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豪華客船で活躍する鍼灸師にインタビュー! [2009.05.01]

月刊「医道の日本」5月号の口絵で紹介した、豪華客船で活躍する鍼灸師。世界中をまわる豪華客船に鍼灸師がスタッフとして乗船し、船内で乗客の治療を行っている。鍼灸師をスタッフとして客船に派遣しているのは、イギリスのSteiner(スタイナー)という会社で、世界中の高級ホテルや客船内でスパを経営している。Steiner Japan代表の岡戸真実子さんと日本国内での募集に初めて合格し乗船した鍼灸師である石原雅彦氏(写真右)に船上での仕事について、話をうかがった。

――客船でのお仕事について、教えてください。

 
石原 客船にはクルーだけで1800人、70カ国の人が200種類の仕事をしています。大きく分けると、オペレーション部門、ホテル部門、トラベル部門、エンターテイメント部門、アクティビティー部門、スパ部門です。聞いたこともない国の人もいますから、船の上は小さな地球みたいです。

 
鍼灸治療室はスパ内にあり、治療室での施術のほかに、患者の予約が入っていない時間は、船内のショッピングセンターで鍼灸のプロモートをしたり、週に2、3回セミナーを開いたり、また漢方薬の販売も行います。

 

1日の流れとしては、シーデイとポートデイがあり、シーデイは1日中海の上で、朝8時から夜10時くらいまで仕事をしています。ポートデイは午前中、船が港に着くので午前中は休みとなり、仕事は午後から夜までといった感じです。休みは週に基本的に1日半ありますが、他にもポートデイの休みもあります。

  

  

――鍼灸師の1回の契約期間が4カ月なので、乗船すると4カ月間船を降りることはないそうですが、船での生活はどうでしたか。

 

石原 自分の部屋がありますので、そこで寝起きし、食事はクルー専用のレストランでします。夜はミーティング後、11時ごろ部屋に戻る生活です。私はそれからシャワーをあび、クルー専用のバーでビールを飲むのが日課でした。船のスタッフなので生活に必要なものはすべて提供され、生活費はいっさいかかりません。日本人は自分一人だったので、「日本人は初めて」と、とても珍しがられました。休みの日はアクティビティー施設でサーフィンを楽しんだりもできました。

 
僕が乗船した航路はマイアミから出発し、カリブ海のグランドケイマン島、メキシコのコスメル、ハイチを廻り、マイアミに戻ってくるコース。同じコースを4カ月繰り返します。

  

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――治療室にはどんな疾患の人がくるのですか。

  
石原 1回の治療代は50分で150ドル。1日の平均患者数は10~15人くらいでした。メニューにはビューティーコース、ダイエットコース、船酔いコース、禁煙コース等があるのですが、患者さんはコースメニューではなく、捻挫、腰痛からうつや過敏性腸症候群、そしてがんまで、とにかくいろいろな疾患を訴えて来院されました。
  

治療に関しては英語力はそれほど必要なかったです。やはりやる気です。それが相手に伝わりますから。日本の繊細な鍼灸治療を気に入り「アクパンクチャーグッド」と言いながら、乗船中何度も来られる方も結構いらして、本当にうれしく思いました。
  

船には世界中の人が乗っています。人種によって肌の質やコリ方が違うといったことがあります。とくに欧米の人は皮膚の真皮が硬い人が多いです。ですから鍼がなかなかうまく入っていかない。欧米に結合織マッサージというのがありますが、そんな理由から生まれたのだとわかりました。

 

 

――乗船するにあたり必要なことを教えてください。
  

石原 乗船に必要なことは、日本の鍼灸の技術を世界に知ってもらおうという気持ちとその場を楽しむ力、そしてある程度の英語力があれば大丈夫です。それと音声がでる電子辞書は、会話の助けになり、また珍しいため喜ばれるので持って行かれたほうがいいです。

 

船には世界中の人が乗っていますから、いろんな国籍、人種の人を知ること、診ることができます。心の交流とともにそんな貴重な経験、めったにできるものではありません。私は新しいことに挑戦してみたくて応募したのですが、「乗ってよかったな」と本当に思いました。

  

 

――Steiner Japanの岡戸さんにお話をお聞きしますが、なぜSteinerは鍼灸を取り入れたのですか。

 
岡戸 欧米では鍼灸は「新しいジャンル」なんです。スタイナーはもともと美容系の会社なので、まずは美容面から、次に健康面でヨガやトレーニング、その次がインナービューティーということで、デトックス(解毒・浄化)、ハーバル(ハーブを活用したセラピー)、漢方、そして鍼灸といった順で、鍼灸にたどり着きました。あとは欧米で東洋医学が浸透しつつあるのですが、一般の人はまだやったことがなく、船にあれば「じゃあ、鍼灸試してみようかな」と来るはず、というねらいで取り入れました。

 

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――鍼灸治療に対する反響はどうでしたか?

 

岡戸(写真左) 予想通り反響はとてもありました。鍼灸をどこで受けたらいいかわからなかった人が、「やっとできた」という感じ。海外旅行をしたことがないアメリカ人はたくさんいます。統計でみると、そういった人たちがまず海外旅行に行くのに選ぶのがクルーズなんです。その旅行の思い出として鍼灸治療をやられる方はとても多いです。

 
石原 治療室にいらっしゃる患者さんは、初めての人がほとんどでした。欧米では鍼は新しいものなので、飛びつきやすいみたいです。痛みのないきめ細かい日本鍼灸はとても喜ばれました。

  

 

――鍼灸師として乗船するためには、まずSteinerの筆記と面接の試験を受けなければならないそうですが、採用の審査基準を教えてください。

 

岡戸 Steinerでは実務経験と英語力と人柄をみます。実務経験は特に年数は決めていません。筆記試験と面接は英語で、東洋医学の専門知識を確認させていただきます。英語力は英検やTOEFLの成績は関係ありません。採用に1番重点を置いているのは人柄です。

  

船には鍼灸師の先生は1人しか乗れなく、日本人が1人ということがよくあります。ですから精神的強さが必要です。面接では精神的に強く人から信頼されるパーソナリティーかどうかもみさせていただきます。乗船中に患者さんに何回も治療室に来てもらえるのは、やはりその先生の実力だと思うのです。セミナーだっておもしろくなければ誰も来ません。そういうところを面接でみさせていただいています。

 

試験に合格すると、ロサンゼルスでの4回の研修後(旅費は自費)、半年以内に乗船となります。雇用形態は契約社員、期間は4ヵ月です。1度乗船されると、期間をおいても希望を出せば乗船でき、航路も選べます。お給料については完全歩合制ですので、その先生のやる気次第です。ただ生活費は全くかからないですし、給料の他に患者さんからのチップもあります。

 

 

――海外で働きたい鍼灸師にとっては、本当に刺激的なお仕事ですよね。

 

岡戸 これまでに6名の鍼灸師の先生方(石原雅彦氏、森田智氏、今井智子氏、植竹智美氏、衛藤こずえ氏、他1名)が合格し活躍されていますが、日本の鍼灸師の先生方はイギリスの本社でも、ものすごく評判がいいんです。ですからこれからもどんどん採用していく予定です。

 

 

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