために、あえて小さな傷や火傷を作ることで、筋肉を緩める、血行を良くする、痛みを和らげる、免疫力を向上させるといった効果が期待できるのです。

また、人間の自律神経には、皮膚や筋肉に刺激が加えられると活性化する仕組みがあります。鍼灸治療ではこの仕組みを利用して、鍼や灸で皮膚や筋肉に適切な刺激を与え、自律神経の働きを活性化させます。自律神経の活性化によって、身体のバランスを整え、さまざまな不調の改善を目指します。

さらに鍼灸治療は、身体の不調を前もって予防するためにも用いられます。

未病と呼ばれる「まだ病気にはなっていないけれど病気になりつつある状態」の改善や、健康を維持し促進するための養生の面でも効果が期待できるとされ、健康状態に合わせて幅広く使われています。

鍼灸治療の効果が見込める症状

鍼灸治療の効果が見込める症状には、以下のようなものがあります。

神経系疾患神経痛、神経麻痺、痙攣、脳卒中後遺症、自律神経失調症、頭痛、めまい、不眠、神経症、ノイローゼ、ヒステリー
運動器系疾患関節炎、リウマチ、頚肩腕症候群、頸椎捻挫後遺症、五十肩、腱鞘炎、腰痛、外傷の後遺症(骨折、打撲、むちうち、捻挫)
循環器系疾患心臓神経症、動脈硬化症、高血圧低血圧症、動悸、息切れ
呼吸器系疾患気管支炎、喘息、風邪および予防
消化器系疾患胃腸病(胃炎、消化不良、胃下垂、胃酸過多、下痢、便秘)、胆嚢炎、肝機能障害、肝炎、胃十二指腸潰瘍、痔疾
代謝内分泌系疾患バセドウ病、糖尿病、痛風、脚気、貧血
生殖、泌尿器系疾患膀胱炎、尿道炎、性機能障害、尿閉、腎炎、前立腺肥大、陰萎
婦人科系疾患更年期障害、乳腺炎、白帯下、生理痛、月経不順、冷え性、血の道、不妊
耳鼻咽喉科系疾患中耳炎、耳鳴、難聴、メニエル氏病、鼻出血、鼻炎、ちくのう、咽喉頭炎、へんとう炎
眼科系疾患眼精疲労、仮性近視、結膜炎、疲れ目、かすみ目、ものもらい
小児科系疾患小児神経症(夜泣き、かんむし、夜驚、消化不良、偏食、食欲不振、不眠)、小児喘息、アレルギー症湿疹、耳下腺炎、夜尿症、虚弱体質の改善

引用元:仙台赤門医療専門学校

効果が出るまでの期間

鍼灸の治療を行ってから効果が出るまでの期間には、人によって個人差があります。

早い人なら、施術を行った直後から効果を実感できますし、遅い人の場合、施術を受けてから数日経過しないと効果を実感できないケースもあります。鍼灸の効果を実感できるタイミングは、症状の程度や個々人の体質によってさまざまであることを認識しておきましょう。

また、鍼灸の施術による効果が持続する期間の目安は、1週間から2週間程度です。こちらも効果が出るまでの期間と同様に、個人差があります。

鍼灸の施術によって身体の不調の根本的な原因を解消できた場合は、効果が比較的長く持続することが多いです。さらに、施術を継続的に受けることで、効果の持続期間も長くなっていくことが多いといわれています。

鍼灸の美容効果

鍼灸は、身体の不調や病気の治療以外に、美容効果も期待できます。そのため、近年は「美容鍼灸」という言葉も使われるようになりました。

顔のむくみやたるみ改善

鍼灸治療は、顔のむくみやたるみの改善にも効果があります。

顔に鍼を打ったり灸をすえたりすることで、筋肉のコリがほぐれ、血行が良くなります。血行を改善できれば老廃物が排出されやすくなり、むくみの解消につながるのです。

また、筋肉のコリがほぐれることで、たるみの原因となる筋肉の緊張も緩和されます。これにより、顔のリフトアップ効果があるとされています。

鍼灸治療には自律神経のバランスを整える効果もあるため、ストレスによる顔のむくみやたるみの改善にも役立ちます。

ダイエット

鍼灸治療によって自律神経が整うことで、ストレスを軽減して過食の傾向を抑える、新陳代謝を活発にして脂肪燃焼を促進する、といった効果が期待できるため、ダイエット効果があるとされています。

さらに、食欲を抑制するツボに働きかけることもできます。適切なツボを刺激すれば食欲を抑えられるため、無理なくダイエットを進められるでしょう。

まとめ

東洋医学をベースとした鍼灸治療は、身体内のバランスを整えることを目的としています。

身体にある経穴(ツボ)や反応点に鍼や灸で刺激を与えることで、身体内バランスを整え、人間が本来持つ自然治癒力を高める効果があります。

また、自律神経も外部からの刺激によって活性化する性質があるため、鍼灸治療がさまざまな症状を改善するケースがあります。

ただし、効果が実感できるタイミングや効果の持続期間には、個人差があります。そのため、鍼灸治療を行う際は鍼灸師と相談して、適切な治療を継続的に受けるようにしましょう。

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監修

学校法人 花田学園
日本鍼灸理療専門学校 教務部長 小川 一 先生