【書籍紹介記事】英国オックスフォードの著名な臨床家John Gibbonsが注目する新たな領域!「骨盤と仙腸関節の機能解剖」

医道の日本社では、最新の施術情報や関連知識の収集に努めている鍼灸師、あん摩マッサージ指圧師、柔道整復師、アスレチックトレーナーや美容関係者・ヨガインストラクターの方などに役立つような書籍・DVDを多数取り扱っています。その中でも特にオススメの人気シリーズや、注目のタイトルなどをご紹介していきます。
目次
症状を改善させる鍵になるかもしれない部位
治療院を訪れる人のうち大きな割合を占めているのが、腰部の痛みを訴える患者さんたち。
なかなか根本的な解決に至らない、と悩む治療家も多いのではないでしょうか。
そんな人におすすめなのがこちら「骨盤と仙腸関節の機能解剖 骨盤帯を整えるリアラインアプローチ」です。
英国オックスフォードの著名な臨床家であるJohn Gibbonsがこれまで見過ごされがちであった骨盤帯に注目。
全身の要となる骨盤帯の構造から評価、治療法までを徹底的に解説した本書についてご紹介していきます。
✔️ 患者さんの痛みを根本から治療したい臨床家
✔️ 身体の不調を抱えているアスリート
✔️ 最新医学に基づく身体の見方を学びたい人
「骨盤と仙腸関節の機能解剖」の概要
「痛みのある部位ばかりが問題ではない」
英国オックスフォードのJohn Gibbonsによる『強める! 殿筋』に続く、新たな著書を邦訳。殿筋に続いて、著者は骨盤帯という時として見過ごされることもある部位に注目した。骨盤帯痛はもちろん、下肢、腰背部から頚部まで身体各部に現れた痛みの原因は、痛みの部位ではなく骨盤帯および下肢のアライメントに影響しているのではないかと、考察を深めていく。
骨盤帯の基本的な解剖から、寛骨や仙骨の動きによってどのようなことが起こるのかといった機能解剖学、問題の所在を突き止める検査法・評価法、マッスルインバランスを改善するための運動療法、骨盤に起因するマルアライメントを整える徒手療法まで、骨盤とそれにかかわる関節への治療をトータルかつ丹念に解説。本書1冊で、仙腸関節を含む骨盤帯の運動学を学ぶとともに、評価の方法と新たな治療法を身につけることができるだろう。
収納コンテンツ
第1章 骨盤および仙骨関節の解剖学
第2章 骨盤および仙骨関節の動き
第3章 仙腸関節の安定性、マッスルインバランスと筋膜スリング
第4章 歩行・歩行周期と骨盤との関係
第5章 下肢長差と関連する骨盤と運動連鎖
第6章 脊柱における力学の法則
第7章 マッスルエナジーテクニックと骨盤との関係
第8章 股関節、および股関節と骨盤の関係
第9章 殿筋群と骨盤の関係
第10章 腰椎、および腰椎と骨盤の関係
第11章 仙腸関節スクリーニング
第12章 骨盤の評価
第13章 骨盤の治療
骨盤帯が全身に与える影響を徹底解説!

本書の著者である英国オックスフォードのJohn Gibbons。
彼は、バイオメカニクスや運動学などの科学的な論文や解剖学、オステオパシーなどの知識を駆使して治療成果を上げている著名な臨床家です。
本書の中で彼は、骨盤帯について、「家が建てられる前の基礎部分に似ている」と語ります。
基本的な土台ともいえる骨盤は、
「身体に起こり得るあらゆる機能異常の全てを代償する主要な部位に違いない」
これが本書で著者が主張することです。
それにもかかわらず、私たちは骨盤帯についてあまり教えられていません。
「股関節と腰椎の間は動かないから、その部分は気にしなくて良い」
ヒポクラテスの時代(紀元前460〜377年)から、不動であると考えられてきた仙腸関節。
しかし、ここ数年間で我々の知識は新しくなり、実際はいくらか運動することがわかってきました。
過去数十年を経て大きく進歩したこの領域について解説することにチャレンジしたのが本書なのです。
「うなずき」を意味する言葉である、ニューテーション(仙骨屈曲)、あるいはカウンターニューテーション(仙骨伸展)といった動き。
仙腸関節の安定性に影響を与える主要な要素、フォームクロージャー(form closure)とフォースクロージャー(force closure)という2つの安定性のメカニズム。
仙腸関節の動きに影響を与える筋や、脊椎や股関節などの構造。
さらに、歩行周期や姿勢、脚長差(LLD)といった日々繰り返される動作。
こうした骨盤帯に影響を与えるものすべてについて、徹底的に解説していきます。
オックスフォードの治療院で何千もの患者を治療してきた著者。
関節可動域検査の「最終域感」
指で脊柱の機能異常を触知する方法
こうした著者の豊富な経験からなるテクニックが惜しみなく写真付きで解説されています。
知識をアップデートし、探していた臨床のヒントが見つかる一冊です。

効果的かつ安全なMETを使った治療法を解説!
すべての構造を理解した治療家たちに向けて、最終章で解説される骨盤帯の治療テクニック。
これを読めば、さまざまなタイプの骨盤帯および腰椎の機能異常に対する治療について、パーフェクトな知識を身につけることができます。
そのテクニックの大部分を占めるのが、マッスルエナジーテクニック(MET: Muscle Energy Technique)です。
METは、正確に制御された位置から、施術者によって遠位に加えられた圧力に対し、その反力として患者の筋収縮を利用する治療法。
非常に軽いストレッチであるため、ほとんど無害かつ効果的にアライメントの修正ができます。
本書では特に、骨盤帯と深く関係していると著者が考える
⚫︎腸腰筋
⚫︎大腿直筋
⚫︎内転筋群
⚫︎ハムストリングス
⚫︎大腿筋膜張筋と腸脛靱帯
⚫︎梨状筋
⚫︎腰方形筋
といった筋について、短縮し硬くなったそれぞれの筋を伸長させるMETの方法を具体的に紹介していきます。
METが劇的な効果を発揮したケーススタディも掲載。
骨盤の位置と動きを評価し、治療する総合的なアプローチの参考になります。
自分のツールボックスに加えて、強みにしたいテクニックが学べる本書は必見です。

「骨盤と仙腸関節の機能解剖」まとめ
・機能解剖学から評価法、治療法までトータルに解説
・安全かつ効果的なMETによる治療方法が学べる
これまであまり教えられることのなかった骨盤帯について徹底的に解説した本書。
なかなか効果の出ないケースの治療に解決策を見出すことのできる一冊です。
ぜひお手に取ってみてはいかがでしょうか。