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【書籍紹介記事】今なお読み継がれる不朽の名著!「鍼灸真髄」

公開日:2023年12月8日

医道の日本社では、最新の施術情報や関連知識の収集に努めている鍼灸師、あん摩マッサージ指圧師、柔道整復師、アスレチックトレーナーや美容関係者・ヨガインストラクターの方などに役立つような書籍・DVDを多数取り扱っています。その中でも特にオススメの人気シリーズや、注目のタイトルなどをご紹介していきます。

多くの臨床家に影響を与える「座右の書」

あなたにとっての「座右の書」は何ですか。

常に手元に置いて、困ったときいつでも開くことができるようにしてある本。

臨床家としての自分に影響を与え、励みとなっている本はあるでしょうか。

今回ご紹介するのは、多くの鍼灸師が座右の書としてあげる1冊、代田文誌著・沢田流聞書「鍼灸真髄」です。 長きにわたり読み継がれてきた、「鍼灸真髄」の魅力について書いていきます。

こんな人におすすめ

✔️ 自分の治療スタイルを模索している人
✔️ さまざまな主訴に対する選穴、治療法が知りたい人
✔️ 鍼灸医術について深く知りたい人

「鍼灸真髄」の概要

鍼灸の名人といわれた澤田健に師事した代田文誌がその日常治療の間に見聞したものを筆録。この書に記されている説は大方、鍼灸古典の説に基づくものであるが、同時に著者の独創的見解も多い。その思考や表現はきわめて素朴で簡単で、治療の実際に役立つ、臨床的真理の宝庫。

 収納コンテンツ

写真

凡例
沢田健先生小伝
緒言

一、第一回見学筆記
五臓之色体表と十二原之表
沢田流の要穴
点灸例
太極療法
診断と治療
小局治療と太極療法
など

二、第二回見学筆記
眼と肝臓
灸と体質
むく毛
臑兪と血圧
小児の喘息
脊椎彎曲症
など

三、第三回見学筆記
水は腎に属する
命門の取穴法
三十六門
腎虚の灸
京門の取穴法
京門と三焦兪
など

四、第四回見学筆記
人身の陰陽
脊椎カリエスの治療
腸捻転の治療
網膜炎の治療
腰根の穴
全身虚衰の患者
など

五、第五回見学筆記
一陰三色五病
背部の三行と其動き
舌の色
病の三期
陽かん会
陰は昇り陽は降る
など

六、昭和五年筆記
傷寒
肺炎
四霊の灸
風邪の入る順序
鶏鳴下痢
腸結核
など

七、昭和九年筆記
天の理と地の理
冷え込みの灸
督脈と膀胱経との関係
背の督脈前部を使った話
天三地五に就て
冷え込を取る法
など

八、昭和十年筆記
頭の五行と五臓兪との関係
目の内外眥と経絡
鼻瘡
ゲキ門
股関節脱臼
下腹部の冷え込みを抜く穴
など

九、昭和十一年筆記
三かんと三焦
背部の五柱
曲沢
陰陽三経の表裏関係
肺炎
咽へ骨の立つた時
など

十、昭和十二年筆記
小児病と命柱
筋縮と巨闕
穴を取るの秘訣
病気の動き
八椎下
治穴の選択
など

附録
沢田先生の臨終
沢田先生の思ひ出
鍼灸道の達人沢田腱先生
など

代田文誌の名文で生き生きと描かれる名手・澤田健の治療風景

第一版が出版されたのは昭和16年、たちまち好評となり、品切れになったという本書。

以来、戦争のため絶版となっていた期間がありながらも、多く人に求められ、現在まで幾度も版が重ねられています。

明治維新以来、西洋医学に圧迫されていた鍼灸医術の優秀さを、その圧倒的な臨床事実によって証明した名手・澤田健。

本書では、当時の西洋医学では太刀打ちのできなかった難しい症状の患者さえもが、澤田健の鍼灸治療によって、みるみる良くなっていく姿が描かれていきます。

「一体病気なぞというものはないのです。血液の循環が不平均になった為に調和を失って具合が悪くなったので、血液の循環を平均にさせれば調和を得てなおるものなんです。」

そう語り、一貫して、対局所的な治療ではなく、五臓六腑の不調和をととのえ、人間が本来持っている力で病を治させるという根本治療である太極療法で治療にあたった澤田健。

その治療姿勢からは、鍼灸医術とは何かを改めて考えさせられます。

その業績をほとんど書き遺すことなくこの世を去った師・澤田健に代わり、弟子である代田文誌が、日々の治療の合間に見聞きしたことを書き留めた本書。

文学に造詣の深い著者によって描かれていく治療風景や考察は、読み物としても面白く、本書を珠玉の1冊にしています。

細かく見出しが付けられた構成はまさに臨床的ヒントの宝庫

鍼灸古典に基づく説と併せて、澤田健が実践上で体得したものが一体となった澤田流の治療。

本書には、治療に使われた経穴が具体的に記され、澤田健がその病態について語った言葉が、ありのままに記録されています。

すでに臨床の現場にいる鍼灸師ならば、すぐに明日使ってみようと思うヒントが満載。

そして、それらが「胃酸過多症」「小児の喘息」「合谷の取穴法」のように、細かく見出しがつけられ、まとめられています。

じっくり通して読むも良し、困った時にヒントを求めてページをめくるのも良し、常に臨床の際に、そばに置いておきたい1冊です。

また、最初は理解できなかったところも、臨床の日々の中で、繰り返し読むうちに、新たな気づきとなる奥深さも本書の魅力です。

「鍼灸真髄」まとめ

・名人・澤田健の治療の様子に鍼灸の可能性を感じられる
・著者の名文によって読み物としても面白い
・すぐに試したい臨床的ヒントの宝庫

長年多くの鍼灸師に読み継がれ、バイブル的存在である本書。 鍼灸の力を信じる勇気と、明日の臨床へのヒントをもらえる1冊です。 ぜひ、お手元においてください。

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