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【マメ情報】食中毒に要注意!食中毒の基礎知識と予防のポイント

公開日:2024年6月12日

本州の梅雨入りが例年より遅れている中、湿度が高く蒸し暑い日が多くなってきました。夏に向けて本格的な暑さも到来する時期であり、この季節に増えるのが、細菌による食中毒です。今回は、食中毒全般について解説し、シチュエーション別に具体的な予防のポイントを紹介します。

知識としてご存知のこともあると思いますが、気軽に読める内容にまとめました。ぜひ患者様とのコミュニケーション(会話)のトピックとしてもお使いください。

食中毒とは?

食中毒の原因としては、細菌、ウイルス、自然毒、化学物質、寄生虫などさまざまありますが、特に細菌ウイルスによる食中毒が例年多く発生しています。

細菌ウイルスによる食中毒は、その原因となる細菌やウイルスが食べ物に付着し、体内へ侵入することによって発生します。主な症状には下痢、腹痛、発熱、吐き気などがあります。

症状や発症までの時間は、原因となる細菌やウイルスによって異なります。食中毒は、ときには命に関わることもある非常に恐ろしい病気です。適切な食品の取り扱いと衛生管理が重要で、予防には手洗いや食材の十分な加熱が効果的とされています

食中毒の原因と症状

食中毒のおもな原因

令和5年の1年間における国内の食中毒発生件数は1,021件(総患者数11,803人)報告されています(厚生労働省食中毒統計資料)。そのうち細菌やウイルスによる食中毒は475件(患者数10,031人)となっており、国内で発生する食中毒の患者数の8割以上を占めています。特に、気温が高くなる夏場は、細菌が繁殖しやすくなるため細菌が原因の食中毒のリスクが高まります

生肉や魚介類、乳製品などは細菌が繁殖しやすいので、取り扱いには特に注意が必要です。また、調理器具や手の衛生状態にも気をつけましょう。

細菌の特徴

通常、ウイルスよりかなり大きく、自力で増殖できます

食中毒の原因となる細菌は、温度や湿度が高い条件がそろうと食品中で急速に増殖し、人間がその食品を摂取することで食中毒を引き起こします。特に夏場(6〜8月)に多く発生し、高温多湿を好むため、梅雨の時期にも細菌による食中毒が増える傾向があります。

代表的な細菌には、サルモネラ菌、カンピロバクター菌、黄色ブドウ球菌などがあります。これらの細菌は、肉や魚、卵、乳製品などの生鮮食品に付着しやすく、適切に加熱処理されないと感染のリスクが高まるといわれています。

また、調理器具や手の衛生管理も重要で、交差汚染を防ぐためには調理器具の洗浄・消毒や手洗いを徹底すると良いでしょう。

ウイルスの特徴

自力で増殖できないため、無生物(生物ではない)と言われることもあります。

ウイルスは、食品中では増殖しませんが、食品を通じて体内に入ると人の腸管内で増殖して食中毒を引き起こします。特に冬場(11〜3月)に多く発生します。

食中毒の原因となる代表的なウイルスが、ノロウイルスです。ノロウイルスは調理者から食品を介して感染することが多く、また二枚貝に潜んでいることもあります。

このウイルスは非常に感染力が強く、政府広報オンラインによると、年間の食中毒患者数の約4割を占めています。ノロウイルスによる食中毒を予防するためには、調理前の手洗いや食品の十分な加熱が重要です。

食中毒のおもな症状

食中毒のおもな症状には、腹痛、下痢、嘔吐、発熱などがあります。これらの症状は、食品に含まれる細菌やウイルスが腸内で増殖し、胃腸機能を低下させることによって引き起こされます。

原因によって症状はさまざまで、数日から二週間程度続くことがあります。下痢や嘔吐を繰り返すことにより、体内の有害物質が排出され、症状が徐々に緩和されます。

薬で症状を抑えると逆効果になる場合もあるため、必ず医療機関を受診するようにしましょう。

食中毒を引き起こすおもな細菌とウイルス

サルモネラ菌

サルモネラ菌は鶏肉や卵、未消毒の乳製品でよく見られる細菌です。感染すると発熱や腹痛、下痢などの症状が表れます。調理や保存の際に、十分な加熱や清潔な環境を保つことが予防に重要です。

カンピロバクター

菌はニワトリやウシなどの体内に生息しています。特に鶏肉に多く見られます。ヒトや動物の腸管内でしか増殖しない、乾燥に弱い、通常の加熱調理で死滅するなどの特性を持っています。感染すると腹痛や下痢、発熱などの症状が表れます。生肉の取り扱いには注意し、調理前後の手洗いや器具の消毒を徹底しましょう。

黄色ブドウ球菌

黄色ブドウ球菌は人の手や鼻に常在する細菌で、傷口などから感染することがあります。この菌の毒素は食品中でも増殖しやすく、食後数時間以内に激しい嘔吐や下痢を引き起こします。手洗いや傷に注意しましょう。

腸炎ビブリオ菌

腸炎ビブリオ菌は海産物、特に生魚介類に多く存在します。この菌に感染すると、激しい腹痛や下痢、発熱を引き起こすことがあります。魚介類を生で食べる際には、鮮度と衛生管理が重要です。

O157(腸管出血大腸菌)

O157は強力な毒素を作り出す大腸菌の一種で、生肉や未消毒の乳製品が主な感染源です。感染すると激しい腹痛や水様便、ときには血便が見られます。調理の際には十分な加熱と交差汚染の防止が大切です。

ノロウイルス

ノロウイルスは冬場に多く発生し、嘔吐や下痢を引き起こします。非常に感染力が強く、少量のウイルスでも感染するのが特徴です。手洗いや食品の加熱、調理器具の消毒が予防策として有効です。

【シチュエーション別】食中毒予防のポイント

家庭内での食中毒予防のポイント

家庭内での食中毒予防にはいくつかのポイントがあります。以下に、それぞれの場面での注意点をご紹介します。

買い物するとき

生鮮食品は最後に購入し、他の食品と分けて袋に入れることが大切です。冷凍食品の場合は、溶けないように早めに持ち帰りましょう。また、自身の消費予定に応じた賞味期限であることと、よい品質であることを確認して購入することも大切です。

保存するとき

購入した食品はすぐに冷蔵または冷凍保存しましょう。冷蔵庫の温度は10℃以下、冷凍庫は-15℃以下に設定します。肉や魚は汁が漏れないように密閉容器に入れて保存するとよいでしょう。

下準備のとき

生肉や魚を扱う際は、専用のまな板や包丁を使用し、ほかの食材と接触しないように注意します。使い終わった調理器具はすぐに洗浄し、手もしっかり洗いましょう。

調理するとき

食中毒予防の基本は、十分な加熱です。政府広報オンラインによると、中心部が75℃以上になるまで加熱すれば、ほとんどの細菌やウイルスは死滅するといわれています。また、料理中は手や器具を清潔に保つよう心がけましょう。

食事のとき

食事前には必ず手を洗いましょう調理後は早めに食べることが大切です。長時間放置せず、食事が終わったらすぐに片付けてください。

食材が残ったとき

残った食材は早めに冷蔵または冷凍保存します。再加熱するときは、中心部までしっかりと温めましょう。繰り返しの加熱と冷却は避けるのが望ましいです。

テイクアウトするときの食中毒予防のポイント

近年はテイクアウトやデリバリーを利用する方も増えています。それらは調理してからお客さんが食べるまでの時間が長く、気温の高い時期は、特に食中毒のリスクが高まります。食品をテイクアウトする際は、以下のポイントに気をつけて食中毒を予防しましょう。

長時間持ち歩かない

テイクアウトした食品は、長時間持ち歩かないようにしましょう。特に夏場や高温多湿な環境では食品の劣化が早く進むため、できるだけ速やかに持ち帰ることが重要です。

すぐに食べる

持ち帰った食品は、すぐに食べることが推奨されます。時間が経つほど細菌が増殖しやすくなるからです。食べるまでの時間を短くすることで、食中毒のリスクを減らせます。

しっかり加熱する

テイクアウト食品を再加熱する場合は、しっかりと加熱してください。特に肉類や魚介類などは、中心部まで十分に温めることが必要です。

手洗いはしっかりと

食事前や調理前には必ず手を洗いましょう。手についた細菌やウイルスを洗い流すことで、食中毒の予防につながります。手洗いは石けんを使い、十分な時間をかけて行うことが大切です。


厚生労働省などの下記サイトでは、食中毒に関する資料をダウンロードできます。

■食中毒(厚生労働省)
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/shokuhin/syokuchu/index.html

■細菌・ウイルスによる食中毒(消費者庁)
https://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_safety/food_safety/food_safety_portal/microorganism_virus/

■食中毒を起こす細菌・ウイルス一覧(町田予防衛生研究所 厚労省登録検査機関・登録衛生検査所)https://www.mhcl.jp/microbelist.html

■【動画】ノロウイルス等の食中毒防止のための適切な手洗い(厚生労働省)

■【飲食店向け】テイクアウト・デリバリーにおける食中毒予防(厚生労働省)https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/shokuhin/syokuchu/01_00003.html


【参考サイト】

■食中毒の原因と種類(農林水産省)
https://www.maff.go.jp/j/syokuiku/kodomo_navi/featured/afp1.html

■食中毒予防の原則と6つのポイント(政府広報オンライン)
https://www.gov-online.go.jp/featured/201106_02/

■テイクアウト等を利用するときのポイント~食中毒を防ぐために~https://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_safety/caution/caution_034/

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