【マメ情報】新型コロナ感染症の現状と予防対策
現在、新型コロナウイルス感染症が全国的に広がり、第11波に入ったとの見方が強まっています。夏期休暇を利用した帰省や旅行で人の流れが多くなることから、十分な感染予防対策が求められています。すでに一度感染した、ワクチンを接種しているといった経験があっても、時間が経てば免疫は弱まることがあります。
今回は、最新の感染状況と効果的な予防策について解説します。新型コロナウイルス感染症の5類感染症への移行に伴い、あらためて基本的な感染対策を思い出して実践しましょう。ぜひ患者様とのコミュニケーションのトピックとしてもご活用ください。
目次
新型コロナ感染症の現状
現在、新型コロナウイルス感染者数は増加傾向にあり、「JN.1」から派生した「KP.3」が、世界的に主流となりつつあります。KP.3は高い免疫回避能力を持つと報告されており、今後の感染拡大防止に向けた対策が求められます。
感染者数は増加傾向にある
国立感染症研究所感染症疫学センターの報告によると、全国の新型コロナ感染者数は増加傾向にあります。
(下表参照)
第26週(6月24日~30日) | 第27週(7月1日〜7日) | 第28週(7月8日〜14日) |
28,614人 | 39,874人 | 55,072人 |
感染者の増加には、ウイルスの新たな変異株の出現や季節的な要因が影響している可能性があり、今後も継続的な注意と対策が必要です。日常生活での予防策を強化し、感染拡大の防止に努めましょう。
※最新の感染者数は下記厚生労働省サイトよりご確認ください。
新型コロナウイルス感染症に関する報道発表資料(発生状況)2024年(厚生労働省)
参考:国立感染症研究所感染症疫学センター|新型コロナウイルス感染症サーベイランス月報:発生動向の状況把握 2024年6月
年齢別感染者数
国立感染症研究所感染症疫学センターおよび厚生労働省の報告によると、6/24〜7/14の年齢別感染者数は下表のとおりです。
【年齢別】全国感染者数 | 第26週(6月24日~30日) | 第27週(7月1日〜7日) | 第28週(7月8日〜14日) |
0-9歳 | 3,255人 | 5,031人 | 7,311人 |
10-59歳 | 17,138人 | 24,013人 | 32,683人 |
60歳以上 | 8,221人 | 10,830人 | 15,078人 |
また、年齢別の入院患者数は下表のとおりで、60歳以上の入院患者数が多い傾向にあります。
【年齢別】入院患者数 | 第26週(6月24日~30日) | 第27週(7月1日〜7日) | 第28週(7月8日〜14日) |
0-9歳 | 87人 | 125人 | 159人 |
10-59歳 | 203人 | 298人 | 365人 |
60歳以上 | 1,401人 | 1,917人 | 2,557人 |
このデータからも明らかなように、高齢者は重症化しやすいため、特に注意が必要です。家族や周囲の人々も適切な予防対策を徹底し、高齢者の健康を守るために協力しましょう。
参照:新型コロナウイルス感染症サーベイランス月報: 発生動向の状況把握 2024 年 6 月
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の発生状況について(令和6年7月 12 日)
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の発生状況について(令和6年7月 19 日)
都道府県別感染者数
厚生労働省の報告によると、7月1日から7日の間における都道府県別の感染者数で、感染者が特に多い上位10県は以下のとおりです。
- 東京都 2,990人
- 神奈川県 2,915人
- 福岡県 2,233人
- 埼玉県 2,220人
- 千葉県 2,203人
- 鹿児島県 2,059人
- 大阪府 1,951人
- 愛知県 1,897人
- 沖縄県 1,586人
- 熊本県 1,459人
帰省や旅行の際には、感染対策を徹底し、感染リスクを最小限に抑えることが重要です。マスク着用や手指消毒、密を避けるなどの基本的な予防策を守りましょう。
参考:新型コロナウイルス感染症(COVID-19)定点当たり報告数・都道府県別|厚生労働省
すぐできる新型コロナ感染症対策と感染した際の対処法
新型コロナウイルス感染症に対する効果的な予防策は、換気、手洗い、手指の消毒、マスク着用です。
また、万が一感染してしまった場合には、迅速かつ適切な対処が必要です。ここからは、日常生活で簡単に実践できる感染予防対策と、感染が疑われる場合や家族が感染した場合の具体的な対応方法を詳しく解説します。
【感染予防対策】換気・手洗い・手指の消毒・マスク着用が有効
新型コロナウイルス感染症の予防には、「換気」「手洗い・手指消毒」などの基本的な対策が非常に有効です。特に高齢者や基礎疾患のある方は重症化リスクが高いため、これらの予防策を徹底しましょう。通院や高齢者施設を訪問する際は、「マスクの着用」を心掛けることが推奨されます。
また、帰省の際にもマスクの着用は、家族や周囲の人々を守ることにつながります。ただし、マスクを着用すると水分補給がおろそかになりがちです。のどの渇きを感じる前に水分や塩分などを小まめに補給するなど、熱中症対策との両立も忘れずに心がけましょう。
日常生活においては、こまめな手洗いや手指消毒、室内の換気を意識することで感染リスクを最小限に抑えることができます。これらの対策は簡単に実践できるものばかりです。継続的に取り組み、自身と大切な人々の健康を守りましょう。
感染してしまった際の対処法
「もしかして、感染した?」と思ったら
新型コロナウイルスに感染した疑いがある場合は、まず自宅で検査キットを使用して検査をおこないましょう。陽性であり、かつ症状が軽い場合は、自宅療養が推奨されます。多くの軽症者は薬を飲まなくても自然に回復します。
しかし、症状が重い場合は医療機関への受診が必要です。その際、事前に医療機関に連絡してから訪問するようにしましょう。
また、発熱や倦怠感などの症状がある場合は、熱中症との区別が難しくなるため注意が必要です。なお、以下のような症状は緊急性が高いため、速やかに医療機関へ連絡して、その後の対処をおこなってください。
【緊急性の高い症状】
- 顔色が悪い
- 唇の色が紫になっている
- 呼吸が荒い
- 息苦しい
- 胸の痛み
- 横になると呼吸しにくい
- 意識がもうろうとしている
- 不整脈が出ている
家族が感染した場合
家族が感染した場合、感染者の発症日を0日目としてカウントし、特に最初の5日間は細心の注意を払うことが重要です。この期間中は、家族内での接触を最小限に抑えるために、感染者を可能な限り隔離し、共有スペースを利用する際にはマスクの着用やこまめな消毒を徹底しましょう。
また、5日目を過ぎても、7日目まではほかの家族も発症するおそれがあるため、引き続き警戒を怠らないようにします。自宅内での感染拡大を防ぐために、手洗いや手指の消毒、換気をこまめにおこないます。感染者の世話をする際には、適切な防護措置を講じてください。
自身が感染した場合
発症後5日間および症状が軽快してから24時間程度の期間は、他人に感染させるリスクが非常に高くなります。そのため、自身が感染した場合、この期間中は外出を控えて自宅で安静に過ごしましょう。また、発症から10日間が経過するまでは不可避の外出時はもちろん、家庭内でもマスクを着用し、他人への感染を防ぐ配慮も必要です。
そして、自身の体調管理にも注意を払い、症状が悪化する場合には速やかに医療機関に相談しましょう。感染期間中の適切な行動が、自身の健康回復と周囲の安全確保につながります。
家庭でできる感染対策
まずは窓を開けて定期的に換気をおこないましょう。共用スペースを含むすべての部屋で頻繁に換気し、空気の循環を保つことが重要です。また、接触や密状態を避けるために、可能な範囲で各人の部屋を分けるのも効果的です。感染者の世話はできるだけ限られた人がおこない、接触時間を短くするよう心掛けましょう。同居家族は可能な範囲でマスクを着用し、特に感染した家族に接する際や外出時にはマスクを隙間なくフィットさせ、正しく着用してください。
感染予防の基本は、こまめな手洗いや手指の消毒を徹底し、手指衛生を保つことです。これらの対策を日常生活に取り入れることで、家庭内での感染拡大を防ぎ、家族全員の健康を守れます。
日常生活での感染予防対策を徹底し、感染拡大を防ぐための行動を心掛けましょう。一人ひとりの意識と行動が、自身と周囲の健康を守るために重要です。
厚生労働省などの下記サイトでは、コロナ感染症に関する資料をダウンロードできます。
■新型コロナウイルス感染症について(厚生労働省)https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000164708_00001.html
■新型コロナウイルス感染症の国内発生状況等について(厚生労働省)
https://www.mhlw.go.jp/stf/covid-19/kokunainohasseijoukyou.html
■感染対策・健康や医療相談の情報(厚生労働省)
感染対策のPDFをダウンロードできます。
https://www.mhlw.go.jp/stf/covid-19/kenkou-iryousoudan.html#h2_1
■感染対策マニュアル・業務継続ガイドライン等(厚生労働省)
各種マニュアルのダウンロードや動画視聴ができます。
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_15758.html
■新型コロナウイルス感染症自宅療養者向けハンドブック(東京iCDC専門家ボード)https://www.hokeniryo.metro.tokyo.lg.jp/kansen/corona_portal/shien/zitakuryouyouhandbook.files/zitakuryouyouhandbook02.pdf
参考サイト
■新型コロナウイルス感染症サーベイランス月報:発生動向の状況把握(国立感染症研究所感染症疫学センター)https://www.niid.go.jp/niid/images/epi/covid19/pdf/COVID-19_2024m06.pdf
■新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の発生状況について(厚生労働省)https://www.mhlw.go.jp/content/001274316.pdf
■世界の新型コロナウイルス変異株流行状況 (東京都健康安全研究センター 7/4更新分)https://www.tmiph.metro.tokyo.lg.jp/lb_virus/worldmutation/