患者さんから「響きって何ですか?」と聞かれたら 臨床歴50年以上の中医師が鍼灸師の悩みにお答え!
患者さんから「響きって何ですか?」と聞かれたとき、皆さんはどのように答えていますか? 初めて治療を受ける患者さんにも伝わるよう、専門的な用語を使わずに説明するのは案外難しいもの。そんな質問の回答例を臨床歴50年以上のベテラン中医師、呉澤森氏に教えていただきます。
目次
「響き」と「痛み」の違いを丁寧に説明する
GS 第一伝統治療院院長で臨床歴50年以上のベテラン中医師、呉澤森氏は『素朴な疑問から臨床のコツまで! 呉澤森の鍼灸治療あれこれQ&A』(弊社刊)のなかで、「響き」について以下のように説明しています。
「響き」については、施術者や治療を受けたことのある患者さんから「ズーンという感じ」といった表現をよく耳にしますが、まさしく「重だるさ」が「広がってくる」という感覚はその表現に近いのではないでしょうか。
また、呉澤森氏は「響き」と「痛み」の区別についても以下のように説明しています。
響きと痛みの区分
感覚の性質 | 方向 | 速度 | 内臓・器官との関連 | |
響き | 重だるく脹るような感じ 水が流れるような感じ 虫が這うような感じ | 病所および末端から体幹に向かう1方向 または、病所および体幹から末端に向かう2方向 | 徐々に ゆっくり | ある |
痛み | 電気が走るような感じ チクチクする感じ | 治療部位から末端に向かう1方向 | 速い | ほとんどない |
特に鍼灸を受けた経験が少ない患者さんにとって「響き」は縁遠いもの。違和感だけが印象に残ってしまい、次の治療に結びつかないことがないよう、患者さんには「響き」と「痛み」の違いを丁寧に説明し信頼を得ること、また施術者もその違いを認識して信頼を得られる治療をすることが必要だと呉澤森氏は説明しています。
施術者が抱く89の疑問や悩みに呉澤森氏が回答
呉澤森氏がGS第一伝統治療院(旧・呉迎上海第一治療院)を設立して以来、患者さんから受けた質問や治療院の研修生から集めた不安の声などをもとに作成したQ&A『素朴な疑問から臨床のコツまで! 呉澤森の鍼灸治療あれこれQ&A』には、「響き」に関する質問以外にも施術者に役立つ知識満載の一冊です。
目次
Part 1 患者からの質問と相談
Q1 患者に「鍼の響きと痛みの違いはなんですか?」と聞かれました。
Q2 患者に「何回通うと効果があるんですか?」と聞かれました。
Q3 患者に「鍼灸の治療を受けた後、どんな変化があるんですか?」と聞かれました。
Q4 患者に「鍼灸を受け続けると効果がなくなったり、依存性が生じると聞いたんですが……」と言われました。
Q5 患者に「治療前に食事をしてきてもよいですか?」と聞かれました。
Q6 患者に「治療後にお酒を飲んでもいいですか?」と聞かれました。
Q7 患者に「鍼を抜くときに、ヒリヒリと痛む」と言われました。この原因はなんでしょうか。
Q8 患者に「鍼灸でエイズに感染することはありますか?」と聞かれました。
Part 2 鍼灸と中医学の基礎知識
Q9 鍼灸治療ではどんな病気を治すことができますか?
Q10 経絡と経穴はどういう関係ですか?
Q11 経穴の見つけかたを教えてください。
Q12 そのときどきの状態によって、経穴は移動するのでしょうか。
Q13 中国で使っている鍼はすべて太く長いのですか?
Q14 中国鍼と日本鍼の持ち方の違いはありますか?
Q15 なぜ、中国鍼を操作すると響きが出やすいのですか?
Q16 刺激の強い太い鍼のほうが治療効果は上がるのでしょうか?
Q17 鍼を使う本数が多いほうが、効果が高いのですか?
Q18 「 気至而有効」とはどういう意味ですか?
Q19 「 同病異治」とはどういう意味ですか?
Q20 「 異病同治」とはどういう意味ですか?
Q21 鍼灸治療や漢方薬は、整体、指圧、マッサージを併用すると相乗効果はありますか。
Q22 鍼麻酔という言葉を聞いたことがあります。どんなものなのですか?
Part 3 鍼の臨床への質問
Q23 鍼の置鍼時間はどのくらいが適当なのでしょうか?
Q24 刺鍼深度はどのくらいが適切でしょうか?
Q25 直刺のつもりで刺したのに斜めになるときがあります。どうしたらよいでしょうか?
Q26 「 気が至る」とどんなことが起こるのか、詳しく教えてください。
Q27 響かせる手技、または響きを増加させる手技を教えてください。
Q28 導気法の意味と操作のポイントを教えてください。
Q29 刺鍼の途中で鍼を刺す方向を変える方法を教えてください。
Q30 陰経刺法の意味と操作のポイントを教えてください。
Q31 鍼灸の治療を受けた直後、患者の体調が悪くなることはありますか?
Q32 治療中、「痛い」と訴える患者と痛みを訴えない患者がいるのはなぜですか?
また同じ患者でも痛みを訴える部位とそうでない部位があるのはなぜですか?
Q33 鍼や灸をしてはいけない部位や注意すべき場合はありますか。
Q34 内出血しやすい経穴はありますか。
Q35 切皮の時に痛みが出る理由を教えてください。また、解消法はありますか?
Q36 鍼の刺入途中で痛みが出ないようにするには、あらかじめどのような点に注意すればよいですか?
Q37 万が一、刺鍼途中に痛みが起こってしまった場合、対処法はありますか?
Q38 抜鍼後の出血の対応はありますか?
Q39 お腹に鍼を刺すときの注意点はありますか?
Q40 お腹に刺した鍼が呼吸により揺れてしまいます。その対処法はありますか?
Q41 百会を取るとき、百会および周囲を指で押して、
一番気持ちよい所を取れば百会を取ったと言えるのでしょうか?
Q42 足三里の臨床での使い方を教えてください。
Q43 一穴に違う刺激を与えると、全く違う反応を起こすということはありますか?
Q44 圧痛点治療はどんなときに使うと有効なのですか?
Part 4 灸と特殊な鍼への質問
Q45 灸と鍼の使い分けはどのようにしていますか?
Q46 円筒灸と灸頭鍼の使い分けはどのように行うべきでしょうか?
Q47 一つの経穴に灸は何壮してもよいのでしょうか。
Q48 灸を熱く感じないという患者がいます。それだけ体が悪いということでしょうか?
Q49 灸でやけどをしやすい体の部分はありますか?
Q50 患者がもし灸でやけどをしたらまずどのような対処をしたらよいですか?
Q51 灸でやけどをした場合、してはいけないことはありますか?
Q52 円皮鍼の操作のポイントはありますか?
Q53 皮内鍼は、いつ使うとよいですか?
Q54 梅花鍼とは何ですか?
Q55 梅花鍼はどのような時に使うのでしょうか?
Part 5 婦人科疾患への質問
Q56 月経痛の鍼灸治療は月経の何日目に行うのが最適ですか?
Q57 月経期間中の患者に、鍼灸治療を行っても問題ないのでしょうか?
Q58 一時的に月経が止まってしまった方に対して、鍼灸治療は有効ですか?
Q59 排卵を促進する鍼灸治療はありますか?
Q60 不妊に対する鍼灸治療を経て、妊娠を確認した後にも治療を継続してよいですか?
Q61 習慣性流産の患者にも鍼灸治療はできますか?
Q62 妊娠の初期、中期、後期に鍼灸治療はできるのですか?
また、その場合の注意点は何ですか?
Q63 安産の鍼灸治療はありますか。
Q64 産後の女性にはどんな治療を行ったらよいですか?
Q65 鍼灸治療で子宮筋腫を小さくすることはできますか?
Q66 子宮筋腫は直径何センチの大きさまで鍼灸治療が有効なのでしょうか?
Q67 子宮筋腫の治療のポイントを教えてください。
Part 6 さまざまな症状への質問
Q68 脊柱管狭窄症に対して鎮痛効果のある経穴はありますか?
Q69 ぎっくり腰に速効性がある一穴はありますか?
Q70 夜中に足がつるという患者に有効な鍼灸治療はありますか。
Q71 捻挫の後は、冷やすべきなのでしょうか? 灸で温めるべきでしょうか?
Q72 風邪をひいたときに鍼灸治療を行ってもよいのでしょうか?
Q73 喘息発作時に即時有効な経穴はありますか?
Q74 小児喘息に対する治療のポイントを教えてください。
Q75 アトピー性皮膚炎への鍼灸治療は有効なのでしょうか。
Q76 軟便や下痢をしやすい患者に対する鍼灸治療のポイントは何ですか?
Q77 関節リウマチに対する鍼灸治療はどこまで可能でしょうか?
Q78 関節リウマチの腫れや、痛みのある部位に灸は使えますか?
Q79 黄班変性症に対する鍼灸治療は有効ですか?
Q80 緑内障の高眼圧を下げる経穴はありますか?
Q81 低眼圧の緑内障に対して、鍼灸治療で眼圧を上昇させることができるのでしょうか。
Q82 不眠を解消する鍼灸治療はありますか?
Q83 鬱病に対する鍼灸治療のポイントは何ですか?
Q84 認知症の予防としての鍼灸治療は効果がありますか?
Q85 美容鍼灸は、顔だけに鍼をすればよいのでしょうか?
Q86 鍼灸治療で体質を改善することはできますか?
Q87 服薬している薬がある場合、鍼灸治療で薬を減らすことはできますか?
Q88 抗がん剤による白血球の低下の場合、白血球を上昇させる鍼灸治療はありますか?
Q89 難病に対して鍼灸ではどんな治療ができるのですか?