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編集部チャレンジ企画 鍼灸受療率アップ大作戦!

第12回【最終回】 「大作戦!」を本当の大作戦に

本連載では「初めて患者」のリアルな反応を届けてきた。最終回は、そのなかで見えてきた課題に向き合いながら、次の一歩を踏み出したい。

【いつも同じ壁にぶち当たる】

2018年6月に開催された公益社団法人全日本鍼灸学会学術大会大阪大会で、鍼灸の需要喚起に関連する印象的な発表があった。医師である三潴忠道氏(福島県立医科大学会津医療センター漢方医学講座)の「地域行政における健康政策に鍼灸師が役立つにはどうすべきか」である。

三潴氏は鍼灸の有用性が認知されるためのモデル事業として、学術団体が主催してボランティア的に地域に介入することを提案した。団体が主催するべきなのは「個人では限界がある。個人に何かの事情があって外れたときにすぐに補充しなければならない」と説く。そうして需要が出てきたときに人材がきちんと対応できることも大切で、鍼灸界における人材育成の方策は、2014年に「国民のための鍼灸医療推進機構」、通称AcuPOPJのグランドデザイン検討委員会が発表しているではないか、とも三潴氏は指摘した。

そう、個人では限界があるし、名称が似たような団体がそれぞれ行政に掛け合えば「まずは内側からまとまってみては」と諭される。だから鍼灸関連4団体がまとまってAcuPOPJを設立したはず。

受療率アップにつながる普及啓発も、すでにAcuPOPJ普及啓発作業部会が尽力している。そこで、本連載で浮き彫りになった課題に対する意見を部会メンバーに聞いた。

【第1回『ツボに当たると痛い』と思っていたNさんの場合(9月号)】

・鍼は痛いというイメージをどう変える?
・継続して治療を受けてくれるかどうか。

猪狩   鍼は「縫い針や注射針のような痛さではない」という説明が必要でしょう。また、「蚊は人の皮膚から血を吸うけれども刺さるときには痛まない。鍼灸の鍼はそれより少し太い程度だから痛くない」などの説明をするとよいかもしれません。
「はり」というネーミングが痛さを連想させてしまうので、もし「金属糸」「金糸(かないと)」などのような呼び名であれば、多少はソフトな印象になるのではないでしょうか。

森下   鍼灸で使用する鍼はものすごく細く柔らかいため、筋繊維や血管などを傷つけにくく、刺入がスムーズなので痛くないということを説明するのがよいのでは。
鍼の効果が持続している期間に継続施術することにより、治癒力が高まり早期改善が期待できます。そのためにも通院しやすい治療院を、近所の評判などを聞いたり、信頼のできる公益団体のホームページの治療院検索で見つけるとよいです。

森岡   鍼が痛いというイメージは“刺す側”(施術者)が説明するより“刺される側”(患者)が体験談を説明したほうがよいのではないかと思います。また、患者だけでなく施術者が+αで補足するくらいがよいのではないでしょうか。

清水  そもそも鍼(鍉鍼などは別ですが)はある程度は痛みを伴うと思っています。比較対象を示すことで、ある程度は解決できるのではないでしょうか。

堀口   鍼が痛いというイメージは、注射の痛みと縫い針の危険性について、子どもの頃から刷り込まれていることが大きな要因だと思います。以前、マーケティングのプロに経営改善講座を依頼した際、「鍼・灸」という名称を変えるのはいかがですかと提案されたことがあります。「Shinkyu」「しんきゅう」など、針をイメージさせない表記、ということでした。意見の分かれる問題ですね。

2006年にAcuPOPJ(当時の名称は鍼灸医療推進研究会)が設立されたとき、大手広告代理店の電通にPRを委託していたが、電通マンが次のようにアドバイスし、それにAcuPOPJが答えた。

電通マン   「鍼灸」は一般の人になじみにくいので、ひらがなで「はりきゅう」「しんきゅう」にしたほうがよいのでは?

AcuPOPJ   「鍼灸」と書いて「しんきゅう」と読むことを浸透させたい。

設立から12年が経ち、「鍼灸」は浸透しただろうか。

 

【第2回「運動不足のMさんの肩こり」(10月号)】

・鍼を治療の選択肢に入れてもらうには、どんな普及活動を行っていくべきか。

猪狩   鍼が何に効くのかという明確な説明があれば、それをWebや動画で公開していけば普及しやすいです。しかし、なかなか証拠がないので、はっきりとした説明ができないのが現状です。「血行改善により身体のバランスを整える」「病気の予防によい」というぼやっとした説明になってしまう。それでも、海外の鍼灸活用事例を紹介していくのは、日本の国民に鍼灸を知ってもらったり、信頼してもらうのには効果的かもしれません。現在「鍼灸net」でこれを継続中です。(上の写真参照)

森下   常に目に触れる、パッと見て分かるなど、身近に感じてもらうようにする必要があります。方法としては「鍼灸net」や『鍼灸FACTBOOK』、ポスター、リーフレット、高価ですがテレビCMなどが考えられます。例えば、慢性の痛みであれば医療保険(療養費)を使って安価で受けることができることの説明も必要です。

清水   なかなか難しい課題ですね。一般的なPR手法では、なかなか太刀打ちできないように感じています。日本人は他人の体験談、特に近親者の体験談に影響を受ける傾向があるように思えますので、ホームページなどでブランディングするのではなく、鍼灸師一人ひとりの日頃の研鑽とそれを伝えられるコミュニケーションに尽きるように思います。

 

つづきは、雑誌「医道の日本2018年8月号」でお読みください。