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『楽しく学ぶ人体アドベンチャーランド! 生理学インパクト』
発刊記念著者インタビュー

本年10月に発刊した『生理学インパクト』は、医療系職種の基礎教育科目である生理学を、「インパクトシリーズ」でおなじみの原田晃先生(お茶の水はりきゅう専門学校副校長)が徹底的に分かりやすく、なおかつ面白く解説しています。今回は本書の発刊を記念し、原田先生におすすめポイントや製作にまつわるお話をお聞きしました!

――今回、生理学の参考書を執筆しようと思ったきっかけを教えてください。

原田 もともと私自身が生理学の授業を10年ほど受け持っているので、いつかは生理学について執筆したいと考えていました。実際に執筆を始めたきっかけは、以前、医道の日本社で開催した「生理学インパクトセミナー」(2018年9月開催)です。

その講師を担当した際、セミナー終了後に集めた参加者のアンケートのなかで、「(セミナーの内容的に)国家試験はこれだけで足りるのか?」といったご意見がありました。足りるか足りないかでいえばセミナーの内容でも足りたのですが、国家試験ではセミナーの内容より難しい問題も出てくる場合もあります。また、国家試験の範囲だけではなく、純粋にもっと生理学について勉強したいという気持ちを持つ人もきっといて、そんな人に応えるような書籍があったら喜んでくれるのではないか――そんな思いがモチベーションになって、執筆を始めました。

――本書は副題で「楽しく学ぶ人体アドベンチャーランド!」とあるように、人体をテーマパークに模して、そこを探検しながら生理学を学んでいくという設定になっていますが、このアイデアはどのように思いついたのでしょうか?

原田 はじめは戦隊物のキャラクターを登場させる想定でした。しかしそれだと過去のインパクトシリーズと代わり映えしないので、何かないかと思っているときに、たまたまWebサイトで海外にある人体をテーマにした博物館の記事を読んで、「これいいな!」と。

――各章が「細胞ゾーン」や「血液ゾーン」と、まさにテーマパークのように分かれた構成になっていますね。そのゾーンごとにモチーフイラストがありますが、このアイデアも面白いですよね。

原田 そうですね。思いつきで、一日で瞬間的に描き上げました。


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鉛筆で描かれた冒頭の漫画の下書き



――そのほかの、解説用のイラストもまず鉛筆で下書きをしていったのでしょうか?

原田 解説用のイラストについては、鉛筆での下書きはせずに最初から「ComicStudio」というソフトで描き始めています。そのとき、一緒にイラストに入る文章も入力しています。

――ページの構成はどのように組み立てていったのですか?

原田 まず国家試験の過去問題を章分けしていきます。循環器系だとして、それをさらに細かく、心臓、心筋といったパートに分けていき、そのパートごとに国家試験の問題範囲を振り分けていくと、だいたいのボリュームが決まります。このパートは国家試験にもたくさん出題されているから詳細に説明する必要がある、とか。このパートはあまり出題されないから、そこまで深堀しなくていいかな、とか。そうやって各パートのボリュームを決めていきました。

――1ページを描き上げるまでにどれくらいの時間がかかりましたか?

原田 まずイラストと文字が入った下書きを作って、それからベースとなる線を描いて色を塗って完成させるまでで、だいたい1日3~4ページほど作成できます。ただ、今回はまず370ページ分の下書きを作成し、その後、構成を変える必要がないページから、線を描いて着色をしていくといった流れでした。下書き自体は、内容にもよりますが1日4~5ページのペースで描いていきました。着色だけですと1日平均10ページほどです。


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下書き(図上)と着色後(図下)



――原田先生が思う特によくできたパートやイラストなどを教えてください。

原田 第9章の生殖に関する解説は、よくできたのではないかと思っています。私自身、学生時代に生殖の分野がすごく苦手だったので、教員になってから学生に教える立場になり猛勉強しました。相当苦労した思い出がある分、初学者にも分かりやすく伝えられる内容になったのではないかと思います。イラストとしては、第10章の「神経ゾーン」に掲載されているものなどがきれいに描けたかなと。

――学生が生理学を勉強するにあたっては教科書がベースになると思いますが、本書は教科書と章立てが違っていますね。例えば、教科書だと血液と循環は「血液循環」というパートで一緒に解説されていますが、本書では別々になっています。そういった、本書ならではの工夫を教えてください。

原田 私が鍼灸師の免許を取った頃の教科書では、もともと血液と循環とで別々に分けて解説していました。ここ数年で同じ章になったのですが、いち教員としては別々のほうが教えやすいし学生も理解しやすいのかなと思って、本書では分けることにしました。一方で神経は、以前の教科書では体性神経系と自律神経とで分かれていましたが、最近になって同じ章で解説されるようになったんです。この場合は一緒に解説したほうが教えやすいので、教科書に合わせています。

――イラストがあることによって教科書よりも読みやすく、頭に入ってきやすいとすごく感じます。あとは、随所に盛り込まれている雑学がインパクトシリーズにおけるひとつのポイントだと思いますが、この雑学は普段どのように仕入れていますか?

原田 日々の読書からです。もともと動物についてはすごく興味があったので、本書では主に動物や昆虫の生体に関する雑学を紹介しています。授業中もよくこういう話をして、学生からの評判も割とよかったりします。


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第1章「細胞ゾーン」に掲載されている雑学「ラクダはなぜ渇きに強いのか?」
本書の随所に雑学が盛り込まれている



――生理学の勉強法について、アドバイスをお願いします。

原田 皆さん、イラストがいっぱいの参考書ですとか、授業で配られたプリントですとか、すごく参考になるものを持っているものの、まとまっているが故にそれを眺めるだけになってしまっていることが多いですね。やはり他人のまとめたものを眺めていても自分の頭にはなかなか入ってこないと思います。そうではなくて、どんなに良いものがあったとしても、それを再度自分なりにまとめ直していったほうがいいです。

本書もそうですが、読んでいるだけではダメなんです。ただ眺めるだけではなくて、自分でまとめたオリジナルのノートを作るなどして、自分の言葉で覚えていく。一見大変な作業ですが、結局参考書を1000回読むよりも、自分でまとめたものを10回読んだほうが覚えると思います。

――そうすると、本書も生理学を身に付けるうえでの、まとめを作るための教材になるのでしょうか。

原田 勉強法の理想をいえばそうかもしれません。もちろん、本書を読むだけでも勉強になると思います。各章で特にここは重要だという部分をポイントとしてまとめてあるので、ポイントを重点的に勉強できるよう構成したつもりです。


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――本書の読者対象である現役学生に、メッセージをお願いいたします。

原田 本書に学校で教わる授業の内容と、国家試験のために覚えるべき知識のすべてが収められています。イラストがいっぱいで分かりやすい生理学の参考書はすでにいろいろ出ていると思いますが、それだけだと情報量が足りない場合があります。一方で、一冊で生理学のほとんどを解説しようとすると、それこそ教科書や専門書のように、難しい書籍になってしまう。要は、ものすごく易しいか、ものすごく難しいかに偏っている。本書はその中間、分かりやすく一冊で事足りるという、両方の良さを兼ね備えた書籍を目指しました。

私自身も鍼灸師だからこそ、鍼灸師やあん摩マッサージ指圧師、柔道整復師といった医療職を目指している学生の方々と同じ目線に立って分かりやすく伝えられたのではないかと思います。

――ちなみに、本書にはイラストのほか、冒頭と最後にはインパクトシリーズ初となる漫画も掲載されていますね。最後に、漫画つながりで原田先生のお勧めの漫画を教えてください。

原田 私のバイブルは『まんが道』(藤子不二雄A著)です。あと、本書の構成などは『ゴーマニズム宣言』(小林よしのり著)を無意識に参考にしていたかもしれません。『ゴーマニズム宣言』は説明をするためのイラストがすごく上手なんです。ほかにもいろいろありますが、尊敬しているのは漫☆画太郎先生。作風に癖がありますが画力がすごくて、本当に天才だと思います。

――原田先生ありがとうございました。




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