【鍼灸師・あん摩マッサージ指圧師のための、治療院開業マニュアル】第6回:開業を考え始めた方必読! 開業資金はいくら必要?

卒業し、国家試験に合格した後、治療院勤務のため就活をはじめる方はもちろん、特に30〜40代の方の中には開業を目指す方も多いのではないでしょうか。
医道の日本Onlineは、<鍼灸マッサージ治療院マニュアル>としまして、ゆくゆくは開業を考えている方を対象に、開業に必要な知識を紹介します。
開業資金の考え方
開業にはお金が必要ですが、実際にどのような費用がかかってくるのでしょうか。
物件や内装、雇用するなら人件費、自分の生活費など、さまざまな費用が考えられますが、開業に必要な資金は初期費用と運転資金の合計で考えます。
初期費用
物件 / 内装や外装 / 消耗品などの設備 / 宣伝広告 にかかる費用です。
特に物件につきましては、以下の費用がかかってきます。
・物件にかかる費用:敷金(保証金)+礼金+仲介料+家賃(前払い分)
商用の物件は、住居用に比べ敷金、礼金、賃料が高めです。場合によっては賃主との交渉により抑えることができますので、一度不動産会社を通じて相談してみましょう。
また、家賃のポイントとしては、売上の10%ほどで収まるようにすると良いでしょう。
(例)家賃20万円の物件 → 売上目標200万円程度
運転資金
家賃 / 人件費 / 生活費 / 設備投資 など開業後にかかる費用です。
開業してすぐに家賃や生活費を賄えるようになることが理想ですが、集患がうまくいかなかったり、経費が思った以上にかかってしまったりして売上が見合わない状況も十分に考えられます。そのため、開業から数ヶ月分の費用も見ておく必要があります。
目安としては、6ヶ月分、できれば、1年分の運転資金を用意しておくと安心です。
また、開業後もいつどんな設備を増やすのかなど、計画を立て預金ができると良いです。開業後の実際の経営状況を見ながら考えていくと良いでしょう。
開業資金の調達方法
開業するためには、初期費用と運転資金を準備する必要がありますが、どのように調達すれば良いでしょうか。資金調達の方法は大きくふたつあり、自己資金を貯める方法と金融機関などから融資を受ける方法です。
自己資金
自己資金はできるだけ多いほうが良いです。お金を借りて返済負担のリスクが減るからです。開業には多額のお金がかかりますので、一部を融資でまかなおうと考える方も多いでしょう。その場合でも、目安として開業資金の3分の1以上は自己資金として準備するようにしましょう。
(例)開業資金に600万円必要なら、200万円は自力で貯める
融資を受ける
必要な費用が自己資金を上回る場合、金融機関から融資を受けられます。融資とは借金のことで、返済義務が生じます。そのため、借りる必要がある金額を明確にし、融資に伴うリスクを抑える必要があります。
一般的な融資の流れは以下のとおりです。
①相談・申し込み
②郵送・もしくは窓口にて書類提出
③面談
④融資
⑤返済
返済期間は、例えば運転資金は3〜7年、設備投資は5〜15年など金融機関で設定するのが一般的です。窓口では、開業に対する不安や相談が気軽にできるので、まずは窓口へ行ってみるのが良いでしょう。
主な融資先について
実際に融資を受ける先はどのような機関があるのでしょうか。主な融資先を紹介します。
公的機関(政府系金融公庫)
小規模な事業、企業・独立したばかりの事業主でも融資の可能性が高い
大手銀行
創業時の借入ハードルが高い・少額だと審査がとおりにくい
地方銀行・信用金庫
地元での開業の場合、親身になって話を聞いてくれるケースが多い
商工ローン・消費者金融
金利が高いため、おすすめできない
その他 給付など
産業振興財団などが行っている創業補助をする事業の公募に応募することで、一定金額を給付してもらえるケースもある
いかがでしょうか。開業するには当然、開業資金が必要になります。開業後の数ヶ月分の運転資金も考えた資金調達が大切です。できるだけ自己資金でまかなえると良いですが、難しいときは融資を受けることも視野に入れて、開業準備を進めましょう。今回の記事を参考に、ぜひ自身の治療院開業を成功させてください。

本記事は、弊社出版のはじめての鍼灸マッサージ治療院開業ベーシックマニュアルからの抜粋となります。記事を読んでご興味をもたれた方は、ぜひこちらから書籍をお求めください。