【鍼灸師・あん摩マッサージ指圧師のための、治療院開業マニュアル】第8回:開業準備はほんとに大丈夫?意外と忘れがちなこと2選

卒業し、国家試験に合格した後、治療院勤務のため就活をはじめる方はもちろん、特に30〜40代の方の中には開業を目指す方も多いのではないでしょうか。
医道の日本Onlineは、<鍼灸マッサージ治療院マニュアル>としまして、ゆくゆくは開業を考えている方を対象に、開業に必要な知識を紹介します。
鍼灸・整骨院を開業する準備では、資金のことや、不動産契約などするべきことがたくさんあり、時に見落としがちなポイントがあります。患者様の信頼を勝ち取り、円滑な院の運営をするために、大切なポイントです。今回は、治療院開業において意外と忘れがちなことを2つ紹介します。これらを確認して、より良いスタートを切りましょう。
目次
忘れがちなこと(1):治療院の広告宣伝
Webの活用(自院のWebサイト)
インターネットを通じて情報を得る人が増えている現在、自院のWebページを持つことは必須です。自院のメニューやコンセプトなど、患者様にわかりやすく伝える必要があります。
自身でつくっても良いし、制作会社などに頼むこともできます。
Webページを公開するには、サーバーが必要ですが、有料のものを選びましょう。無料のものだと、他社の広告が入ってしまうおそれがあります。自院のWebサイトに他社の広告が表示されるのはマイナスイメージですので、必ず有料のものを選ぶ様にしましょう。
また、検索上位に表示されるようSEOを意識してつくることも大切です。
Webの活用(SNSの活用)
最近では、インスタやXなどのSNSユーザーも増えています。そのため、自院の宣伝のためにSNSを活用することは必須です。インスタやXで健康に対する豆知識を配信したり、割引クーポンを配信したりなど、自院の情報を広めることで集患への効果が期待できます。
特に、LINEは敷居が低く、友達登録した患者様とコミュニケーションをとりやすいため、公式アカウントを登録することをおすすめします。
予約の取得/キャンセルもメッセージを送るだけで、簡単に行えます。予約に関しては、予約サイトを利用するのもひとつの手です。
看板の用意
自院の存在や特徴を認知してもらうために、看板も必須です。店頭に出しておくと患者様の目にとまり、来院してもらえる可能性があります。自院の場所などを考慮し、目立つ場所に出す様にしましょう。
それ以外では、ドアやウインドウに装飾するのもひとつです。
〈主な看板の種類〉
・A型看板:入り口の脇に設置するスタンド看板
・袖看板:建物の外壁に取り付ける看板
忘れがちなこと(2):治療価格の設定
治療価格の考え方には3つあります。
競合の料金設定を基準に考える方法
多くの患者様は料金を重視し、複数の治療院を比較するため、競合より安ければ集患への影響は大きくなるでしょう。また、周りと料金が変わらないのであれば、高いという理由で敬遠される可能性も抑えられます。
治療にかかるコストを基準に考える方法
代表的なのが「コストプラス法」です。
年間の運営費用を計算し、その上に必要な利益を加えます。その額を年間の営業日数で割って1日の目標売上高を計算し、1日の予想患者数で割ります。
マーケティング戦略を基準に考える方法
たとえば、学生料金やシルバー料金を設定して、特定のマーケット(市場)を囲い込むケースです。あえて高い料金を設定し、プレミアをつけることもできます。高品質なサービス(治療)を提供するなら比較的富裕層を取り込める可能性があるでしょう。
いかがでしょうか。
忙しい開業準備のなかで、ついつい後回しになって、「忘れてた・・」ということは起こりがちです。開業準備が終わったと思った際に、いま一度本記事を思い出して、忘れたことはないか確認してみてください。
本記事は、弊社出版のはじめての鍼灸マッサージ治療院開業ベーシックマニュアルからの抜粋となります。記事を読んでご興味をもたれた方は、ぜひこちらから書籍をお求めください。