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骨間筋のこりに対する 鍼通電療法(動画あり)

サンキューはりきゅー高橋鍼灸院 高橋伸明

【アーティストが通う北千住の鍼灸院 】

  昔ながらの商店街が、レトロな雰囲気を醸し出す北千住(東京都足立区)。JR常磐線の北千住駅から7分ほど歩いたところに、昨年で開業20年目を迎えた高橋鍼灸院がある。  
  鍼灸院の窓から外を観れば、スカイツリーが目前にあるという好立地ながら、看板がなく、ビルの一室にあるため、その存在は外からほとんど分からない。  
  大半の患者は口コミで訪れ、とりわけ音楽家たちの間で評判が広まっている。プロ・アマ問わず、多くの音楽家たちが高橋鍼灸院で治療を受け、必要に応じて、院長の高橋伸明氏がツアーに帯同することもあるという。  
  音楽家への鍼灸は、実際の治療現場でどのように行われているのだろうか。世界的なバイオリニストとして知られる葉加瀬太郎氏のバンドのメンバーでもある、ベーシストの西嶋徹氏への鍼治療を見せてもらいながら、話を聞いた。

【 演奏スタイルを理解し、運動器疾患として診る 】

  このままもう弾けなくなるんじゃないか──。
  演奏の無理がたたって故障してしまい、悲壮感を持って症状を訴える音楽家の患者が、高橋鍼灸院には少なくない。そんな患者に対して、高橋氏が必ず伝えることがあるという。

高橋氏による施術の動画をVimeoにアップしています。
本誌194ページに記載のパスワードを入力すると閲覧可能になります。

  「音楽家たちはみんな長時間演奏ができる人たちです。6〜7時間ぶっとおしで練習をするなど、いわば一流のアスリートでもあるわけです。ケアもせずに酷使していれば、当然、障害が発生しますよね。にもかかわらず、急にこれまでのように弾けなくなると、パニックに陥りがちです。ですから、症状を診ながら『きちんと治療を受ければ改善される運動器疾患である可能性が高い』ということをまずは伝えます」  
  高橋氏が本格的に「音楽家鍼灸」というジャンルに足を踏み入れたのは、一人の患者がきっかけだった。バンドネオン奏者である小松亮太氏だ。知り合いの患者から小松氏を紹介された当初、高橋氏は治療を断ったのだという。  
  「当時、小松さんはほかの治療院に通っていたのですが、症状が芳しくないので診てほしいと、ほかの患者さんから頼まれました。しかし、それまでアマチュアの音楽家の患者さんは診ていたものの、プロは診たことがなかったため、何度かお断りしていました。スポーツ鍼灸が競技特性を理解していないとできないのと同様に、プロの音楽家を治療するとなると、それなりの準備が必要だと思ったからです」  
  それでも「ツアー前に興奮して眠れない」という小松氏の症状を聞き、それならば不眠症への治療で対応できるだろうと考え、治療を引き受けた。頭部への鍼治療を行ったところ、不眠は改善され、継続して治療を依頼されるようになった。高橋氏自身も実際に演奏する姿を見るなかで、小松氏が弾くバンドネオンへの理解を深めていく。

  「バンドネオンは主にタンゴに用いられる楽器で、アコーディオンに形が似ていますが、側面には鍵盤の代わりにボタンが付いています。蛇腹を左右に開閉させながらボタンを操作して演奏するのでバンドネオンの特徴は何といっても常に操作面が動いていることです」  
  弾くときの手の動きや姿勢をよく観察すれば、どういった障害が起きやすいかが見えてくる。バンドネオンの場合は、演奏中に絶えず手を動かすために、手部への負担が大きい。小松氏からは「手がこってしようがないんです。(小指球筋のあたりを指差して)ここを鍼でズブズブとやってほしい」という要望があったが、楽器の特性から考えれば、理解できることだった。  
  「しかし、患者のリクエストとはいえ、そんなことをしたら、手部の筋線維を傷つけてしまいます。そこで、小指球筋に直接的な刺鍼を行うのではなく、鍼通電を用いた新しいアプローチを思いつきました。この治療を行えば、骨間筋すべてを動かすことができます。実際に行うと効果が見られたので、ほかの音楽家の患者さんにも行っています。手を酷使しているという点は、ほとんどの音楽家に当てはまりますからね」  
  その治療法については後述するが、「音楽家が抱える疾患は、演奏スタイルを理解したうえで、運動器疾患として診る」ということは、音楽家鍼灸を行うにあたり、高橋氏にとって指針の一つとなった。

 

つづきは、雑誌「医道の日本2018年1月号」でお読みください。