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治療院拝見! バレエスタジオ併設の鍼灸院
Studio&Biwa&Acupuncture 岡田高鍼灸治療所ANNEX美和健康館 [2012.10.08]

岡田高鍼灸治療所ANNEX美和健康館に併設されたバレエスタジオは、広さ延べ63㎡、天井の高さ約5m。バレエダンサーが「夢のような場所」と感嘆する空間です。1階の治療院では、鍼灸のほかにハーブエキスによる温灸をコンビネーションさせたあん摩指圧や、セルフケア製品のショップも展開。院長の岡田高氏は「鍼灸を軸に、医療に対するさまざまなニーズに応えたい」と語ります。 
(月刊『医道の日本』2012年10月号口絵にフォトダイジェスト掲載)

●バレエスタジオ併設の秘話

――治療院の外観は町家風で、内観と全く違いますね。

 

岡田 近くにある五重塔で有名な東寺が1994年に世界遺産に登録され、京都市の景観整備条例が厳しくなりました。屋根には瓦を使用し、軒は道路に向かって下がっていなければならず、しかもその角度まで決められています。陸屋根は禁止されているので屋上緑化もできません。東寺の塔から街を見下ろしたときに屋根の色が際立たないようにしなければならず、この省エネの時代に屋根上のソーラーパネルは青く光ってしまうので認められません。壁の色、窓枠の色まで制限があります。

 

「そこまでいうなら、120%京都市のいうとおりにしてモデル建築にしてやろう!」と考え、このような外観になりました。これまでの岡田高鍼灸治療所の別館として「美和健康館」と名付け、2011年1月にオープンしました。

 

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京都市の外観整備条例に則り、外観は町屋風

 

 

――2階部分がバレエスタジオですね。バレエスタジオを併設したきっかけを教えてください。

 

岡田 私は39歳で鍼灸師の免許を取得し、鍼灸学校の卒業1カ月後に開業しました。当初は知り合いの企業内に鍼灸治療室を開設し、「人の元気が企業の元気」の信条のもと、治療を行ってきました。鍼灸師になる前に同志社大学商学部を卒業して中小企業診断士の資格を取得していたことなどから、鍼灸学校を卒業した翌年から母校の明治東洋医学院専門学校で施術所経営の授業を受け持ち、開業鍼灸師の理想を語ってきました。一方で私自身は、自宅の6畳の部屋を治療室にしてベッドを1台置いて施術をしていたんです。

 

私の理想は、患者さんに元気になってもらい、元気になったあともサポートしたいし一緒に歩んでいきたい、ということ。そのためにも治療という枠組みにとどまらず、もう1つプラスしたいと考えていました。スキーの指導員をしていたので、鍼灸師になる前から気功や運動時の動作分析に興味があり、何か運動ができるような施設を持ちたいという気持ちがありました。

 

そんなときバレエダンサーの治療をしたんです。バレエダンサーの身体は強くてしなやかで、持久力があり、優しくて美しい。ふつうのアスリートは声を出して邪念を払ったり、目いっぱい力を出すためになり振りにはおかまいなしですが、バレエダンサーは舞台の上では汗1つ流さないし、肩で息をしません。美しさを保って演じきります。あるテレビ番組で、起震車にさまざまな職業人やアスリートが乗り、誰が震度7まで立っていられるかを比べたシーンを見たことがあるのですが、最後まで振動に耐えられたのは華奢な体系の女性のバレエダンサーでした。何が違うかというと、インナーマッスルです。アウターマッスルは華奢なのに、内に秘めたるその強さ。総合芸術であるバレエを意識してやまなくなりました。そして、究極の身体を持つバレエダンサーをサポートしたいとの思いから、バレエスタジオをつくってしまったんです(笑)。

 

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鍼灸院の2階に併設されたバレエスタジオ。広さは延べ63㎡。壁面鏡は幅9m、高さ4.5m。ピアノも置いてある

 

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天井の高さは約5m。「パ・ド・ドゥ」(男女2人で踊るバレエ作品)のリフトができるようにした」と岡田氏

 

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スタジオ内には控え室も設置。セミナーやカルチャー教室も開催できる

 

 

――まさに夢を追い求めたのですね。施設の届け出は、どのような申請をされたのでしょうか。

 

岡田 1階で鍼灸院と入り口を別にし、2階はカルチャースペースとして届け出をすることで、要件をクリアしました。

 

 

●5つのコンテンツを掲げて

 

――玄関の左脇に植えられた枇杷の木も、目をひきますね。

 

岡田 枇杷(びわ)の木を当院のシンボルツリーにしています。枇杷はお釈迦様の時代から葉の木の王様、「大葉樹王」と言われており、その昔、京都の烏丸には暑気払いに枇杷のお茶を売るというお茶売りがいたそうです。枇杷と、「美しく調和のとれた心身の健康を応援する」との意味を込めて、美和健康館と名付けました。

 

私はビワの葉温灸によって枇杷に出会いました。治療院にはいろいろな方がいらっしゃいます。がんの患者さんも来院されます。鍼や灸が難しい患者さんに何かできないかと考え、ビワの葉温灸をしたところ、とてもよい結果が生まれ、それ以来私の治療になくてはならないものになりました。

 

 

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シンボルツリーの枇杷の木。枇杷は美和健康館の名前の由来でもある

 

 

――岡田先生は以前、弊誌『医道の日本』で「開業実現への道しるべ」という連載をされていました。そこでは、治療院のコンセプトやコンテンツの大切さを語っていらっしゃいました。美和健康館ではどのようなコンセプト、コンテンツを掲げていらっしゃいますか。

 

岡田 メインのコンセプトは「多様化する医療事業に対して東洋医学の立場からニーズに応えられる施設」です。「病気、怪我の治療から心身の健康増進まで対応できる総合健康施設としたい」ということを理念としています。

 

コンテンツは5つあります。1つ目は完全予約制・完全個別の自費による総合鍼灸治療部門です。良導絡をメインとした治療で、一部保険も取り扱っています。私以下当院のスタッフは女性の施術者3人、受付1人なのですが、この総合鍼灸治療部門は私を中心に、患者さんの状況に合わせ3人の施術スタッフが力を出し合って対応します。

 

2つ目は「より美しく」に応える美容鍼灸部門です。女性の患者さんにリラックスして治療を受けていただけるよう鍼灸の免許を持つ2人の女性スタッフが担当します。3つ目は「癒し&リフレッシュ」に応えるあん摩指圧ハーブQ部門。ハーブエキスを用いて、鍼灸あん摩マッサージ指圧師の免許を持つ視覚障害のスタッフが施術します。  

 

 

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ベッドは合計4台。個室は3つ。写真は鍼治療の施術ベッド。岡田氏は良導絡を用いて治療を行う


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ハーブエキスのビンは、虫さされの外用薬の容器を活用。ヘッド部分のスポンジで満遍なく温灸器にエキスを塗ることができ、液だれも防いでくれるため、視力障害のスタッフにとっても扱いやすい。使用する温灸器も岡田氏の工夫がこめられている

 

 

岡田 4つ目が先ほど紹介したスタジオ部門。運動療法の場としても使えますし、バレエ教室やカルチャー教室としても貸し出しています。レンタル料は150分で平日は5,250円です。最近はここで風水教室が開かれました。鍼灸師向けの医療セミナーもできますね。

 

5つ目が健康食品や健康器具の需要に応えるハーブショップ部門です。鍼灸院の受付も兼ねてアロマテラピストのスタッフが担当しています。

 

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「ハーブショップBIWA」は受付の隣に設置。琵琶の葉茶や浴用剤、レッグウォーマーなど、セルフケア製品を提供している

 

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受付の前の外待合。中待合もある(中待合は『医道の日本10月号』フォトダイジェストに掲載)

 

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スタッフの動線と患者の動線がクロスしないように、バックヤードは治療室をぐるっと囲むように設けられている

 

 

●医療に対する4つの欲求に応える

――5つのコンテンツの根底には、どのようなお考えがあるのでしょうか。

 

岡田 私は、医療サービスを受けようとする患者さんの欲求には異なる4つの段階があると考えます。医療サービスを1つのピラミッドにたとえると、底辺にあるのは「病気や怪我の治療」です。病気は、なりたくてなるわけでありませんし、怪我はしたくてしているわけではありませんが、この段階の患者さんの意識は「強い負の欲求」といえます。下から2番目の段階は「病気や怪我の予防」だと考えます。国の施策においても予防が重視され、特定健診やメタボ健診などが推奨されるようになりました。この段階の患者の意識は、まだ「負の欲求」といえます。

 

その上の段階は「健康増進」です。これは「正の欲求」です。会費を払ってジムに通ったり、サプリメントを買うなど、身体によいと思うことには進んで自費で取り組む段階です。そしてピラミッドの頂点は「美とアンチエイジング」です。これは「強い正の欲求」です。美しさと若さのためにはコストを気にしない、積極的な取り組みです。

 

鍼灸はこの4つの段階のすべてに対応できます。当院も医療に対する需要全体をとらえ、どんな段階の欲求を持つ方が来院されても、ホスピタリティーとコミュニケーションをもって対応することを目標としています。

 

この建物には以上のような目標とたくさんの夢をつめ込みました。オープンして1年半、今のところまだ経営は厳しいですが、1回の人生ですし、鍼灸師ができること、かつ自分ができることは何でもやってみようと考えています。

 

 

岡田高(おかだ・たかし)
1955年、京都府生まれ。1977年、同志社大学商学部卒業。中小企業診断士。1994年、明治東洋医学院専門学校鍼灸科卒業、鍼灸師免許取得。全日本鍼灸学会会員、日本良導絡自律神経学会会員、明治国際医療大学非常勤講師、明治東洋医学院専門学校非常勤講師。元全日本スキー連盟公認基礎スキー技術正指導員(昭和54~55年度西日本ブロック認定デモンストレーター)。
岡田高鍼灸治療所ANNEX美和健康館 http://www.biwakenkoukan.com/

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