障がい児の見えない能力を最大限に引き出したい

訪問医療マッサージ「TEAM GLITTER」  代表 青山かほる氏

小児脳性麻痺、筋ジストロフィー、てんかん、染色体異常の子どもを対象としてマッサージと小児鍼を行う施設が名古屋にある。訪問医療マッサージ「TEAM GLITTER」だ。代表を務める青山かほる氏は「小児障がい児専門フィットネスジム スタジオGLITTER」も経営している。小児障がい専門にした理由や治療法、今後の展望などについて話を聞いた。

【ひとつの思いから歩みだした小児マッサージの道】

─小児障がい専門で開業されたきっかけは何だったのでしょうか。
青山 小児障がいのためのマッサージは、理学療法士や医師からのアドバイスを受け、開発しました。障がい者にマッサージをすることがあまり普及していなかった頃、偶然再会した友人の息子が脳性麻痺ということを知り、その子にマッサージをしたことがきっかけでした。初めは、このように知り合いの子どもをマッサージするだけだったのですが、しだいに口コミで広まっていき、2010年に「TEAM GLITTER」として、本格的に訪問マッサージをスタートさせました。訪問マッサージでは、家族に病名や症状を聞いたうえで、実際に麻痺、筋肉、関節を診ていきます。認可を受けてマッサージをやる場合、ドクターの同意書が必要です。最初はエビデンスがないと言われ、ドクターから信用をなかなか得られなかったのですが、実際にマッサージをしている場面を直接見てもらうことで理解を深めていきました。

─具体的にはどのようなことを行うのでしょうか。
青山 脳に障がいがある子どもには、物をつかむ行為にしてもそれをイメージすることが難しいです。便秘になりやすいのは、内臓を動かす筋力が弱いためです。姿勢が丸くなるのは、脊柱周辺の筋力が発達していないためです。GLITTERでは、マッサージと通常のリハビリではあまりやらない電気で筋肉の緊張を緩め、脳神経へアプローチすることで身体の動かし方の回路を刺激します。そして、人体に安全な電気刺激で深部の筋力まで強化することができます。これにより内臓が活発化し、自律神経を整える効果も期待されます。GLITTER式プログラムと名付けていますが、この「GLITTER式」は特許を取得しています。個々に合ったプログラムを作成し、小児鍼を使うこともあります。
  また、今年に入ってから、障がい児にとって必要なトレーニングを行う場として、「小児障がい児専門フィットネスジム スタジオGLITTER」も開設しました。
  重度の子どもには往療をし、軽度の子どもにはスタジオに来てもらい、トレーニングを行っています。ですので、スタジオには滑り台など身体を動かす場所をつくっています。子どもたちが主役の施設ですので、内装はカラフルにデコレーションしていますね。私は雑貨が好きで、訪問移動中の合間の時間に雑貨屋を見に行くこともあります。そこでデコレーショングッズを探したり、イベント用のプレゼントを購入したりします。スタジオの内装は仕切りのないオープンフロアにしたことで開放感があり、患者家族同士が触れ合えることをコンセプトにしています。実際にこのフリースペースでいつもお母さん、お父さん同士の会話が生まれていますよ。

─専門ならではの工夫している点やご苦労などはありますか。
青山 お母さん、ご家族とのコミュニケーションを大切にしています。
  課題はスタッフの雇用ですね。訪問の場合は、マッサージの有資格者であることと女性のみで統一しています。反対に、スタジオ内の勤務は機材やトレーニングマシンなど重いものを扱うことがあるので男性を配置しています。訪問先や通所者が増えていくので、要員は足りません。また、デリケートでとても難しい仕事なので、スタッフは慎重に選んでいます。

【子どもたちの笑顔を増やすことが行動意欲になる】

─今日は一日密着取材をさせていただきますが、おおよそのスケジュールを教えてください。
青山 経営にかかわるところだけでなく、施術者としても仕事をしているのでかなり忙しいです。月曜日から土曜日までフィットネススタジオに来て、午後は往療にも出ます(一日密着を参照)。日曜日と祝日には勉強会に出たり、ミーティングを行ったりします。施術中に患者である子どもが骨折したなど医療事故の話を患者さんから聞くことがあります。

 

つづきは、雑誌「医道の日本2015年10月号」でお読みください。